【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トレジャー・ファクトリーは5月既存店売上は109.5%、自律調整一巡して再動意

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 トレジャー・ファクトリー<3093>(東1)は総合リサイクルショップを展開している。8日発表した5月の既存店売上高は109.5%で、15ヶ月連続の前年比プラスと好調を維持している。株価は4月高値後の上げ一服局面だが、中期成長力を評価する流れに変化はなく、自律調整が一巡して再動意のタイミングだろう。

 首都圏を中心に総合リユースショップ(総合業態)や服飾専門リユースショップ(服飾業態)などを直営とFCで展開している。15年2月末時点の店舗数は、直営総合業態50店舗、直営服飾業態24店舗、新業態の古着アウトレット業態「ユーズレット」1店舗、スポーツ・アウトドア業態「トレファクスポーツ」1店舗、事業を譲り受けたブランドコレクト業態2店舗、FC総合業態4店舗の合計82店舗である。

 中期成長戦略として、多店舗出店(複数の業態を組み合わせて年間10店舗程度の新規出店、関西地域でのドミナント出店)、既存店活性化(店舗移転・リニューアルによる収益力改善、既存店の売上総利益率改善)、ネットへの取り組み強化(宅配買取の強化、ネット経由の販売強化)、そして新規業態開発を推進している。

 関西地域でのドミナント出店については、13年5月総合業態の関西1号店・神戸新長田店、13年10月服飾業態の関西1号店・尼崎店、14年3月大阪府初出店となる関西3号店の総合業態・岸和田店、7月大阪府2号店となる総合業態・八尾店、11月大阪府3号店となる総合業態・東大阪店、15年2月服飾業態の関西旗艦店となるアメリカ村店(大阪市中央区)をオープンして関西圏の店舗数は合計6店舗となった。

 新業態はスポーツ・アウトドア用品専門業態「トレファクスポーツ」1号店の横浜市・青葉台店を14年9月にオープンし、ネット通販も強化して13年4月に楽天市場へ出店した。また新規事業では10年10月からブランドバッグ&ファッションのオンラインレンタルサービス「Cariru」を運営している。

 また14年10月ファーストザウェーブ社の「ブランドコレクト」事業(ウェブサイト、フルフィルメントセンター1拠点、ブランドコレクト原宿店)を譲り受け、15年1月には原宿2号店をオープンした。ネットでの事業展開を加速するとともに、ハイブランド・高価格帯のブランド古着に特化した都心型店舗の新業態としてファッションカテゴリーを強化する方針だ。

 15年2月には不動産賃貸仲介大手のハウスコム<3275>と業務提携した。ハウスコム店舗で契約したお客様限定で、引越と不用品買取を行うサービス「トレファク引越」を割引料金で提供して買取を強化する。

 なお15年2月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)25億82百万円、第2四半期(6月~8月)23億36百万円、第3四半期(9月~11月)28億85百万円、第4四半期(12月~1月)28億79百万円、営業利益は第1四半期3億51百万円、第2四半期77百万円、第3四半期3億43百万円、第4四半期1億84百万円だった。

 既存店の売上総利益率は第1四半期66.8%、第2四半期65.9%、第3四半期66.5%、第4四半期63.4%だった。第1四半期と第3四半期は、引越シーズンなどで利益率の高い家電製品や家具の構成比が高まるため、売上総利益率が高くなる季節要因があるようだ。

 15年2月期のROEは14年2月期比2.4ポイント上昇の21.0%、自己資本比率は同0.3ポイント上昇の58.5%、配当性向は同4.4ポイント上昇の17.7%だった。

 今期(16年3月期)の非連結業績予想(4月10日公表)については、売上高が前期比11.0%増の118億53百万円、営業利益が同8.7%増の10億39百万円、経常利益が同8.8%増の10億52百万円、純利益が同11.4%増の6億31百万円としている。

 配当予想は中間配当を開始して年間11円(第2四半期末5円50銭、期末5円50銭)としている。15年6月1日付の株式2分割を考慮して前期の年間18円を年間9円に換算すると、実質的に前期比2円増配となる。予想配当性向は同1.8ポイント上昇の19.5%で、配当性向は25%を当面の目標としている。

 既存店は前期並みの増収率(107.9%)と売上総利益率(65.6%)の達成を目指し、新規出店は11~13店舗の計画だ。中部地域や北関東など新規エリアへの出店も検討するようだ。知名度上昇、新業態を含めた積極的な新規出店、既存店の収益力強化、大口仕入や出張買取の強化、ネット事業の強化、売上総利益率の上昇などで増収増益基調だろう。

 月次売上(直営店の店舗売上、前年比速報値ベース)を見ると、15年3月は全店111.8%、既存店104.0%、4月は全店118.3%、既存店108.4%、8日発表の5月は全店117.6%、既存店109.5%と好調に推移している。既存店は14年3月から15ヶ月連続の前年比プラスで、14年2月の大雪の影響が一巡した15年2月(115.9%)以来の高い伸び率だった。

 好調な仕入も背景として、販売単価の高い生活家電、家具、さらに衣料、服飾雑貨の好調が続いている。なお新規出店は3月0店舗、4月1店舗、5月0店舗で、15年5月末時点の店舗数は合計83店舗となった。

 リユース市場は拡大基調であり、中期成長に向けて国内主要都市への出店や業態の多様化を加速させる方針だ。首都圏や関西圏を中心に年間10店舗程度の新規出店で100店舗体制構築を当面の目標としている。既存店の収益力強化策や新業態・新規事業の積極展開も寄与して中期的に収益拡大基調だろう。

 株主優待制度については毎年2月28日時点の1単元(100株)以上保有株主に対して「トレジャーチケット」を贈呈している。「トレジャーチケット」の内容は「トレジャー・ファクトリーオリジナルクオカード1000円分」、プレゼント抽選券「トレジャーロト」、および当社の店舗および宅配買取サービスで利用できる「買取金額アップクーポン」をセットにしている。

 株価の動き(14年9月1日付で株式2分割、15年6月1日付で株式2分割)を見ると、16年2月期増収増益・増配予想および株式2分割を好感した4月高値1692円50銭後は上げ一服の形だが、大きく下押す動きは見られず、高値圏の1500円近辺で堅調に推移している。

 6月8日の終値1510円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS56円38銭で算出)は26~27倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間11円で算出)は0.7%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式2分割を考慮したBPS263円60銭で算出)は5.7倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を一旦割り込んだが、週足チャートで見るとサポートラインの13週移動平均線近辺で自律調整一巡感を強めている。中期成長力を評価する流れに変化はなく、既存店売上の好調も評価して再動意のタイミングだろう。

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