- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- ケンコーマヨネーズは底値圏、22年3月期も減益予想だが保守的
ケンコーマヨネーズは底値圏、22年3月期も減益予想だが保守的
- 2021/5/24 07:45
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ケンコーマヨネーズ<2915>(東1)はマヨネーズ・ドレッシング分野から、タマゴ加工品やサラダ・総菜分野への事業領域拡大戦略を推進している。21年3月期は新型コロナ影響で外食産業向けが落ち込んで減収減益だった。22年3月期は商品ラインナップ拡充や販路拡大などで増収を見込むが、主要原料の価格高騰の影響で減益予想としている。ただし保守的だろう。原料価格が落ち着けば上振れの可能性がありそうだ。株価は軟調展開だが、ほぼ底値圏だろう。反発を期待したい。
■マヨネーズ・ドレッシング類、ロングライフサラダの大手
サラダ・総菜類、タマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類の調味料・加工食品事業、フレッシュ総菜(日配サラダ、総菜)の総菜関連事業等、その他(ショップ事業など)を展開している。ロングライフサラダは国内1位、マヨネーズ・ドレッシング類は国内2位の市場シェアである。ショップ事業の「Salad Cafe」は百貨店などに出店し、主に女性をターゲットにした顧客拡大戦略を推進している。
21年3月期の商材別売上高構成比はサラダ類44%、タマゴ類26%、マヨネーズ・ドレッシング類25%、その他6%、分野別売上高構成比は量販店28%、CVS27%、外食24%、パン13%、給食4%、その他4%だった。21年3月期は新型コロナ影響で量販店向けの構成比が上昇し、外食向けが低下した。
収益面では、鶏卵や野菜などの原材料価格が変動要因となりやすく、プロダクトミックス、工場操業度、原燃料コストなどの影響を受ける。利益還元については連結ベースでの配当性向20%を意識し、配当の継続性に配慮しつつ、今後の成長と発展にあわせて安定配当水準を高めていくことを基本方針としている。
■事業領域拡大と生産能力増強を推進
新中期経営計画KENKO Transformation Plan(21年度~23年度)を策定し、目標値に24年3月期売上高800億円、経常利益40億円を掲げた。withコロナ・afterコロナという事業環境変化に対応し、基本方針として4つのテーマ(BtoBtoC、イノベーション、構造改革、グローバル)に取り組む。
BtoBtoCでは消費者へのブランド認知度向上、使い切り・個食形態の商品開発、イノベーションではSDGsの観点を取り入れたメニュー・商品開発(賞味期限延長など)、サラダショップ展開の加速、生産面でのカーボンニュートラルの実現(静岡富士山工場を環境モデル工場と位置付け)、構造改革では基盤事業の成長に向けた取り組み(分野別事業戦略、新販路への取り組み)、グローバルでは海外拠点(北米販売拠点設立検討、インドネシアIKI社への支援拡大)や輸出販売の拡大などを推進する。
■22年3月期は原料価格高騰で減益予想だが保守的
21年3月期連結の業績は売上高が20年3月期比8.0%減の685億02百万円、営業利益が31.9%減の19億76百万円、経常利益が31.7%減の20億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が29.2%減の14億58百万円だった。配当は11円減配の20円(第2四半期末8円、期末12円)とした。
新型コロナウイルスの影響で、量販店向けは総菜類が伸長して4.8%増収と好調だったが、外食産業向けが20.8%減収、CVS向けが7.7%減収と落ち込んだため、全体として減収減益だった。
調味料・加工食品事業は12.7%減収(サラダ・総菜類が17.5%減収、タマゴ加工品が13.0%減収、マヨネーズ・ドレッシング類が5.8%減収)となり、36.1%減益だった。総菜関連事業等は12.7%増収で36.6%増益と伸長した。外出自粛に伴って量販店での総菜需要が高まり、子会社における設備投資の効果や売上拡大に伴う収益改善も寄与した。その他(ショップ事業)は外出自粛の影響で26.8%減収となり、赤字化した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高157億19百万円で営業利益55百万円の赤字、第2四半期は売上高178億14百万円で営業利益5億85百万円、第3四半期は売上高186億22百万円で営業利益10億12百万円、第4四半期は売上高163億47百万円で営業利益4億34百万円だった。
22年3月期連結業績予想は、売上高が21年3月期比6.9%増の732億円、営業利益が27.6%減の14億30百万円、経常利益が26.9%減の15億円、親会社株主帰属当期純利益が28.0%減の10億50百万円としている。配当予想は5円減配の15円(第2四半期末7円、期末8円)である。
セグメント別売上高の計画は、調味料・加工食品事業が7.1%増収(サラダ・総菜類が6.0%増収、タマゴ加工品が5.2%増収、マヨネーズ・ドレッシング類が10.3%増収)、総菜関連事業等が5.8%増収、その他(Salad Cafeなど)が10.9%増収としている。
テイクアウト需要に対応した商品ラインナップの拡充、ドラッグストアなどの新販路拡大、マヨネーズ類の価格改定(21年7月から)、さらにSalad Cafeのブランド強化などで増収を見込むが、食用油や鶏卵など主要原料の価格高騰の影響で減益予想としている。ただし保守的だろう。原料価格が落ち着けば上振れの可能性がありそうだ。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月末日現在の株主を対象として、保有株式数に応じて当社商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。
■株価は底値圏
なお21年2月19日発表の自己株式取得(上限20万株・4億円、取得期間21年2月22日~22年2月21日)については、21年4月30日時点で累計取得株式数0株となっている。
株価は軟調展開だが、ほぼ底値圏だろう。反発を期待したい。5月21日の終値は1712円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS63円73銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約0.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2159円46銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約282億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)