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ジェイテックは下値切り上げ、22年3月期大幅増収・営業黒字回復予想
- 2021/5/21 08:12
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ジェイテック<2479>(JQ)は技術者派遣の「技術商社」を標榜し、技術職知財リース事業を主力としている。21年3月期は新型コロナウイルスの影響で減収・営業赤字だった。ただし従来予想を上回って着地した。22年3月期は新型コロナウイルスの影響が期末まで継続するが、積極的な人材採用などで大幅増収・営業黒字回復予想としている。収益回復基調を期待したい。株価はモミ合い展開だが、徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。
■技術者派遣の「技術職知財リース事業」が主力
製造業の開発・設計部門に技術者を派遣する「技術職知財リース事業」を主力として、子会社のジェイテックアドバンストテクノロジは一般派遣およびエンジニア派遣事業を展開している。
専門教育による知識を基盤として、新たな付加価値を顧客に提供する社員を「テクノロジスト」と呼称し、一般的なエンジニアと区別している。そして「技術商社」を標榜し、テクノロジストが保有する知恵を提供(リース)することで顧客とともに新たな価値を創造する「技術職知財リース事業」としている。
機械設計開発、電気・電子設計開発、ソフトウェア開発、建築設計の4分野を柱として、業種別にも幅広く展開していることが特徴だ。20年3月期の業種別売上構成比は、自動車関連が約19%、産業用機器関連が約21%、電子・電気機器関連が約10%、情報処理関連が約14%、建築関連が約20%だった。
また優良企業との取引が中心で、20年3月期の売上上位顧客企業10社は、LIXIL、本田技術研究所、ヤマハ発動機、デンソーテン、リコージャパン、ヤマハ、三菱電機メカトロニクス、オムロン、アイシン・ソフトウェア、三菱日立パワーシステムズ、SUBARUとなっている。
■テクノロジスト700名体制の早期達成目指す
中期経営計画では業績目標値を、23年3月期売上高39億円、営業利益1億70百万円、経常利益1億61百万円、当期純利益95百万円とした。
新型コロナウイルスの影響が21年以降も継続することを想定したうえで、with/afterコロナ時代の顧客ニーズに対応すべく、テクノロジスト700名体制(現在400名)の早期達成に向けた人材採用・教育を強化し、強固な収益基盤を構築する。さらに新規事業への積極投資によって、事業多角化および新たな収益源獲得を推進する方針だ。
なお株主還元については、安定的かつ継続的な配当を基本として、配当性向20%の実現を目指すとしている。
■22年3月期大幅増収・営業黒字回復予想
21年3月期の連結業績は、売上高が20年3月期比8.7%減の27億71百万円、営業利益が56百万円の赤字(20年3月期は1億41百万円の黒字)、経常利益が43.6%減の78百万円、親会社株主帰属当期純利益が55.2%減の40百万円だった。
新型コロナウイルスの影響で減収・営業赤字だった。技術職知財リース事業は休業要請や残業抑制で稼働日数・稼働時間が減少して7.0%減収、一般派遣およびエンジニア派遣事業は住宅展示場等への派遣需要が大幅減少して49.9%減収だった。経常利益と当期純利益は営業外収益に助成金収入1億20百万円を計上して黒字だった。なお減収・営業赤字だったが、従来予想に対しては売上高が29百万円、営業利益が45百万円上回って着地した。期末にかけて短期案件を含む駆け込み需要が発生した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高6億80百万円で営業利益21百万円の赤字、第2四半期は売上高6億87百万円で営業利益18百万円の赤字、第3四半期は売上高6億94百万円で営業利益5百万円の赤字、第4四半期は売上高7億10百万円で営業利益12百万円の赤字だった。
22年3月期連結業績予想は、売上高が21年3月期比23.9%増の34億35百万円、営業利益が10百万円の黒字(21年3月期は56百万円の赤字)、経常利益が64.4%減の28百万円、親会社株主帰属当期純利益が85.2%減の6百万円としている。
新型コロナウイルスの影響が期末(22年3月末)まで継続するが、積極的な人材採用などで大幅増収・営業黒字回復予想としている。経常利益と当期利益は助成金収入の剥落を見込んでいる。当面は厳しい状況だが収益回復基調を期待したい。
■株価は下値切り上げ
株価はモミ合い展開だが、徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。5月20日の終値は182円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS76銭で算出)は約239倍、今期予想配当利回り(会社予想の1円で算出)は約0.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS112円54銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約16億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)