JSPは調整一巡、22年3月期横ばい予想だが保守的

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 JSP<7942>(東1)は発泡プラスチック製品の大手である。成長ドライバーの自動車部品用ピーブロックなど高機能・高付加価値製品の拡販を推進している。21年3月期は新型コロナ影響で減収だが、自動車用を中心に需要が回復基調となって営業増益だった。22年3月期は横ばい予想としているが保守的だろう。上振れを期待したい。株価は上値を切り下げる形だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■発泡プラスチック製品の大手

 発泡プラスチック製品の大手である。押出発泡技術をベースとするポリスチレン・ポリエチレン・ポリプロピレンシートなどの押出事業(産業用包装材、食品用包装材、広告用ディスプレー材、住宅用断熱材など)、ビーズ発泡技術をベースとする発泡ポリプロピレン・発泡ポリエチレン・発泡性ポリスチレン製品などのビーズ事業(自動車衝撃緩衝材、家電製品緩衝材、IT製品輸送用通い函など)、その他事業(一般包材など)を展開している。

 21年3月期セグメント別売上高構成比は押出事業34%、ビーズ事業58%、その他5%、営業利益構成比(調整前)は押出事業41%、ビーズ事業57%、その他2%だった。収益は販売数量、為替、原油価格、原料価格と販売価格の差であるスプレッド、プロダクトミックスなどが影響する。

 なお20年12月には、米国子会社JSP International Groupの電子線架橋ポリエチレンシート事業について、需要拡大が見込めず生産効率改善も進展しないため撤退して会社清算(21年6月末予定)すると発表している。

■自動車部品用ピーブロック拡販など成長戦略推進

 長期ビジョン「VISION2027」では目標値に28年3月期売上高1800億円、営業利益180億円、営業利益率10%を掲げている。
 
 また21年4月公表の新中期経営計画(21年度~23年度)では目標値に24年3月期売上高1200億円、営業利益77億円、営業利益率6.4%以上、経常利益79億円、親会社株主帰属当期純利益52億円、ROA5.6%以上を掲げている。セグメント別計画は押出事業が売上高418億円で営業利益28億円、ビーズ事業が売上高724億円で営業利益60億円、その他が売上高58億円で営業利益1億円、営業利益調整額が▲12億円としている。

 基本方針は変革戦略として、循環性の高いビジネスモデルへのシフト、組織の活性化・効率化を推進する。4つの成長エンジンについては23年度に19年度比で、自動車部品の販売数量23%増、建築住宅断熱材の販売数量12%増、FPD関連保護材の販売数量20%増、新たな事業領域の売上高30億円の達成を目指す。3年間の設備投資額は235億円の計画としている。

 自動車部品用発泡ポリプロピレンのピーブロック(英名ARPRO)は、自動車軽量化要求に対応する製品として需要が急速に拡大し、日系自動車メーカーのシートコア材などへの採用が広がっている。中期成長ドライバーとして期待される。

 省エネ基準適合義務化対象拡大で需要拡大している「ミラフォーム」については、関西工場(兵庫県たつの市)の隣接地に新工場が完成(19年1月)して東西2大生産拠点体制を構築している。

 サステナビリティ経営では、欧州の自動車メーカーからリサイクル原料使用の要求が強く、原料にリサイクルポリプロピレンを用いたARPRO REの採用が始まっている。

■22年3月期横ばい予想だが保守的

 21年3月期の連結業績は、売上高が20年3月期比9.4%減の1026億68百万円、営業利益が2.0%増の51億85百万円、経常利益が5.9%増の55億19百万円、親会社株主帰属当期純利益が17.1%減の30億17百万円だった。特別損失に子会社整理損2億42百万円、子会社における送金詐欺損失9億84百万円を計上した。配当は20年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)とした。

 新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響受けて減収だが、自動車部品用ピーブロックを中心に需要が回復基調となり、付加価値の高い製品の販売増加、原材料価格の下落、生産合理化による固定費削減なども寄与して営業増益だった。押出事業は需要減少で5.5%減収だが、生産合理化効果などで12.3%増益だった。ビーズ事業は上期の自動車分野を中心とする需要減少などで11.6%減収、6.1%減益だった。その他は10.8%減収で6.4%減益だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が248億15百万円で営業利益が9億16百万円、第2四半期は売上高が232億65百万円で営業利益が3億68百万円、第3四半期は売上高が280億65百万円で営業利益が27億54百万円、第4四半期は売上高が265億23百万円で営業利益が11億47百万円だった。

 22年3月期の連結業績予想(収益認識に関する企業会計基準第29号を適用するため21年3月期との比較は非掲載)は、売上高が1130億円、営業利益が50億円、経常利益が52億円、親会社株主帰属当期純利益が34億円としている。配当予想は21年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)である。

 21年3月期との単純比較で見ると売上高は10.1%増収、営業利益は3.6%減益、経常利益は5.8%減益、当期純利益は特別損失が一巡して12.7%増益の見込みとなる。

 押出事業は販売数量増加で4.3%増収だが原料価格上昇で14.6%減益、ビーズ事業は販売数量回復に原料価格上昇に伴う販売価格見直しも寄与して14.2%増収で7.0%増益、その他4.3%増収で4.2%増益の計画としている。

 下期に向けて経済活動の正常化が進むことを想定して2桁増収だが、原油価格上昇や固定費増加などを考慮して営業・経常減益予想としている。ただし保守的だろう。上振れを期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は上値を切り下げる形だが、調整一巡して出直りを期待したい。5月28日の終値は1687円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS114円06銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2767円26銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約530億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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