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カナモトは戻り試す、21年10月期増収増益予想
- 2021/5/21 08:23
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
カナモト<9678>(東1)は建設機械レンタルの大手である。中期成長に向けて国内営業基盤拡充、海外展開、内部オペレーション最適化、レンタルビジネス収益性向上を推進している。21年10月期は公共投資が堅調に推移して増収増益・増配予想としている。収益拡大を期待したい。株価は年初来高値圏から反落して上げ一服の形だったが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。なお6月4日に21年10月期第2四半期の決算発表を予定している。
■建設機械レンタル大手
建設機械レンタルの大手である。建設機械レンタルを主力として、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタル、福祉用具レンタルなども展開している。M&Aも活用し、北海道を地盤として全国展開と業容拡大を加速している。
21年3月に北九州営業所(福岡県)を開設し、営業拠点数は209拠点、グループ合計534拠点となった。
20年10月期の売上高構成比は建設関連事業89.8%、その他事業(鉄鋼関連事業、情報通信関連事業、福祉関連事業など)10.2%、営業利益構成比(連結調整前)は建設関連事業93.0%、その他事業7.0%だった。
収益面では建設工事の影響を受けやすく、売上高が第4四半期(8~10月)から第1四半期(11月~1月)にかけてピークとなり、第2四半期(2~4月)および第3四半期(5~7月)は減少する季節特性がある。
■中期経営計画で24年10月期営業利益230億円目標
中期経営計画「Creative 60」では、目標値として24年10月期売上高2280億円、営業利益230億円、営業利益率10.1%などを掲げている。
重点施策として、グループ総力を結集した国内営業基盤の拡充(既存エリアの深掘り、未進出エリア・低シェア領域の開拓、非建設分野への進出)、海外戦略2.0(Next Generation)へのバージョンアップ(グローバルポートフォリオの最適化、カナモト版グローバルプラットフォームの確立、海外M&Aの取り組み、海外売上比率10%への布石)、内部オペレーション最適化とレンタルビジネスの収益性向上(営業戦略とITの融合、工事現場に必要な技術・システムの開発、業務効率向上、原価コントロール、長期的な安定稼働など)を推進している。
20年9月には豪州の企業グループPPGの全株式を取得する株式譲渡契約書締結を発表した。株式譲渡実行日は20年9月30日以降、関係当局の承認取得を前提に設定するとしている。また20年9月にはソーキホールディングス(大阪市中央区)の全株式を取得し、ソーキホールディングス、測量機・計測機器のレンタルや自動計測システムの開発・レンタルなどを展開するソーキ、およびソーキ販売を子会社化した。
21年3月には、建設機械の遠隔操作技術の向上を目指し、ローカル5Gの実験試験局免許を取得(21年1月20日)して実証実験を開始したと。また海外では、タイのサイアムカナモト・バンコク営業所を竣工した。21年4月には子会社アシストが、19年12月に子会社化した什器備品・ウォーターサーバーレンタルのコムサプライを吸収合併した。
なお5月12日には、ソフトバンクと共同で通信ネットワークの優先制御機能と閉域網サービスを活用して、建設機械遠隔操作の実証実験を実施したと発表している。
■21年10月期増収増益予想
21年10月期連結業績予想は、売上高が20年10月期比6.3%増の1903億円、営業利益が5.3%増の150億円、経常利益が6.5%増の152億円、親会社株主帰属当期純利益が6.3%増の90億円としている。配当予想は5円増配の70円(第2四半期末25円、期末45円)である。
第1四半期は、売上高が前年同期比4.9%増の476億60百万円、営業利益が6.7%減の39億81百万円、経常利益が3.7%減の42億06百万円、四半期純利益が10.7%減の22億65百万円だった。
売上面では、民間投資が低調だったが、公共投資(災害復旧工事、インフラ関連工事、防災関連工事など)が堅調に推移し、全体として建機レンタル需要が順調に伸長した。中古建機販売も期初計画どおりの売却を進めた。利益面では将来を見据えた人財投資など、先行投資負担で販管費が増加したため減益だった。建設関連は5.8%増収だが8.4%減益、その他は3.0%減収だが15.1%増益だった。
通期は公共投資が堅調に推移して増収増益予想としている。中期的需要見通しに対する資産の最適保有と機種構成を確保し、変化に対応したイノベーション、業務効率化や生産性向上などで収益力強化を図るとしている。第1四半期の進捗率は売上高が25.0%、営業利益が26.5%、経常利益が27.7%、純利益が25.2%と順調だった。国土強靭化関連など公共投資が堅調であり、収益拡大を期待したい。
■株価は戻り試す
株価は年初来高値圏から反落して上げ一服の形だったが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。5月20日の終値は2702円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS238円08銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の70円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3150円30銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約1047億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)