JSPは22年3月期横ばい予想だが上振れ余地

(決算速報)
 JSP<7942>(東1)は4月30日の取引時間終了後に21年3月期連結業績を発表した。新型コロナウイルスの影響を受けて減収だが、需要が回復基調となって営業微増益で着地した。22年3月期は実質横ばい予想としているが、上振れ余地がありそうだ。なお新中期経営計画も発表した。収益拡大を期待したい。株価は年初来高値圏から反落したが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■21年3月期営業微増益で着地、22年3月期横ばい予想だが上振れ余地

 21年3月期の連結業績は、売上高が20年3月期比9.4%減の1026億68百万円、営業利益が2.0%増の51億85百万円、経常利益が5.9%増の55億19百万円、親会社株主帰属当期純利益が17.1%減の30億17百万円だった。特別損失に子会社整理損2億42百万円、子会社における送金詐欺損失9億84百万円を計上した。配当は20年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)とした。

 新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響受けて減収だが、需要が回復基調となり、付加価値の高い製品の販売増加や生産合理化による固定費削減なども寄与して営業微増益で着地した。押出事業は需要減少で5.5%減収だが、生産合理化効果などで12.3%増益だった。ビーズ事業は上期の自動車分野を中心とする需要減少などで11.6%減収、6.1%減益だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が248億15百万円で営業利益が9億16百万円、第2四半期は売上高が232億65百万円で営業利益が3億68百万円、第3四半期は売上高が280億65百万円で営業利益が27億54百万円、第4四半期は売上高が265億23百万円で営業利益が11億47百万円だった。

 22年3月期の連結業績予想(収益認識に関して企業会計基準第29号を適用するため21年3月期との比較は非開示)は、売上高が1130億円、営業利益が50億円、経常利益が52億円、親会社株主帰属当期純利益が34億円としている。配当予想は21年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)である。

 当面は新型コロナウイルスの影響が不透明だが、下期から経済活動の正常化が進むことを想定して、実質的に21年3月期比横ばい予想としている。なおセグメント別には、押出事業が数量増で増収だが原油価格上昇の影響で減益、ビーズ事業が自動車用ピーブロックの販売回復と販売価格見直し効果で増収増益見込みとしている。

 また新中期経営計画を発表し、目標値に24年3月期売上高1200億円、営業利益77億円、営業利益率6.4%以上、経常利益79億円、親会社株主帰属当期純利益52億円、ROA5.6%以上を掲げた。収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は年初来高値圏から反落したが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。4月30日の終値は1781円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS114円06銭で算出)は約16倍、時価総額は約559億円である。

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