- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- バルクホールディングスは21年3月期赤字幅縮小、22年3月期黒字化予想
バルクホールディングスは21年3月期赤字幅縮小、22年3月期黒字化予想
- 2021/5/30 08:20
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
バルクホールディングス<2467>(名セ)は、コンサルティング事業およびマーケティング事業を展開し、新規事業のサイバーセキュリティ分野を強化している。21年3月期は赤字幅が縮小した。22年3月期はサイバーセキュリティ分野が拡大して黒字化予想としている。収益改善を期待したい。株価は決算発表を機に急落したが売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。
■セキュリティ事業とマーケティング事業を展開
セキュリティ事業およびマーケティング事業を展開する純粋持株会社である。新規事業としてサイバーセキュリティトレーニングのサイバーセキュリティ分野を強化している。
セキュリティ事業は、バルクが情報セキュリティ規格コンサルティング(プライバシーマーク認定取得支援、ISO27001(ISMS)認証取得支援、および運用支援)分野、米国SCH(Strategic Cyber Holdings)社がサイバーセキュリティ分野を展開している。
マーケティング事業は、バルクがマーケティングリサーチ(大手メーカーの新製品開発時モニター調査)分野、マーケティング・システム・サービスがセールスプロモーション(スーパーなど食品流通事業者のフリーペーパー、食品・飲料メーカーのSPツール・ノベルティの制作)分野を展開している。またアトラス・コンサルティングを持分法適用関連会社としている。
■サイバーセキュリティ分野を強化
サイバーセキュリティ分野は18年1月に、イスラエルのサイバージム社と共同で米国SCH社を設立して参入した。日本と米国において、サイバージムが開発した実践型サイバーセキュリティトレーニングアリーナを運営し、電力や金融など重要インフラストラクチャーセクターの民間企業・政府機関等に対して、サイバーセキュリティトレーニング等のサービスやソリューションを提供している
18年7月米国ニューヨークにコマーシャルアリーナ(フルパッケージサービスを提供する大型トレーニング施設)のCyberGym NYCを開設、18年8月ハイブリッドアリーナ(小型トレーニング施設)のCyberGym Tokyoを開設、18年8月サイバージム社に出資、18年9月サイバーセキュリティコンサルティングの子会社CELを設立した。
国内のサイバーアリーナの展開は、19年8月CYBERGYM新宿アリーナ(運営主体はインターネット総合研究所)を開設、20年11月CYBERGYM八重洲アリーナ(クロスポイントソリューションとの合弁会社クロスポイントセキュリティジムが運営、持分法適用関連会社)を開設した。
CYBERGYM大阪については新型コロナウイルスの影響を考慮して、開設日程を21年5月までを目途に変更した。また運営会社のサイバーコマンドはDXHR社が主体となって設立することに変更、開設予定地も変更した。
なおサイバージム社との共同事業の枠組みを見直して、21年3月に米国SCH社が米国でのセキュリティトレーニング事業展開のために保有するライセンス・設備(NYコマーシャルアリーナ)一式をサイバージム社に譲渡した。これによって米国SCH社の固定費が大幅に削減された。今後のグローバル戦略として、日本国内および近隣のアジア地域では当社グループ、米国ではサイバージム社が主導して展開する。またサイバージム社に対する出資比率を高める。
■21年3月期は赤字幅縮小、22年3月期は黒字化予想
21年3月期の連結業績は、売上高が20年3月期比8.5%増の14億68百万円、営業利益が3億04百万円の赤字(20年3月期は5億67百万円の赤字)、経常利益が3億25百万円の赤字(同11億35百万円の赤字)、親会社株主帰属当期純利益が4億34百万円の赤字(同13億20百万円の赤字)だった。
新型コロナウイルスの影響で米国NYのサイバーアリーナが一時使用停止となり、第4四半期に予定していた国内外での複数のサイバーアリーナ販売が期ズレとなったため売上高が計画を下回り、各利益は赤字だった。ただし前期比では増収効果に加えて、海外セキュリティ事業における経費の大幅削減で販管費が減少したため、赤字幅が縮小した。なお特別損失に投資有価証券評価損1億45百万円を計上した。
セキュリティ事業は19.7%増収で赤字縮小した。セキュリティ分野は新型コロナウイルスの影響を受けたが、情報セキュリティ規格のコンサルティングサービスが堅調に推移し、海外セキュリティ事業における経費の大幅削減で販管費が減少した。マーケティング事業は3.0%増収で42.0%増益だった。上期に新型コロナウイルスの影響を受けたが、下期に需要が急回復した。
22年3月期の連結業績予想は売上高が21年3月期比24.9%増の18億34百万円、営業利益が33百万円の黒字(21年3月期は3億04百万円の赤字)、経常利益が12百万円の黒字(同3億25百万円の赤字)、親会社株主帰属当期純利益が8百万円の黒字(同4億34百万円の赤字)としている。
サイバーセキュリティ分野が拡大し、海外事業で計上していた経費がなくなるため黒字化予想としている。なおサイバーセキュリティ分野では、中部エリアの新規オープンや東京データセンターのオープンも予定している。収益改善を期待したい。
■株価は売り一巡
株価は決算発表を機に急落したが売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。5月28日の終値は236円、時価総額は約26億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)