川崎近海汽船は22年3月期営業減益だが最終黒字化予想、上振れ余地

(決算速報)
川崎近海汽船<9179>(東2)は4月30日の取引時間中に21年3月期連結業績を発表した。新型コロナウイルスの影響で減収減益、特別損失計上で最終赤字だったが、市況好転などで営業・経常利益は従来予想を上回って着地した。22年3月期は新型コロナウイルスで厳しい状況が続くとして営業減益だが、経常増益、最終黒字化予想としている。全体として保守的な印象が強いため上振れ余地がありそうだ。収益改善を期待したい。株価は営業減益予想に対してネガティブ反応となったが、目先的な売り一巡して出直りを期待したい。

■21年3月期減収減益、22年3月期営業減益だが最終黒字化予想

21年3月期の連結業績は、売上高が20年3月期比16.4%減の370億59百万円、営業利益が78.9%減の4億04百万円、経常利益が90.2%減の1億87百万円だった。親会社株主帰属当期純利益は一部の船舶に係る固定資産減損損失7億27百万円を計上して1億12百万円の赤字(20年3月期は13億70百万円の黒字)だった。配当は20円減配の100円(第2四半期末50円、期末50円)とした。

新型コロナウイルスによる経済収縮の影響で荷動きが低迷し、運航隻数減少、フェリー客数減少なども影響して減収減益だった。ただし第4四半期に近海部門では市況が想定以上に好転し、内航部門でも荷動きが想定以上となったため、売上高と営業・経常利益は従来予想を上回って着地した。近海部門は20.5%減収だが赤字縮小、内航部門は13.8%減収で45.2%減益、OSV部門は31.0%減収で赤字化した。

四半期別に見ると、第1四半期は売上高90億80百万円で営業利益3億16百万円の赤字、第2四半期は売上高90億74百万円で営業利益5億51百万円の黒字、第3四半期は売上高が96億66百万円で営業利益7億31百万円の黒字、第4四半期は売上高92億39百万円で営業利益5億62百万円の赤字だった。第4四半期は季節要因で荷動きが落ち込む傾向がある。

22年3月期連結業績予想は、売上高が21年3月期比3.9%増の385億円、営業利益が38.2%減の2億50百万円、経常利益が6.5%増の2億円、そして親会社株主帰属当期純利益が1億50百万円の黒字(21年3月期は1億12百万円の赤字)としている。配当予想は21年3月期と同額の100円(第2四半期末50円、期末50円)である。

近海部門は市況回復や配船効率化で5.3%増収・赤字縮小、内航部門は新型コロナウイルスの影響継続や燃料油価格上昇で3.3%増収だが47.5%減益、OSV部門は稼働率向上で5.5%増収・赤字縮小の見込みとしている。新型コロナウイルスで厳しい状況が続くことを想定し、全体として営業減益だが、営業外収益改善で経常増益、特別損失一巡で最終黒字化予想としている。全体として保守的な印象が強いため上振れ余地がありそうだ。収益改善を期待したい。

■株価は出直り期待

株価は営業減益予想に対してネガティブ反応となったが、目先的な売り一巡して出直りを期待したい。4月30日の終値は2634円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円10銭で算出)は約52倍、時価総額は約78億円である。

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