JFEシステムズは調整一巡、22年3月期増収増益予想

 JFEシステムズ<4832>(東2)はJFEグループの情報システム会社である。鉄鋼向けを主力として、一般顧客向け複合ソリューション事業も強化している。21年3月期は新型コロナウイルスに伴う顧客のIT投資抑制の影響で減収減益だったが、利益率改善などで従来予想を上回って着地した。22年3月期は小幅ながら増収増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価は上げ一服の形となったが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■JFEグループの情報システム会社

 JFEグループの情報システム会社である。鉄鋼向け情報システム構築事業を主力として、ERPと自社開発ソリューションを組み合わせた一般顧客向け複合ソリューション事業、自社開発のプロダクト・ソリューション事業も強化している。

 21年3月期の事業別売上高は、鉄鋼が20年3月期比16億円減の194億円、一般顧客が8億円減の151億円、基盤サービスが10億円増の65億円、子会社(JFEコムサービス、IAFC)が1億円減の55億円だった。収益面では情報システム関連のため、年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。

 20年9月には電子帳票パッケージFiBridgeシリーズが、富士キメラ総研の「ソフトウェアビジネス新市場2020年版」において、13年連続で国内製品シェア1位を獲得したと発表している。利用企業数は3700社を超えている。

 またダイバーシティを推進し、女性の活躍推進の取り組みが優れた企業を厚生労働大臣が認定する「えるぼし」や、働き易い職場環境整備・意識啓発に取り組む企業を東京都が登録する「心のバリアフリーサポート企業」など、働き方・企業風土に関する各種認証を取得している。20年7月には厚生労働大臣から子育てサポート企業として「プラチナくるみん」認定を受けた。21年3月には健康経営優良法人2021(大規模法人部門)に4年連続で選定された。

■ソリューション事業も拡大推進

 新型コロナウイルス感染症拡大で不透明な状況のため、次期中期経営計画の策定を1年先延ばし(23年3月~25年3月期の3ヶ年計画とする予定)し、22年3月期は次期中期経営計画に向けた準備期間と位置付けた。

 基本戦略としては、高収益事業への構造転換で製鉄所システムリフレッシュ本格化に向けた体制確保、AIやIoTなど新技術を活用したソリューション事業の拡大、クラウドやセキュリティ関連など基盤サービス事業の拡大、基幹事業の強化で自動車向け体制充実や金融向け構造転換推進など製造・金融分野の顧客基盤強化、プロダクト事業(食品、電子帳票)強化によるニッチトップ確立を推進している。

 21年4月1日付で一般顧客部門に事業本部制を導入し、パッケージを主体に顧客の課題を解決する事業を集約したソリューション・プロダクト事業本部、オーダーメード開発を主体とする事業を集約したビジネスシステム事業本部とした。また製造流通業界(JFEスチールグループ含む)向けのデジタルトランスフォーメーション推進部署としてDX推進部を新設した。なお6月下旬開催予定の定時株主総会日に、西崎宏代表取締役社長が相談役に、大木哲夫代表取締役副社長が代表取締役社長に就任予定である。

■22年3月期増収増益予想

 21年3月期連結業績は、売上高が20年3月期比3.1%減の464億68百万円、営業利益が2.9%減の46億66百万円、経常利益が2.2%減の46億98百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.0%減の30億86百万円だった。配当は20年3月期と同額の120円(期末一括)とした。

 新型コロナウイルスに伴う顧客のIT投資抑制の影響で減収減益だった。ただし利益率改善や経費削減などで、従来予想(1月27日に利益を上方修正)を上回って着地した。売上面は基盤サービスが10億円増加の65億円と伸長したが、主力の鉄鋼部門が16億円減少の194億円、一般顧客が8億円減少の151億円、子会社が1億円減少の55億円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が114億32百万円で営業利益が9億94百万円、第2四半期は売上高が113億10百万円で営業利益が9億50百万円、第3四半期は売上高が104億81百万円で営業利益が11億24百万円、第4四半期は売上高が132億45百万円で営業利益が15億98百万円だった。

 22年3月期連結業績予想は、売上高が21年3月期比3.3%増の480億円、営業利益が2.0%増の47億60百万円、経常利益が2.2%増の48億円、親会社株主帰属当期純利益が0.5%増の31億円としている。配当予想は60円(期末一括)である。21年4月1日付株式2分割換算後で21年3月期と同額となる。

 鉄鋼および一般顧客の売上が回復し、受注挽回に向けた営業経費などの増加を吸収して小幅ながら増収増益予想としている。事業別売上高の計画は、鉄鋼が16億円増加の210億円、一般顧客が8億円増加の159億円、基盤サービスが横ばいの65億円、子会社が会計基準変更の影響で9億円減少の46億円としている。

 22年3月期は次期中期経営計画に向けた準備期間と位置付けて、過去最高だった20年3月期水準への回復を目指すとしている。収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価(21年4月1日付で株式2分割)は上げ一服の形となったが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。5月10日の終値は1710円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS197円39銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の60円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1298円06銭で算出)は約1.3倍、時価総額は約269億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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