クリナップは調整一巡、22年3月期増収増益予想

 クリナップ<7955>(東1)はシステムキッチンの大手で、システムバスルームも展開している。サステナブルビジョンとして「人と暮らしの未来を拓く」を掲げた。21年3月期は新型コロナ影響で減収だが、リフォーム需要が緩やかに回復傾向となり、原価低減効果も寄与して増益だった。そして22年3月期は増収増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価は4月の年初来高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。

■システムキッチン大手でシステムバスルームも展開

 システムキッチンの大手で、厨房部門(システムキッチン)および浴槽・洗面部門(システムバスルーム・洗面化粧台)を展開している。21年3月期部門別売上構成比は厨房部門が79%、浴槽・洗面部門が14%、その他が7%だった。

 中高級品に強みを持ち、厨房部門はステンレスキャビネットキッチンのセントロ、ステディア、システムキッチンのラクエラ、コンパクトキッチンのコルティ、浴槽・洗面部門はバスルームのアクリアバス、ユアシス、洗面化粧台のティアリスなどを主力製品としている。

 中高級品市場での更なる競争力強化に向けて、20年6月にKITCHEN TOWN YOKOHAMA(横浜市みなとみらい)をオープンし、旗艦ショールーム全国4拠点(東京、横浜、名古屋、大阪)体制とした。

 販売ルートは工務店の会員登録制組織「水まわり工房」加盟店を主力としている。21年3月期の販売ルート別売上構成比(単体)は、一般ルート(工務店・リフォーム)が80%、ハウスメーカーが15%、直需(マンション)が5%だった。収益面では新設住宅着工件数やリフォーム需要の影響を受けやすい。

■サステナブルビジョンは「人と暮らしの未来を拓く」

 新中期経営計画(21~23年)では目標値に24年3月期売上高1200億円、営業利益50億円、営業利益率4.2%を掲げた。またサステナブルビジョンとして「人と暮らしの未来を拓く」を掲げて、目標は30年度に20年度比で売上高30%増、営業利益3.5倍とした。

 重点施策として、既存事業の需要開拓と低収益からの脱却、新規事業による新たな顧客の創造、ESG・SDGs視点での経営基盤の強化を推進する方針だ。

■22年3月期増収増益予想

 21年3月期の連結業績(4月16日に売上高、利益とも上方修正)は、売上高が20年3月期比3.1%減の1041億85百万円、営業利益が4.6%増の26億14百万円、経常利益が6.6%増の27億14百万円、親会社株主帰属当期純利益が19.2%増の17億46百万円だった。配当は20年3月期と同額の20円(第2四半期末10円、期末10円)とした。

 新型コロナウイルスの影響を受けて減収だが、巣ごもり消費でリフォーム需要が緩やかに回復傾向となり、原価低減効果も寄与して各利益は増益で着地した。厨房部門は2.3%減収、浴槽・洗面部門は7.2%減収だった。なお特別利益に雇用調整助成金1億41百万円を計上した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高220億27百万円で営業利益5億07百万円の赤字、第2四半期は売上高256億45百万円で営業利益5億92百万円、第3四半期は売上高291億36百万円で営業利益22億24百万円、第4四半期は売上高273億77百万円で営業利益3億05百万円だった。

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比5.6%増の1100億円、営業利益が7.1%増の28億円、経常利益が6.8%増の29億、親会社株主帰属当期純利益が3.1%増の18億円としている。配当予想は20年3月期と同額の20円(第2四半期末10円、期末10円)である。

 新型コロナウイルスの影響が不透明だが、積極的な営業活動、生産設備の整備、ショールームの改装、情報基盤整備への投資、原価低減、全社的なコスト削減を推進するとしている。収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は上方修正を好感した4月の年初来高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。5月28日の終値は522円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円79銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1430円20銭で算出)は約0.4倍、時価総額は約195億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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