【アナリスト水田雅展の銘柄分析】OBARA GROUPは収益拡大基調を評価する流れに変化なし

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 OBARA GROUP<6877>(東1)は溶接機器や平面研磨装置を展開している。株価は6月2日の高値8280円から利益確定売りで一旦反落したが、収益拡大基調を評価する流れに変化なく自律調整の範囲だ。15年9月期業績3回目の増額および配当予想増額の可能性、さらに自己株式取得を評価して切り返しのタイミングだろう。

 自動車業界向け抵抗溶接機器や造船・建設業界向けアーク溶接機器を主力とする溶接機器関連事業、エレクトロニクス業界向け平面研磨装置や洗浄装置を主力とする平面研磨装置関連事業を展開している。

 今期(15年9月期)の連結業績予想は4月30日に2回目の増額修正を発表して、売上高が前期比15.2%増の550億円、営業利益が同28.7%増の115億円、経常利益が同23.2%増の119億円、そして純利益が同16.4%増の72億円としている。

 修正後のセグメント別の計画は、溶接機器関連事業の売上高が同9.6%増の374億円、営業利益が同10.0%増の81億50百万円、平面研磨装置関連事業の売上高が同29.0%増の176億円、営業利益が同96.3%増の38億50百万円としている。

 アジアや米州での受注が好調であり、為替のドル高・円安も寄与する。なお想定為替レートは1米ドル=118円で、1円の変動は経常利益段階で15~30百万円の為替感応度としている。

 第2四半期累計(10月~3月)は前年同期比14.1%増収、同18.5%営業増益、同15.4%経常増益、同3.3%最終増益で、通期予想に対する進捗率は売上高50.5%、営業利益51.9%、経常利益52.3%、純利益が51.3%と順調な水準である。

 また四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(10月~12月)122億58百万円、第2四半期(1月~3月)154億97百万円、営業利益は第1四半期24億46百万円、第2四半期35億23百万円だった。

 自動車関連の設備投資需要は国内外で高水準であり、エレクトロニクス業界の設備投資・生産活動も増加基調だ。さらに為替のドル高・円安進行も追い風となって通期3回目の増額の可能性が高いだろう。

 15年9月期の配当予想は前回予想(11月10日公表)を据え置いて年間60円(第2四半期末30円、期末30円)としている。前期の年間70円との比較で見ると記念配当10円を落としたが、普通配当ベースでは前期と同額である。なお予想配当性向は15.8%で、前期の配当性向21.9%から大幅に低下するため、配当予想についても増額含みだろう。

 15年3月に2020年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(転換価額9204円、新株予約権行使期間15年4月22日~20年3月25日)の発行、および自己株式取得を発表している。調達資金(手取約70億円)は設備投資に約20億円、自己株式取得に約50億円を充当する。

 自己株式取得については取得株式総数の上限100万株(自己株式除く発行済株式総数に対する割合5.18%)、取得価額総額の上限50億円、取得期間15年3月20日~15年9月30日として、5月31日時点での累計取得株式総数は60万3900株、累計取得価額総額は42億3114万3984円となった。

 株価の動きを見ると、高値更新の展開で6月2日の8280円まで上伸した。その後は利益確定売りで一旦反落し、10日は7210円まで調整した。ただし収益拡大基調を評価する流れに変化はなく自律調整の範囲だろう。

 6月10日の終値7250円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS378円95銭で算出)は19~20倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は0.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1959円17銭で算出)は3.7倍近辺である。

 週足チャートで見るとサポートラインの13週移動平均線に接近した。自律調整が一巡し、15年9月期業績3回目の増額および配当予想増額の可能性、さらに自己株式取得を評価して切り返しのタイミングだろう。

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