- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- ピックルスコーポレーションは上値試す、22年2月期も増収増益予想、さらに上振れ余地
ピックルスコーポレーションは上値試す、22年2月期も増収増益予想、さらに上振れ余地
- 2021/4/30 08:25
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ピックルスコーポレーション<2925>(東1)は漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」ブランド力が向上し、キムチ製品や惣菜製品の拡大、EC・外食・小売領域への展開を推進している。21年2月期は巣ごもり消費も寄与して大幅増収増益・過去最高だった。22年2月期は小幅増収増益予想にとどめているが保守的な印象が強い。上振れ余地がありそうだ。収益拡大基調だろう。株価は利益確定売りで上値の重い展開だが、好業績を評価して自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■漬物製品の最大手で「ご飯がススム キムチ」ブランド力向上
漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」シリーズのブランド力が向上し、キムチ製品や惣菜製品の開発強化と新製品の積極投入、西日本エリアへの販売拡大、量販店惣菜売場・ドラッグストア・配食事業など販売先の拡大、新たな販売チャネルとしてのEC・外食・小売領域への展開を推進している。
20年2月期の品目別売上構成比は製品65.2%(浅漬・キムチ43.3%、惣菜20.1%、ふる漬1.7%)および商品(漬物、調味料、その他)34.8%だった。販路別売上構成比は量販店・問屋等74.8%、コンビニ17.3%、外食・その他7.9%だった。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニが主要取引先である。
収益面の特性としては、天候不順などによる野菜(特に胡瓜と白菜)価格の影響を受ける傾向がある。
■ECやBtoC領域など新たな販売チャネルにも展開
中期成長戦略として、惣菜・その他分野の商品開発強化、西日本地区への販売エリア拡大、量販店惣菜売場や配食事業などへの販売先拡大、ECやBtoC領域など新規事業推進を掲げている。
新たな販売チャネルへの展開としては18年4月、ピーネ12乳酸菌活用した商品のECサイト「ピーネオンラインショップ」と、国産・化学調味料不使用にこだわった漬物のECサイト「八幡屋オンラインショップ」を開設した。19年4月にはピーネ関連製品を製造する新工場が完成した。
またグループ商品を活用してBtoC領域の外食・小売事業に参入し、20年10月には運営子会社OHが埼玉県飯能市に複合型観光施設として、発酵のテーマパーク「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」を開業した。日本の伝統的な食文化「発酵」を発信していく。
中期経営目標値には24年2月期売上高480億円(浅漬・キムチ214億20百万円、惣菜97億円、ふる漬5億80百万円、商品163億円)、営業利益31億円、経常利益31億90百万円、当期純利益19億80百万円を掲げている。
成長戦略として、製品開発の強化(キムチ製品、惣菜、ドライ商品、調味料など)、販売エリアの拡大(特に西日本エリアの拡大)、販売先の拡大(ドラッグストア、量販店、配食事業など)、新規事業(ECサイト、ピーネコーポレーション、BtoC事業など)を推進する。設備投資は中京工場増床、設備更新・工場新築などで22年2月期からの3年間で合計58億円を計画している。
なお20年9月には地球環境に配慮し、浅漬用に植物由来原料の容器を導入して軽量化と省資源化を図ると発表した。20年11月にはグループ従業員に対して、新型コロナウイルス感染症に関するお見舞金を支給(パート・アルバイト含む2845名を対象に総額1億円)した。
また21年1月には、浅漬製品を「野菜の元気をお届け」としてブランドリニューアルすると発表した。パッケージデザインを刷新するとともに、包装パッケージに使用するインキを植物性バイオマスインキに順次切り替えて環境負荷低減も推進する。
■22年2月期小幅増収増益予想だが上振れ余地
21年2月期連結業績は、売上高が20年2月期比11.1%増の460億20百万円、営業利益が44.9%増の27億11百万円、経常利益が43.4%増の28億29百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が42.0%増の18億32百万円だった。配当は5円増配の35円(期末一括)とした。
大幅増収増益で過去最高を更新した。売上面では、新型コロナウイルスに伴う巣ごもり消費に加えて、健康志向の高まりを背景に乳酸菌を含む食品としてキムチの需要が増加したことも寄与した。利益面では、春先の低温や夏場の長雨・猛暑で一時的に原料野菜価格が高騰する場面もあったが、秋以降は天候が順調で仕入価格が安定し、商品規格の見直しや生産アイテム集約化による効率化も寄与して、物流費や人件費などの増加を吸収した。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が120億21百万円で営業利益が9億13百万円、第2四半期は売上高が123億77百万円で営業利益が8億75百万円、第3四半期は売上高が108億18百万円で営業利益が5億05百万円、第4四半期は売上高が108億04百万円で営業利益が4億18百万円だった。
22年2月期連結業績予想は、売上高が21年2月期比1.0%増の465億円、営業利益が5.1%増の28億50百万円、経常利益が3.9%増の29億40百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.7%増の19億円としている。配当予想は21年2月期と同額の35円(期末一括)である。
売上高は販売先等の動向を勘案して微増収予想だが、巣ごもり消費や「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」への取り組みなどで過去最高更新見込みとしている。各利益は物流費や人件費などの増加を増収効果や売上原価率改善で吸収して、過去最高更新見込みとしている。小幅増益予想にとどめているが保守的な印象が強い。上振れ余地がありそうだ。収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は毎年2月末の株主が対象
株主優待制度は毎年2月末時点の100株以上保有株主を対象として、商品詰め合わせセットなど(数種類から1点選択、詳細は会社HP参照)を贈呈する。
■株価は上値試す
株価は利益確定売りで上値の重い展開だが、好業績を評価して自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。4月28日の終値は3360円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS295円63銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の35円で算出)は約1.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2275円38銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約216億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)