日本エム・ディ・エムは調整一巡、22年3月期増収増益予想

 日本エム・ディ・エム<7600>(東1)は整形外科分野の医療機器メーカーである。米国子会社の自社開発製品を主力として収益力向上を推進している。21年3月期は新型コロナ影響で減収減益だったが、22年3月期は影響が和らいで増収増益予想としている。さらに新中期経営計画「MODE2023」も発表した。収益拡大を期待したい。株価は上値が重く三角保ち合いの形だが、調整一巡して上放れを期待したい。

■整形外科分野の医療機器メーカー、米国子会社の自社開発製造が主力

 人工関節製品、骨接合材料、脊椎固定器具など整形外科分野を主力とする医療機器メーカーである。商社機能と開発主導型メーカー機能を融合した事業展開で、米国子会社オーソデベロップメント(ODEV)社製品を主力としている。

 21年3月期売上構成比は、日本が66%(人工関節26%、骨接合材料22%、脊椎固定器具15%、人工骨1%、その他1%)、米国が34%(人工関節34%、脊椎固定器具0%)で、自社製品比率は79.9%(20年3月期は83.1%)だった。営業利益構成比(調整前)は日本が63%、米国が37%だった。21年3月期は特に米国において新型コロナ影響を受けたため、米国の構成比が低下した。

 収益面の特性として、医療機器償還価格の影響や為替変動の影響を受けるほか、整形外科医療機器の販売は下期が繁忙期となる傾向があるため、業績も下期の構成比が高い特性があるとしている。

■新中期経営計画「MODE2023」

 21年4月に新中期経営計画「MODE2023」を公表し、目標値に24年3月期の売上高220億円(日本90億円、米国・オーストラリア132億円)、営業利益35億円、経常利益34億円、親会社株主帰属当期純利益23億円、ROE(自己資本利益率)10.0%、ROIC(投下資本利益率)9.0%を掲げている。想定為替レートは1ドル=108円である。また10年後の目指す姿として、日本内資企業で売上高首位、世界整形外科市場で15位以内を目指すとしている。

 中期重点施策として海外ビジネスの拡大、開発・調達力の強化、人材・組織の専門性強化、デジタル化を推進する。

 海外ビジネスの拡大は、米国では販売体制強化と人工関節分野新製品導入による2桁成長を目指す。中国では合弁会社設立によるODEV社製品の輸入販売拡大と中国現地生産品の製造・販売開始を目指す。オーストラリアではODEV社製人工関節製品の販売を開始し、症例実績積み上げを推進する。

 開発・調達力の強化は、ODEV社との日米共同開発による適応症例拡大に向けたインプラント開発、および新素材インプラントや手術支援システムなど外部調達によるビジネス拡大を目指す。

 21年3月にはODEV社が中国WASTONと、中国現地生産品の製造・販売を目的とした合弁会社を設立した。21年5月にはODEV社が米国THINK社と共同で、米ODEV社の人工関節製品を用いた人工関節全置換手術を、THINK社の手術支援ロボットシステムを用いて行うことができるようにした。

■21年3月期は新型コロナ影響で減収減益、22年3月期は増収増益予想

 21年3月期の連結業績は売上高が20年3月期比7.4%減の167億38百万円、営業利益が18.0%減の21億68百万円、経常利益が17.7%減の21億25百万円、親会社株主帰属当期純利益が23.1%減の16億64百万円だった。配当は1円増配の11円(期末一括)とした。

 日本は脊椎固定器具分野が順調に推移して1.3%増収、営業活動制限に伴う旅費交通費や販売促進費の減少で18.2%増益だったが、米国が新型コロナウイルスによる整形外科分野の症例数減少の影響を受けて11.5%減収、40.3%減益と大幅に落ち込んだ。新型コロナウイルスによる売上高への影響は▲32億円だったとしている。

 四半期別推移を見ると、第1四半期は売上高34億09百万円で営業利益2億42百万円、第2四半期は売上高43億44百万円で営業利益5億81百万円、第3四半期は売上高45億55百万円で営業利益7億46百万円、第4四半期は売上高44億30百万円で営業利益5億99百万円だった。

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比11.7%増の187億円、営業利益が24.5%増の27億円、経常利益が24.7%増の26億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が8.1%増の18億円としている。配当予想は1円増配の12円(期末一括)である。

 2桁増収、2桁営業・経常増益予想としている。売上高の計画は日本が6.7%増収(人工関節が8.9%増収、骨接合材料が3.9%増収、脊椎固定器具が7.0%増収、人工骨・他が5.6%増収)、米国が26.4%増収(人工関節が26.2%増収、骨接合材料・他が85.6%増収)としている。自社製品売上比率は82.4%(21年3月期は79.9%)の計画である。

 売上面では、新型コロナウイルスや日本の診療報酬改定などのマイナス影響があるが、日本が自社新製品を中心に好調に推移し、前期に新型コロナウイルスの大きな影響を受けた米国市場において下期の症例数回復を見込んでいる。コスト面では積極的な人材投資や営業活動回復などで人件費や営業費が増加するが、増収効果や自社製品比率上昇による原価率改善効果などで吸収する。収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は上値が重く三角保ち合いの形だが、調整一巡して上放れを期待したい。5月21日の終値は2176円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS68円22銭で算出)は約32倍、今期予想配当利回り(会社予想12円で算出)は約0.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS706円07銭で算出)は約3.1倍、時価総額は約576億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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