【編集長の視点】ベクトルは反落も東証1部上場来安値から実質大幅増配と2Q上ぶれ業績に再評価余地

編集長の視点

ベクトル<6058>(東1)は、15円安の1599円と反落し、12月5日につけた東証第1部上場来安値1601円を割り再度、下値を確かめる動きで始まっている。ただ、この安値水準では今2月期期末配当の株式分割を勘案した実質大幅増配と、今期第2四半期(2Q)累計業績が期初予想を上ぶれて着地したことを再評価する下げ過ぎ訂正買いも根強く続いている。子会社スターバンクが、エンタメ業界・広告業界向けのオーディションプラットフォーム事業に参入し、史上最大級のスマホオーディションを開始した話題性も、支援材料視されている。

■アドテクノロジーを本格稼働させ通期業績も連続の過去最高更新

同社は、今年11月28日に東証マザーズから東証第1部に市場変更されたことをキッカケに配当政策を見直し、今後は配当性向20%を目安に配当を実施することを決定し、期初には未定としていた今2月期配当を9円とした。前期配当13円に対して、今年2月28日を基準日に実施した株式分割(1対3)を勘案すると実質で4.67円の大幅増配となる。

この大幅増配となる業績も好調に推移している。今2月期第2四半期(2Q)累計業績は、利益が、期初予想を1900万円~1000万円上ぶれ前年同期比20.2%増収、24.3%経常増益、21.2%純益増益と連続の2ケタ増収増益で着地した。「アジアNo.1のPRグループ」を目指し強みとする戦略PRに加えて、アドテクノロジーを本格稼働させてPR周辺業務のサービス強化や新商品を開発し新規顧客を開拓しており、日本国内のPR市場でトップを継続しているほか、海外事業でも、タイ、ベトナムに法人を設立し台湾に新拠点も確保、海外進出する日本企業のPR業務案件を受注し、前倒しした人材採用の費用増などをカバーして好決算につながった。

2月通期業績は期初予想を据え置き、売り上げ78億3000万円(前期比21.2%増)、経常利益12億5000万円(同37.4%増)、純利益6億5000万円(同27.2%増)と連続の過去最高更新を見込んでいる。なお、子会社がオープンさせたエンタメ業界を目指す人と芸能プロダクションや広告代理店などとをマッチングさせるオーディションプラットフォーム「スターバンク」では、日本最大級のファッション&音楽イベント「Girl Award」を手掛けるガールズアワードと共同で新人材を発掘するオーディションを12月2日から開始した。

■TOPIX算入による需給好転の現実買いで権利落ち後高値を目指し再発進

株価は、株式分割を歓迎して6650円の高値をつけて4950円で分割権利を落とし、落ち後安値1104円から東証1部への市場変更で同高値1904円まで72%高、市場変更に際して実施した新株式発行(発行価格1681円)・株式売出しが意識されて3分の1押し水準での値固めを続けている。市場変更に伴う東証株価指数(TOPIX)算入開始による指数連動型ファンドなどの買い需要発生の現実買いもテコに、下げ過ぎ訂正に再発進、落ち後高値を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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