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サンコーテクノは調整一巡、22年3月期営業・経常増益予想
- 2021/5/29 09:11
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
サンコーテクノ<3435>(東2)は建設用あと施工アンカーなどのファスニング事業を主力として、各種測定器やプラスチック成形機・包装機などの機能材事業も展開している。21年3月期は各種設備工事需要の減少で営業・経常微減益だった。22年3月期は収益認識基準変更で増減率を非記載だが、実質営業・経常増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価はモミ合い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。
■ファスニング事業と機能材事業を展開
ファスニング事業を主力として、機能材事業も展開している。21年3月期のセグメント別売上高構成比はファスニング事業が76%、機能材事業が24%、営業利益構成比(調整前)はファスニング事業が77%、機能材事業が23%だった。ファスニング事業は建設投資関連のため、期後半の収益構成比が高い特性がある。
ファスニング事業は、あと施工アンカー(コンクリート用特殊ネジ・釘類)の製造販売、ドリルやファスナーの製造販売、耐震補強事業、太陽光関連事業、土木建築工事管理などを展開している。あと施工アンカーの最大手である。
機能材事業は、FRPシート関連、電動油圧工具関連、アルコール検知などの各種測定器関連、車両表示板などの電子プリント基板関連、プラスチック成形機・包装機の輸入販売関連などを展開している。19年2月にプリント基板表面実装・加工の浦和電研を子会社化、19年4月にプラスチック成形機・包装機輸入販売の成光産業・成光パックを子会社化した。
21年3月には、呼気アルコール検知器「ALC Face ST-2000」が、鉄軌道運転士の酒気帯び確認要として、東京都の都営地下鉄に採用された。都営地下鉄の各駅に配備(全103台)され、順次運用開始される。
■中長期的に営業利益率8.0%以上目指す
新・中期経営計画(21年度~23年度)では目標値に24年3月期売上高200億円(ファスニング事業145億円、機能材事業55億円)以上、経常利益率8%以上を掲げた。設備投資(M&A除く)は15億円程度としている。
建設現場では現場作業の省力化・機械化ニーズの高まりや非熟練作業者の増加が予想され、現場での使いやすさを高めた施工ツール、あと基礎アンカー、アンカー打込機、紫外線硬化FRPシートといった製品の需要増が期待される。都市再開発や国土強靭化政策などで中期的に事業環境は良好である。
■21年3月期営業・経常微減益、22年3月期実質営業・経常増益予想
21年3月期連結業績は、売上高が20年3月期比3.0%減の179億40百万円、営業利益が2.2%減の14億75百万円、経常利益が3.2%減の14億81百万円、親会社株主帰属当期純利益が1.8%増の10億26百万円だった。配当は20年3月期と同額の26円(期末一括)とした。
ファスニング事業は3.0%減収で6.6%減益だった。インフラ関連を中心に完成工事高が増加したが、建築需要が減少してあと施工アンカーが低調だった。機能材事業は2.9%減収だが15.7%増益だった。電動油圧工具関連、電子基板・アルコール検知器関連、FRPシート関連が減少したが、包装・物流機器関連のM&A効果が通期寄与した。
22年3月期の連結業績予想は、売上高が183億50百万円、営業利益が15億20百万円、経常利益が15億20百万円、親会社株主帰属当期純利益が10億20百万円としている。配当予想は2円増配の28円(期末一括)である。
収益認識に関する企業会計基準第29号を適用するため増減率は非記載だが、21年3月期実績との単純比較で売上高は2.3%増収、営業利益は3.0%増益、経常利益は2.6%増益、親会社株主帰属当期純利益は0.7%減益となる。実質営業・経常増益予想としている。新型コロナウイルスの影響が当面続くと想定しているが、公共投資が堅調に推移して、売上高の計画はファスニング事業が0.8%増の137億円、機能材事業が6.8増減の46億50百万円としている。収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、QUOカード500円分を贈呈(詳細は会社HP参照)している。
■株価は調整一巡
株価はモミ合い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。5月28日の終値は923円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS129円67銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の28円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1695円30銭で算出)は約0.5倍、時価総額は約81億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)