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JPホールディングスは調整一巡、22年3月期営業・経常減益予想だが保守的
- 2021/5/27 07:50
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
JPホールディングス<2749>(東1)は総合子育て支援のリーディングカンパニーである。子育て支援の質的向上と事業を通じた社会貢献を推進している。新中期経営計画では重点目標に収益性・効率性の向上、健全性の向上、成長性の向上を掲げた。21年3月期は従来予想を上回る大幅営業・経常増益だった。22年3月期は新人事制度導入に伴う賞与引当金の増加などで営業・経常減益予想としている。ただし保守的だろう。収益拡大を期待したい。株価は急伸した4月の年初来高値圏から反落して上値を切り下げたが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。
■総合子育て支援のリーディングカンパニー
総合子育て支援のリーディングカンパニーである。保育園を中心に、子育て支援の質的向上と事業を通じた社会貢献を推進している。事業区分は、認可保育園や学童クラブなどを運営する子育て支援事業を主力として、保育所向け給食請負事業、英語・体操・リトミック教室請負事業、保育関連用品の物品販売事業、研究・研修・コンサルティング事業なども展開している。
21年3月期末の運営施設数は、保育園が212(認可保育園・公設民営が11、認可保育園・民設民営が177、認可外東京都認証保育所が19、認可外企業主導型保育事業が2、その他認可外保育園が4)、学童クラブが77、児童館が11、合計が301(20年3月期末は297)だった。首都圏を中心に展開している。また受入児童数は19年3月期末比258人増加の1万5581人だった。
なお21年4月1日付で保育園5園(うち2園は東京都認証保育所から認可保育園に移行)、学童クラブ8施設、児童館1施設を新規開設している。
収益は既存施設の稼働率、新規施設の開園、保育士待遇改善に伴う人件費の増加、補助金の増減などが影響する。また新規施設の開園は概ね4月のため、期前半は各施設への保育士配置に係る費用が先行するが、児童数が増加して稼働率が上昇する期後半に向けて収益が拡大する特性がある。
■新中期経営計画を策定
21年5月に新中期経営計画(22年3月期~24年3月期)を策定し、重点目標に収益性・効率性の向上、健全性の向上、成長性の向上、目標数値に24年3月期売上高347億円、経常利益35億円を掲げた。
収益性・効率性向上では、新たなプログラム(幼児学習プログラム、ダンス、アートなど)導入による受入児童数の拡大と競争優位性の確立、配置人数の適正化と運営オペレーションの効率化・ICT化の推進、経営管理・収益管理の体制強化、業務プロセス改革やシステム導入の加速による業務効率化を推進する。なお収益性が悪化した施設については閉園(21年3月末に東京都認証保育所4園および企業主導型保育園1園を閉園、22年3月末に東京都認証保育所1園を閉園予定)を進めている。
健全性の向上では、社会・事業環境の変化を捉えた事業構造改革と経営基盤の強化を図るため、安全・安心な運営・管理体制と子育て支援のさらなる質的向上に向けた人材教育を確立する。
成長性の向上では、子育て支援の取り組みを「待機児童対策」から「少子化社会への対応」として、新たな価値創造に向けたサービス・事業を開発・展開する。21年1月に資本業務提携して第1位株主となった学研ホールディングス<9470>との連携によって、新たな価値創造を目指す。さらにDX化によってグループ競争力の強化を推進する。
なお株主への公平な利益還元の観点から、20年9月末対象をもって株主優待制度を廃止した。
■21年3月期大幅営業・経常増益、22年3月期営業・経常減益予想
21年3月期の連結業績は売上高が20年3月期比3.8%増の329億11百万円、営業利益が47.4%増の22億68百万円、経常利益が47.1%増の29億47百万円、親会社株主帰属当期純利益が52.1%減の5億37百万円だった。配当は20年3月期と同額の3円90銭(期末一括)とした。
新規施設開設、既存施設受入児童数増加、販管費抑制、補助金収入増加などで従来予想を上回る大幅営業・経常増益だった。新型コロナウイルスの影響として、売上面で一部施設の臨時休園・休室・休館というマイナス要因があったが、利益面では臨時休園・休室・休館に伴う給食食材費の減少というプラス要因となった。営業外収益では寮利用者増加に伴って補助金収入が増加した。なお一部施設閉園に伴う園減損損失20億20百万円を特別損失に計上したため、当期純利益は減益だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高78億35百万円で営業利益93百万円、第2四半期は売上高81億20百万円で営業利益5億39百万円、第3四半期は売上高82億73百万円で営業利益7億30百万円、第4四半期は売上高86億83百万円で営業利益9億06百万円だった。なお期後半に向けて稼働率上昇などで利益が増加する収益特性があり、営業外収益の補助金収入も期後半に計上する傾向がある。
22年3月期の連結業績予想は売上高が21年3月期比0.9%増の332億円、営業利益が20.6%減の18億円、経常利益が22.0%減の23億円、親会社株主帰属当期純利益が2.7倍の14億50百万円としている。配当予想は60銭増配の4円50銭(期末一括)である。
売上面では新型コロナウイルスの影響による在宅勤務の増加、出生率低下に伴う少子化加速などで、0歳・1歳児の受入児童数が減少することを想定し、コスト面では新人事制度導入に伴う賞与引当金の増加などで営業・経常減益予想としている。ただし保守的だろう。なお当期純利益は減損損失が一巡して大幅増益予想である。収益拡大を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は急伸した4月の年初来高値圏から反落して上値を切り下げたが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。5月26日の終値は296円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS16円58銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の4円50銭で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS114円42銭で算出)は約2.6倍、時価総額は約260億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)