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システムサポートは調整一巡、21年6月期大幅増益予想
- 2021/5/30 08:39
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
システムサポート<4396>(東1)はデータベース関連・クラウド関連・ERP関連のソリューション事業を主力として、ストック収益のプライベート型クラウドサービスや自社開発の統合型基幹システム「役者」シリーズの拡大を推進している。21年6月期は上方修正して大幅増益予想としている。22年6月期も収益拡大を期待したい。株価は上値を切り下げて軟調だが、調整一巡して出直りを期待したい。
■ソリューション事業が主力
データベース関連・クラウド関連・ERP関連サービスなどのソリューション事業を主力として、データセンターサービスやシステム保守・運用などのアウトソーシング事業、パッケージソフト開発・販売などのプロダクト事業も展開している。
20年6月期のセグメント別(連結調整前)売上構成比は、ソリューション事業が83%、アウトソーシング事業が13%、プロダクト事業が4%、その他が0%、売上総利益構成比はソリューション事業が76%、アウトソーシング事業が15%、プロダクト事業が9%、その他が▲0%だった。
主力のソリューション事業は、Oracleデータベースの設計・構築・保守・運用などのデータベース関連サービス、AWSやAzureの基盤構築・導入・移行支援などのクラウド関連サービス、SAPの導入・保守・運用などのERP関連サービス、およびITシステム開発を展開している。
収益力向上に向けてストック収益のプライベート型クラウドサービスを拡大するため、地震の少ない金沢市にデータセンターを設置し、プロダクト事業では自社開発の統合型基幹システム「役者」シリーズの拡販を推進している。また米国シリコンバレーに子会社を設立し、最先端のIT技術・サービスの発掘に努めている。
21年2月には、持込パソコン・持込メディアのウイルス感染有無を検査して社内ネットワーク接続可否を判定するセキュリティチェックシステム「PC検疫 けんちくん」の提供を開始した。21年3月には「LINE WORKS」と「建て役者」の連携機能第2弾として、点検訪問の効率化をサポートする「点検bot」の提供を開始した。21年5月にはクラウド型シフト管理システム「SHIFTEE」新バージョンの提供を開始した。また「建て役者」の新機能として電子受発注(EDI)オプションの提供を開始した。
■データベース領域やクラウド領域での高い技術力が強み
データベース領域やクラウド領域での高い技術力を強みとしている。
データベース領域では、Oracleデータベース技術者に対する最高峰の認定資格ORACLE MASTER Platinum保有者数が国内累計3位、単年2位(18年8月時点)である。また19年度のORACLE Cloud Platform(PaaS/IaaS)認定資格取得数が国内1位となり、ORACLE Certification Awardを受賞した。
クラウド領域では、米アマゾン社のクラウドサービスAWSに関して、AWSコンピテンシープログラムでOracleコンピテンシーを取得している日本企業のうちの1社である。さらに米マイクロソフト社のクラウドサービスAzureに関して、Gold Cloud Platformパートナーに認定されている。
20年11月にはマイクロソフトのパートナープログラムにおいてAdvanced Specializationを取得した。また金沢市および日本マイクロソフトとの三者で、クラウドを活用した地域活性化に関する連携協定を締結した。21年5月には金沢市デジタル戦略に基づいて日本マイクロソフトとともに、市職員のDX人材育成に協力する金沢市デジタル行政推進リーダー育成研修を開始した。
■21年6月期は利益を上方修正して大幅増益予想
21年6月期連結業績予想(5月13日に利益を上方修正)は売上高が20年6月期比7.2%増の143億42百万円、営業利益が12.4%増の8億48百万円、経常利益が21.6%増の8億66百万円、親会社株主帰属当期純利益が31.6%増の5億92百万円としている。配当予想(2月10日に期末10円上方修正)は、20年6月期比10円増配の20円(期末一括)である。
第3四半期累計は売上高が前年同期比5.9%増の106億03百万円、営業利益が12.0%増の7億76百万円、経常利益が22.0%増の8億円、四半期純利益が33.8%増の5億39百万円だった。需要が高水準に推移し、原価率改善や販管費抑制も寄与して大幅増益だった。
ソリューション事業は6.2%増収で9.2%増益だった。高利益率のクラウドシステム(ServiceNow)導入など、クラウドサービス利用支援分野の受注が拡大した。アウトソーシング事業は7.7%増収で10.6%増益だった。AI関連サービスを含むデータセンター業務が好調だった。プロダクト事業は5.5%減収で10.7%減益だった。前年の建て役者の大型カスタマイズ案件の反動で減収減益だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高32億77百万円で営業利益2億02百万円、第2四半期は売上高36億40百万円で営業利益3億06百万円、第3四半期は売上高36億86百万円で営業利益2億68百万円だった。
通期ベースでも需要が高水準に推移し、原価率改善、販管費抑制、営業外での助成金収入も寄与して大幅増益予想としている。重点施策として、ソリューション事業においてはデータベースおよびクラウド基盤関連の強化、米国発の企業向けクラウドサービス「ServiceNow」導入・利用支援の強化、ストック収益となるデータセンターの稼働率上昇、自社プロダクトの販売強化などを推進する方針だ。22年6月期も収益拡大を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は上値を切り下げて軟調だが、調整一巡して出直りを期待したい。5月28日の終値は1371円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS57円48銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS239円45銭で算出)は約5.7倍、時価総額は約142億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)