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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】テクマトリックスは調整一巡して切り返し、8月の年初来高値を目指す
- 2014/10/28 07:13
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
情報サービス事業を展開するテクマトリックス<3762>(東1)の株価は、650円~700円近辺でのモミ合いから全般地合い悪化も影響して10月16日の590円まで調整した。しかし10月24日には705円まで上伸する場面もあり、切り返しの動きを強めている。調整が一巡して8月の年初来高値781円を目指す展開だろう。なお10月31日に第2四半期累計(4月~9月)の業績発表を予定している。
ネットワーク・セキュリティ関連のハードウェアを販売する情報基盤事業、医療・CRM・EC・金融を重点分野としてシステム受託開発やクラウドサービスなどを提供するアプリケーション・サービス事業を展開している。
重点戦略として、ストック型ビジネスの保守・運用・監視サービス関連の戦略的拡大、クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進、ネットワーク・セキュリティ関連商材およびサービスの充実、ビッグデータ分析支援サービス、大規模EC事業者向けバックオフィスシステム構築ソリューション「楽楽ECインテグレーションサービス」などを強化している。グループ経営を強化するため14年3月には連結子会社のクロス・ヘッドを完全子会社化した。
14年2月には連結子会社の沖縄クロス・ヘッドが、アジアでのデータセンター事業やクラウド事業の展開を目指して、台湾のデータセンター事業者eASPNetと事業協力についての覚書を締結した。3月には日本コンピュウェアと販売パートナー契約、ラムダ・テクノロジーズとマレーシアにおける販売代理店契約、7月には日本事務器(NJC)と医療情報クラウドサービス「NOBORI」に関する販売代理店契約を締結し、8月には沖縄クロス・ヘッドが日本ヒューレットパッカード(日本HP)と業務提携した。9月には米VERCODE社と販売代理店契約を締結し、クラウド型の脆弱性解析サービス「VERCODE」を開始した。
10月8日には子会社クロス・ヘッドが仮想化技術の米Pica8(ピカエイト)社に出資したと発表した。なおクロス・ヘッドの子会社で米Pica8社の国内総販売代理店であるエヌ・シー・エル・コミュニケーションは、12年10月に米Pica8社に出資している。
10月22日にはソフトバンクテレコムおよび電算(東京都中央区)と3社共同で、クラウド型の医療情報サービス「地域健康・医療情報プラットフォームサービス(HeLIP)」の提供開始を発表した。各地域の医療機関、検査・検診センター、保険者、自治体などが持つさまざまな種類の健康・医療に関するデータをクラウドで管理し、相互利用できるようにすることで、効率的な医療活動、個人の健康管理、災害時・緊急時の医療活動に役立てるためのサービスとしている。
なお医療分野では、オンプレミス型(ユーザーがハードウェア、ソフトウェア、データを自分自身で保有・管理)のシステム提供から、クラウド型(ユーザーがインターネット経由で利用)のサービス提供へビジネスモデルの変更を推進しているため、前期(14年3月期)から医療情報クラウドサービスの売上と利益をサービス期間に応じて按分計上することになった。今後複数年に亘って売上と利益のマイナス影響となるが、他事業の成長でカバーする方針としている。
今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月9日公表)を据え置いて、売上高が前期比5.5%増の183億円、営業利益が同3.7%増の11億60百万円、経常利益が同0.4%減の11億60百万円、純利益は繰延税金資産追加計上が一巡して同11.7%減の7億円、配当予想は前期と同額の年間15円(期末一括)としている。
ストック型ビジネスの戦略的拡大に向けて人件費などが増加するが、増収効果や採算改善効果で吸収して営業増益見通しだ。セグメント別売上高の計画は情報基盤事業が同9.0%増の122億円、アプリケーション・サービス事業が同0.9%減の61億円としている。情報基盤事業ではサイバー攻撃に対応した次世代ファイアウォール製品、アプリケーション・サービス事業では医療分野のクラウドサービスなどが好調に推移する。
第1四半期(4月~6月)は、繰延税金資産追加計上が一巡して前年同期比76.0%最終減益だったが、情報基盤事業の次世代ファイアウォール製品の好調、アプリケーション・サービス事業のEC関連やスマホ関連の受託開発の好調で同3.3%増収、同8.9%営業増益、同37.6%経常増益だった。情報基盤事業で複数の公共機関向け大型案件の受注に成功したもようであり、通期ベースでも好業績が期待される。
株価の動きを見ると、650円~700円近辺でのモミ合い展開から全般地合い悪化も影響して10月16日の590円まで調整した。しかし10月24日には705円まで上伸する場面もあり、切り返しの動きを強めている。調整が一巡したようだ。
10月27日の終値648円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS58円23銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は2.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS513円07銭で算出)は1.3倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線回復の動きを強めている。また週足チャートで見ても一旦割り込んだ26週移動平均線回復の動きを強めている。調整が一巡して8月の年初来高値781円を目指す展開だろう。