【決算記事情報】科研製薬は21年3月期大幅減収減益、22年3月期増収増益予想

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 科研製薬<4521>(東1)は皮膚科領域・整形外科領域を主力とする医薬品メーカーである。21年3月期は薬価改定や新型コロナウイルス影響などで大幅減収減益だった。22年3月期は拡販を推進して増収増益予想としている。

■皮膚科および整形外科領域が主力の医薬品メーカー

 皮膚科領域および整形外科領域を主力とする医薬品メーカーで、農業薬品、飼料添加物、不動産賃貸(文京グリーンコート関連賃貸)なども展開している。なお再開発を進めていた科研大阪ビルが21年4月、淀屋橋KAKENビルとして竣工した。

 主力の国内医療用医薬品・医療機器は、外用爪白癬治療剤のクレナフィン、関節機能改善剤のアルツ、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルム、創傷治癒促進剤のフィブラストスプレー、排尿障害改善剤のエブランチル、歯周組織再生剤のリグロス、腰椎椎間板ヘルニア治療剤のヘルニコア、およびジェネリック医薬品である。

 日本初の原発性腋窩多汗症用外用剤エクロック(開発コードBBI-4000、米国Brickell Biotechから導入)は、20年9月国内製造販売承認取得して20年11月販売開始した。

 中期経営計画2021では持続的成長に向けた基盤の確立を目指し、開発パイプラインの充実、クレナフィン(海外展開)および新製品(海外展開、適応拡大)の価値最大化、営業基盤の強化・効率化、生産性向上のための人材育成・業務改革を推進している。なお新型コロナウイルス影響などを考慮して、22年3月期の目標数値を下方修正した。

 外用爪白癬治療剤のクレナフィンの海外展開については、米国、カナダ、韓国、台湾、香港・マカオにおいて、それぞれの導出先企業がJubliaの商品名で販売している。また中国では、開発・販売権を供与(19年2月)しているAIM(中国天津市)が中国当局に新薬承認申請を行い、21年3月に申請が受理された。

 21年1月には、ブロックチェーン技術を活用したデータプラットフォーム事業で医療・ヘルスケア領域への展開を目指すジーネックス(マネックスグループの関係会社)に出資して業務提携した。21年2月には、持田製薬が骨粗鬆症治療剤として販売しているテリパラチドBS皮下注キット「モチダ」について、日本国内におけるコ・プロモーション契約を締結した。

■開発パイプライン

 21年3月期末時点の主要開発パイプラインの状況は、熱傷焼痂除去を適応症とするKMW-1(メディウンド社から導入、海外製品名NexoBrid)が承認申請準備中、アタマジラミ症を適応症とするKAR(イベルメクチン)(アーバー社から導入、海外製品名Sklice)が第3相準備中、爪白癬症を適応症とするKP-607(自社創薬)が第2相段階である。また原発性腋窩多汗症用外用剤エクロックの適応拡大で、原発性掌蹠多汗症を適応症とするBBI-4000の第1相を準備中である。

 提携先が治験中の案件として、レナバサム(米国コーバス社から導入)は、コーバス社が全身性強皮症と皮膚筋炎を適応症として国際共同第3相段階である。なお尋常性乾癬を適応症とするKP-470(自社創薬)は導出先のボシュ・ヘルス社との契約を終了した。

 21年1月には、がん領域に特化したバイオ医薬品会社のニューマブ社(スイス)と、アトピー性皮膚炎を対象とする新規多重特異性抗体医薬候補物質NM26―2198に関して、日本およびアジアでの開発・事業化のライセンスおよび共同開発契約を締結した。

■21年3月期は大幅減収減益、22年3月期は増収増益予想

 21年3月期の連結業績は、売上高が20年3月期比16.0%減の749億79百万円、営業利益が32.9%減の177億88百万円、経常利益が32.4%減の182億22百万円、親会社株主帰属当期純利益が30.8%減の134億05百万円だった。配当は20年3月期と同額150円(第2四半期末75円、期末75円)とした。

 薬価改定や新型コロナウイルスに伴う医療機関受診抑制の影響などで大幅減収減益だった。研究開発費は5.0%増の67億36百万円だったが、計画の82億円を下回った。なお特別利益には固定資産売却益3億79百万円、投資有価証券売却益1億15百万円を計上し、特別損失では前期計上の減損損失2億87百万円が剥落した。

 主要医薬品の売上高はクレナフィンが13.7%減収、アルツが19.8%減収、セプラフィルムが9.3%減収、フィブラストスプレーが7.4%減収、エブランチルが0.5%減収、リグロスが6.7%増収、ヘルニコアが6.1%減収、ジェネリック医薬品が10.6%減収だった。

 22年3月期の連結業績予想は売上高が21年3月期比5.6%増の792億円、営業利益が5.7%増の188億円、経常利益が5.4%増の192億円、親会社株主帰属当期純利益が4.4%増の140億円としている。拡販を推進して増収増益予想としている。

 配当予想は21年3月期と同額150円(第2四半期末75円、期末75円)である。なお自己株式取得(上限50万株・25億円、取得期間21年5月10日~21年12月24日)を発表している。

 主要医薬品の売上高計画はクレナフィンが8.4%増収、アルツが1.0%減収、セプラフィルムが6.3%増収、フィブラストスプレーが0.4%増収、エブランチルが0.9%減収、リグロスが9.8%増収、ヘルニコアが40.1%増収、ジェネリック医薬品が2.2%減収としている。研究開発費は39.5%増の94億円の計画である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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