京写は下値切り上げ、受注回復基調で22年3月期収益拡大期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 京写<6837>(JQ)はプリント配線板の大手メーカーである。独自の印刷技術を活用し、電子部品業界の微細化ニーズに対応した新製品による差別化・シェア拡大戦略を推進している。21年3月期は新型コロナウイルスの影響で減収・赤字予想だが、受注が回復基調であり、21年1月に稼働したベトナム新工場も寄与して22年3月期の収益拡大を期待したい。株価は急伸して年初来高値を更新する場面があった。その後は買いが続かず反落したが、一方では下値を切り上げてモミ合いから上放れの動きを強めている。出直りを期待したい。

■プリント配線板の大手メーカー

 プリント配線板の大手メーカーである。世界最大の生産能力を誇る片面プリント配線板、および両面プリント配線板を柱として、実装治具関連事業も展開している。

 プリント配線板はスクリーン印刷技術をベースとして、防塵対策基板、熱伝導放熱基板、ファイン回路片面基板などに技術的な強みを持っている。そして電子部品の急速な小型化に対応した業界初のスクリーン印刷法による0603チップ部品対応片面配線板や、伸縮性のある材料にスクリーン印刷で直接回路を形成するストレッチャブル基板(プリンタブル基板)などの受注拡大が期待されている。

 20年3月期の売上高は日本98億34百万円、中国78億91百万円、インドネシア12億96百万円、営業利益は日本▲2億13百万円、中国3億12百万円、インドネシア▲43百万円だった。

 用途別売上構成比は、自動車関連(ライト、電装品など)が32.9%、家電製品(LED照明、エアコンなど)が22.6%、事務機(複写機、プリンターなど)が11.0%、電子部品・電子機器(電源、モーター、制御装置など)が9.1%、映像関連(薄型テレビなど)が6.7%、アミューズメント(家庭用ゲーム機など)が1.3%、その他(音響機器、通信機器など)が16.4%だった。収益面では自動車や家電などの生産動向の影響を受けやすいが、幅広い用途と顧客層(国内1000口座、海外300口座)を獲得している。

 生産は国内、中国、インドネシアに拠点展開している。片面プリント配線板は世界最大の生産量を誇っている。18年5月には中国で両面配線板および多層配線板の生産を委託しているサンティス香港、およびその子会社のサンティス南沙と資本・業務提携した。19年6月にはメキシコ子会社で実装搬送治具の製造を開始した。

 両面配線板の新たな生産拠点であるベトナム新工場(京写ベトナム)については、新型コロナウイルスによる渡航制限の影響で立ち上げが遅れたが、21年1月販売開始した。なお京写ベトナムには自動車関連電子部品実装のエヌビーシー(岐阜県大垣市、05年から資本業務提携して協力関係)が6.7%出資している。20年12月には「ベトナム両面プリント配線板増産投資計画」が、経済産業省・JETRO「海外サプライチェーン多元化等支援事業」に採択された。

■独自印刷技術を活用した新製品でシェア拡大目指す

 中期経営計画(20年3月期~24年3月期)では、目標数値に24年3月期の売上高320億円、営業利益15億円、営業利益率4.7%、ROE10%、配当性向25%以上を掲げている。

 製品別の売上高は片面配線板145億円(独自技術を活用した金属基盤46億円を含む)、両面配線板125億円、新製品15億円、実装関連10億円で、拠点別売上高(連結調整前)は日本140億円、中国145億円、インドネシア25億円、ベトナム50億円としている。

 6つの重点戦略として、グローバル生産・販売戦略(グローバル供給体制によるソリューション提供)、企業間提携戦略(戦略的ネットワークによる競争優位獲得)、効率化戦略(IT化・自動化によるコスト競争力強化)、技術戦略(独自の印刷技術を活用した新製品による差別化・シェア拡大)、財務戦略(成長実現に向けたキャッシュ・フロー経営)、および人財戦略を推進する。

 グローバル供給体制は、優位性のある片面配線板や印刷技術の提案、ベトナムにおける両面配線板生産体制の確立、営業拠点の再編・最適化、メキシコEMSやアセアンEMSへの治具販売強化などを推進する。戦略的ネットワークによる競争優位獲得は、主要材料メーカー・EMS・商社・OEM協力先・同業との戦略的業務提携・パートナーシップ構築による製品開発や販路拡大、産学官連携による共同研究などを推進する。

 IT化・自動化によるコスト競争力強化は、生産地・生産方式の最適化、新潟工場の能力アップと京都工場の少量多品種化、AIスマート工場化など省人化・自動化投資を継続的に推進する。独自の印刷技術を活用した新製品による差別化・シェア拡大は、両面から片面への基板低層化提案、0603実装部品対応基板など電子部品業界における微細化ニーズへの対応、金属基盤やストレッチャブル基板の量産などを推進する。

 成長実現に向けたキャッシュ・フロー経営は、成長事業への優先投資と早期収益化による投資回収、自己資本の充実、有利子負債の適正化、積極的な株主還元などを推進する。人財戦略は、グローバルマネジメント人材の育成、グループCSR体制の構築、BCP・BCMのグローバル展開、職場環境の向上、ITやIoT活用による業務効率化などを推進する。

 20年1月にはスクリーン印刷法による治具製造技術をベースとして、世界初のノンシリコーンでも高温工程で繰り返し使用可能な部品搬送用キャリアの開発を発表した。国内工場で試作品の受注を開始している。

■受注回復基調で22年3月期収益拡大期待

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、10月30日公表、1月29日に上方修正)は、売上高が20年3月期比9.1%減の173億円、営業利益が70百万円の赤字(20年3月期は79百万円の黒字)、経常利益が10百万円の赤字(同98百万円の黒字)、当期純利益が3億60百万円の赤字(同1百万円の黒字)としている。配当予想は無配(20年3月期は4円)としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比11.9%減の125億12百万円、営業利益が72百万円の赤字(前年同期は68百万円の黒字)、経常利益が59百万円の赤字(同61百万円の黒字)、四半期純利益が2億61百万円の赤字(同67百万円の黒字)だった。

 累計ベースでは営業赤字だった。新型コロナウイルスによる経済収縮の影響で、自動車関連、事務機関連、LED照明関連などの需要が減少した。片面版は8.0%減収、両面板は18.9%減収、実装関連は15.4%減収、その他は21.4%増収だった。なお中国の連結子会社(京写広州)に係る追加納税見込額1億70百万円を過年度法人税等として計上している。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高40億06百万円で営業利益1億08百万円の赤字、第2四半期は売上高38億54百万円で営業利益64百万円の赤字、第3四半期は売上高46億51百万円で営業利益1億円の黒字だった。第2四半期後半から受注が回復基調となり、第3四半期は営業黒字化した。

 第3四半期の地域別売上を第2四半期との比較で見ると、日本が16.2%増収、中国が26.8%増収と急回復した。中国の第3四半期売上は前年第3四半期との比較でも8.0%増収と伸長した。

 通期予想は上方修正(売上高を7億円、営業利益を2億円、経常利益を2億円、当期純利益を2億円、それぞれ上方修正)し、従来予想に対して赤字幅が縮小する見込みとしている。売上面では第2四半期後半からプリント配線板事業の受注が回復基調となり、利益面では業務効率化・経費削減効果に加えて、ベトナム新工場の生産開始準備費用が想定を下回ったことも寄与する。

 21年3月期は新型コロナウイルスの影響で減収・赤字予想だが、再上振れの可能性もありそうだ。受注が回復基調であり、21年1月に稼働したベトナム新工場も寄与して22年3月期の収益拡大を期待したい。

■株価は下値切り上げてモミ合い上放れ

 株価は急伸して年初来高値を更新する場面があった。その後は買いが続かず反落したが、一方では下値を切り上げてモミ合いから上放れの動きを強めている。出直りを期待したい。4月22日の終値は309円、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS454円87銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約45億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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