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ケイアイスター不動産は上値試す、22年3月期も大幅増収増益・連続増配予想
- 2021/5/24 07:51
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ケイアイスター不動産<3465>(東1)は首都圏中心に戸建分譲などの不動産事業を展開し、M&A・アライアンスも積極活用して「不動産×IT」を推進している。21年3月期は分譲住宅事業が牽引して大幅増収増益となり、過去最高を更新した。22年3月期も成長戦略を加速して大幅増収増益・連続増配予想としている。収益拡大基調だろう。株価は急伸して上場来高値を更新した。目先的には利益確定売りが優勢になる可能性もあるが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■戸建分譲や注文住宅などの不動産事業
首都圏中心に1次取得層向け戸建住宅分譲などの不動産事業を展開している。M&Aも積極活用して、強みである「KEIAIプラットフォーム」をベースとするコンパクト分譲開発(セミオーダー新築住宅)による事業成長を加速している。
全国展開に向けて、20年3月には東北エリア、21年1月には近畿エリアに進出し、21年3月期末の自社店舗ネットワークは140店舗となった。また用地仕入と販売網の強化を図る「KEIAI FC」の加盟店は21年3月期末時点で55店舗となった。
今後は既存の仕入システムを「ミツカルPRO」として刷新し、ビッグデータとAIを活用した機能強化によって、土地仕入のさらなる最適化・高速化を推進する方針だ。さらに店舗ネットワークの拡充によって「ミツカルPRO」対応エリアの拡大も推進する。また買主と物件のマッチングプラットフォーム「新築戸建ミツカル」のβ版も公開した。
21年3月期の売上構成比は分譲住宅事業が65%、注文住宅事業が1%、中古住宅事業が1%、よかタウン事業(子会社よかタウン、福岡県)が13%、旭ハウジング事業(子会社旭ハウジング、神奈川県)が5%、フレスコ事業(子会社フレスコ、千葉県)が5%、建新事業(子会社建新、神奈川県)が7%、東京ビッグハウス事業(子会社TOKYO BIG HOUSE、東京都、20年4月連結)が1%、ケイアイプレスト事業(子会社ケイアイプレスト、埼玉県、21年1月連結)が0%、その他が2%、調整額が▲1%だった。
なお子会社のフレスコについては、資本業務提携を発展的解消して、全株式を譲渡(21年6月中旬予定)する。連結業績への影響は軽微としている。
また21年4月には、三栄建築設計<3228>およびオープンハウス<3288>と3社で、SDGsの課題解決に向けて一般社団法人日本木造分譲住宅協会を設立した。
■「不動産×IT」推進
M&A・アライアンスを積極活用して「不動産×IT」を推進している。IT成長戦略として、商品力向上による付加価値創造と競争力強化、AIやRPAなどを活用したデータドリブン経営による在庫回転率や生産性向上および利益・財務体質改善、住宅分譲の既存フロービジネス強化とストック型ビジネスでの新たな収益構造構築、IT施策のグループ・加盟店への横展開およびシナジー拡大、次世代不動産ポータルサイト開発による加盟店への住宅購入見込客送客強化を推進する。
20年2月カインズと業務提携、20年5月セゾンファンデックスと業務提携してリースバック事業に参入、20年6月不動産業界に特化した採用コンサルティング事業を行う子会社KSキャリを設立(20年7月人材派遣・紹介事業を開始)した。
20年9月には、BI・RPA・AI―OCR技術を活用することで、新築戸建事業におけるデータの収集と問題の可視化、定期提携業務の自動化、紙媒体のデータ入力を効率化し、20年2月から7月までの半年間で2000時間以上の工数削減に成功したと発表している。
20年10月にはタイムリープ社の遠隔接客サービス「RURA」を導入した。音声案内によって新型コロナウイルス感染予防策として非接触型営業の拡充を図る。また建築現場の管理効率化に向けて、コムテックスの建築現場向けコミュニケーションアプリ「Kizuku」を独自にカスタマイズした「Kizuku PRO」を導入した。
20年11月には子会社Casa robotics(カーザロボティクス)を設立した。ひら家「IKI」の販売に特化して、非接触型営業、VR(仮想現実)での内覧、アプリなどの新技術を活用した接客を推進する。21年4月までに関東アリア(埼玉、群馬、栃木、茨城)の合計12ヶ所に展示場オープンを予定している。
■21年3月期は過去最高で増配、22年3月期も大幅増収増益・増配予想
21年3月期の連結業績は売上高が20年3月期比29.0%増の1557億53百万円、営業利益が95.5%増の125億61百万円、経常利益が102.3%増の127億81百万円、親会社株主帰属当期純利益が112.5%増の76億16百万円だった。配当は53円増配の139円(第2四半期末44円、期末95円)とした。
分譲住宅事業が30.9%増収で78.7%増益と大幅伸長して牽引した。よかタウン事業は33.1%増収で65.1%増益、旭ハウジング事業は29.8%増収で206.8%増益、フレスコ事業は17.9%増収で140.2%増益、建新事業は42.2%増収で89.1%増益と、いずれも大幅伸長した。新型コロナウイルスに伴うライフスタイルの変化で、郊外の戸建住宅需要が拡大していることも追い風となった。全体の売上総利益率は3.1ポイント上昇した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高281億29百万円で営業利益10億15百万円、第2四半期は売上高378億61百万円で営業利益27億71百万円、第3四半期は売上高438億13百万円で営業利益44億18百万円、第4四半期は売上高459億49百万円で営業利益43億57百万円だった。
22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比18.8%増の1850億53百万円で、営業利益が22.6%増の154億円、経常利益が18.9%増の152億円、親会社株主帰属当期純利益が31.3%増の100億円としている。配当予想は61円増配の200円(第2四半期末100円、期末100円)である。
強みとしている「KEIAIプラットフォーム」の活用によるコンパクト分譲開発(セミオーダー新築住宅)を中心に成長戦略を加速して、大幅増収増益・連続増配予想としている。収益拡大基調だろう。
■株主優待は9月末の株主対象
株主優待制度は毎年9月30日時点で1単元以上保有株主を対象として、保有株式数に応じてQUOカードを贈呈(詳細は会社HP参照)している。
■株価は上値試す
株価は急伸して上場来高値を更新した。目先的には利益確定売りが優勢になる可能性もあるが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。5月21日の終値は4690円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS704円03銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の200円で算出)は約4.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1728円44銭で算出)は約2.7倍、時価総額は約668億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)