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ヒーハイストは年初来高値更新の展開、22年3月期増収増益予想
- 2021/5/25 08:06
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ヒーハイスト<6433>(JQ)は小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。直動機器を主力として、精密部品加工やユニット製品も展開している。21年3月期は新型コロナウイルスの影響を受けたが、需要が回復基調となり、従来の赤字予想から一転して黒字で着地した。そして22年3月期は増収増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価は急伸して年初来高値更新の展開だ。増収増益予想に加えて、ホンダのF1モナコGP優勝も支援材料となったようだ。目先的にはやや過熱感だが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■小径リニアボールブッシュの世界トップメーカー
20年7月1日付で商号をヒーハイスト精工からヒーハイストに変更した。小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。独自の球面加工技術や鏡面加工技術をコア技術として、直動機器(リニアボールブッシュや球面軸受けなど)、精密部品加工(レース用部品や試作部品の受託加工など)、ユニット製品(液晶製造装置向けなど)を展開している。
主力のリニアボールブッシュは、機械装置の稼働部に用いられる部品で、金属と金属の接触面を鋼球が転がりながら移動することで摩擦による影響を低減し、機械装置の寿命を延ばす役割を担っている。
21年3月期の製品別売上構成比は直動機器55%、精密部品加工33%、ユニット製品11%だった。主要販売先はTHK<6481>および本田技研工業<7267>である。収益面では産業機械・電子部品・自動車関連の設備投資動向の影響を受けやすく、設備投資関連のため四半期業績が変動しやすい特性もある。
■生産能力向上と採算性向上を推進
収益力向上および経営基盤強化に向けた重点方針として、生産能力向上とコストダウンによる採算性向上、QCDの徹底追求による顧客対応力の強化、顧客ニーズに適合した応用製品の開発と販売、主力製品リニアボールブッシュの競争力強化による拡販、提案型技術営業による新規顧客開拓、海外販売網の構築・強化、従業員の上昇志向と能力の向上を推進している。
■21年3月期は上振れ着地で黒字転換、22年3月期増収増益予想
21年3月期の連結業績は、売上高が20年3月期比3.0%減の22億48百万円で、営業利益が88百万円の黒字(20年3月期は21百万円の赤字)、経常利益が93百万円の黒字(同25百万円の赤字)、親会社株主帰属当期純利益が41百万円の黒字(同3億42百万円の赤字)だった。配当は復配で1円(期末一括)とした。
期前半は新型コロナウイルスの影響を受けたが、第3四半期以降に需要が回復基調となり、従来予想に対して売上高が4億11百万円、営業利益が88百万円、経常利益が93百万円、当期純利益が41百万円、それぞれ上振れて着地(5月13日に上方修正)した。
なお直動機器は0.3%増収(第3四半期以降は27.0%増収)、精密部品加工は6.6%減収(同48.1%増収)、ユニット製品は7.9%減収(同3.6%減収)だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高4億73百万円で営業利益20百万円の赤字、第2四半期は売上高4億21百万円で営業利益68百万円の赤字、第3四半期は売上高5億97百万円で営業利益64百万円の黒字、第4四半期は売上高7億57百万円で営業利益1億12百万円の黒字だった。
22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比3.1%増の23億19百万円、営業利益が15.9%増の1億02百万円、経常利益が6.2%増の99百万円、親会社株主帰属当期純利益が65.7%増の69百万円としている。配当予想は21年3月期と同額の1円(期末一括)である。
新型コロナウイルスの影響による不透明感を考慮しながらも、需要が回復基調で増収増益予想としている。収益拡大を期待したい。
■株価は年初来高値更新の展開
株価は急伸して年初来高値更新の展開だ。増収増益予想に加えて、ホンダのF1モナコGP優勝も支援材料となったようだ。目先的にはやや過熱感だが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。5月24日の終値は558円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS11円27銭で算出)は約50倍、今期予想配当利回り(会社予想の1円で算出)は約0.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS487円61銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約35億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)