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ジェイエスエスは調整一巡、新型コロナ影響で22年3月期予想未定だが回復期待
- 2021/5/24 07:55
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ジェイエスエス<6074>(JQ)はスイミングスクールを全国展開し、スイミングスクール特化型企業では首位の施設数を誇っている。21年3月期は新型コロナ影響で減収減益・最終赤字だったが、営業・経常利益は従来予想に対して上振れ着地した。22年3月期予想は新型コロナ影響が不透明なため未定としているが、新型コロナ影響が和らいで収益回復を期待したい。株価は年初来高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。
■スイミングスクール運営首位
スイミングスクールを直営と受託で全国展開している。21年3月末現在の事業所数は直営62ヶ所、受託21ヶ所、合計83ヶ所(うちコンパクトプール15か所)である。スイミングスクール特化型企業では首位の施設数を誇っている。
21年3月期末の会員数は、子供会員が20年3月期末比6.5%減の8万331人、大人会員が11.3%減の9998人、合計が7.0%減の9万329人となった。21年3月期は新型コロナ影響を受けた。なお育成選手の実績として、瀬戸大地選手、渡部香生子選手、荒井祭里選手、玉井陸斗選手など多くの有力選手を輩出している。
スクール事業の強みには、総合フィットネスクラブとの比較で景気に左右され難いという点がある。入会から四泳法習得まで2~3年の安定した在籍が期待され、ベビーからの入会や選手コースへの進級で長期在籍の可能性も高まる。大人会員は高齢者が中心で、生涯スポーツ化も期待される。
20年3月には、ニチイ学館<9792>との資本業務提携を解消し、日本テレビホールディングス<9404>と業務資本提携した。日本テレビホールディングスのグループ会社でフィットネスジムを展開するディップネス(20年4月1日現在、関東エリアを中心に全国173店舗を展開)と協業してシナジーを創出する。
■中期経営計画で23年3月期経常利益5億50百万円目指す
中期経営計画(20年8月公表)では目標数値として、23年3月期売上高90億86百万円、経常利益5億50百万円、純利益3億47百万円、EPS89円35銭を掲げている。
重点施策として、事業戦略では年間2事業所程度の着実な出店、中高年層をターゲットとしたプログラムの開発、水泳指導技術を活かした商品開発の強化、東京オリンピックへ向けての選手強化、業務受託および業務提携など事業パートナーとの連携、人事戦略では教育・研修の充実、評価制度・昇給制度の改革、女性社員の職域拡大と活用の高度化、財務戦略ではコロナ以前の業績回復、東証市場区分見直しへの対応を推進する。
■21年3月期営業・経常減益だが上振れ着地、22年3月期予想未定
21年3月期の業績(非連結)は、売上高が20年3月期比23.4%減の64億94百万円、営業利益が78.2%減の81百万円、経常利益が77.0%減の90百万円、当期純利益が特別損失の計上で4億40百万円の赤字(20年3月期は1億85百万円の黒字)だった。配当は3円25銭減配の10円50銭(第2四半期末7円50銭、期末3円)とした。
新型コロナウイルスに伴う臨時休業、休会者・退会者の増加による在籍会員数減少で減収減益だった。ただしコストコントロール徹底、本社部門の効率化による労務費削減などで営業利益と経常利益は従来予想に対して上振れ着地した。期末合計会員数は7.0%減の9万329人(子供が6.5%減の8万331人、大人が11.3%減の9998人)となった。なお特別利益に助成金収入1億84百万円、特別損失に減損損失2億68百万円、新型コロナウイルス感染症による損失5億22百万円を計上した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高9億41百万円で営業利益6億56百万円の赤字、第2四半期は売上高18億22百万円で営業利益5億71百万円、第3四半期は売上高19億22百万円で営業利益1億59百万円、第4四半期は売上高18億09百万円で営業利益7百万円の黒字だった。
22年3月期の業績(非連結)予想は、新型コロナウイルスの影響が不透明なため未定としている。なお新規施設については、既存施設の新築移転を含めて2店舗程度の開設を計画している。ディップネスとの協業も本格化する見込みだ。新型コロナ影響が和らいで収益回復を期待したい。
■株主優待制度は3月末と9月末の年2回
株主優待制度は毎年3月31日および9月30日の年2回、1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。保有株式数に応じて優待券(詳細は会社HP参照)を贈呈する。
■株価は調整一巡
株価は年初来高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。5月21日の終値は520円、前期実績PBR(前期実績のBPS615円21銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約21億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)