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日本エンタープライズは調整一巡感、21年5月期増収増益予想
- 2021/6/2 07:50
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
日本エンタープライズ<4829>(東1)は、クリエーション事業(コンテンツサービス、ビジネスサポートサービスなど)とソリューション事業を展開している。21年5月期はキッティング支援サービスなどが牽引して増収増益予想としている。DXの流れも背景として好業績を期待したい。株価は安値圏に回帰してやや軟調だったが調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。なお7月9日に21年5月期決算発表を予定している。
■クリエーション事業とソリューション事業を展開
事業ポートフォリオを再構築して、自社保有の権利・資産を活用するクリエーション事業(エンターテインメントやライフスタイルのモバイルコンテンツを通信キャリアの定額制サービスで配信するコンテンツサービス、キッティング支援や交通情報サービスなどを提供するビジネスサポートサービス、山口県における太陽光発電など)と、法人向けのソリューション事業(システム受託開発・運用サービス、法人向け中古端末買取・販売サービスなど)を展開している。
なお21年6月1日付で連結子会社の交通情報サービスを吸収合併した。新規サービス開発や管理コスト最適化を推進する。
■クリエーション事業ではキッティング支援などを強化
クリエーション事業のコンテンツサービスでは多彩なジャンルをカバーした総合電子書籍サービス、女性のための美と健康をサポートするアプリ、オールジャンルの商品を取り扱うフリーマーケットアプリ、ビジネスサポートサービスではキッティング作業支援のRPAツールKitting-One、交通情報サービスのATIS on Cloud、IP-PBXソフトウェアPrimus、テレワーク支援の電話会議システムT-Macss電話会議(20年4月開始)、Web会議システムNEEDS(20年7月開始)、飲食事業者向け鮮魚ECサイトのいなせり、および太陽光発電を強化している。
20年8月にはキッティングツール開発・販売の子会社のプロモートが、多数の無線接続を効率良く行う「無線接続システムおよび無線接続プログラム」に関して特許を取得した。今後段階的にキッティングツールへの実装作業を行っていく予定としている。20年11月にはWeb会議システムNEEDSに顔認証機能を導入した。
また、NTTドコモのスマートフォン向け定額サービス「スゴ得コンテンツ」に提供しているゲームポータルサイト「ちょこっとゲームforスゴ得」が、巣ごもり消費も追い風としてスゴ得コンテンツランキングで上位にランクインしている。
■ソリューション事業では法人向けサービスなどを強化
ソリューション事業のシステム開発・運用サービスでは、法人向けソリューションサービス、クラウド型高精度AI在庫管理システムSTOCK STREAMS、中古端末買取販売サービス、医療介護従事者向け搭載端末MCS Mobile、新型コロナウイルス感染症対策商材の次世代ガラスコートNEコートDXなどを強化している。
20年7月には子会社の山口再エネ・ファクトリーの商号をスマート・コミュニティ・サポートに変更した。地方創生に向けたスマート・コミュニティ事業を本格的に推進する。
法人向けWeb・アプリ開発・業務支援サービスの子会社ダイブは、20年8月NTTドコモ<9437>の「dポイント」および「d払い」の東海エリアでの販売活動に関する業務委託契約を締結、20年11月NTTドコモ関西支社と教育ICT分野の営業支援に関する業務委託契約を締結した。
■21年5月期増収増益予想
21年5月期連結業績予想は売上高が20年5月期比11.5%増の40億円、営業利益が27.2%増の3億40百万円、経常利益が9.6%増の3億40百万円、親会社株主帰属当期純利益が13.3%増の2億円としている。配当予想は50銭増配の2円50銭(期末一括)である。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比20.7%増の31億61百万円、営業利益が6.3%増の2億04百万円、経常利益が6.7%減の2億17百万円、四半期純利益が60.2%減の60百万円だった。
増収・営業増益だった。ビジネスサポートサービスにおいて法人向けキッティング支援の需要が増加し、増収効果で原価や販管費の増加を吸収した。経常利益は営業外収益での補助金収入の減少で減益、四半期純利益はソフトウェアに係る減損損失も影響して減益だった。
クリエーション事業は1.5%増収で6.9%増益だった。コンテンツサービスは7.6%減収と低調だったが、ビジネスサポートサービスがキッティング支援の大型案件も寄与して16.8%増収と好調だった。ソリューション事業はシステム開発・運用サービスが大幅増加して48.0%増収だが、売上原価の増加で10.4%減益だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高9億36百万円で営業利益40百万円、第2四半期は売上高9億50百万円で営業利益36百万円、第3四半期は売上高12億75百万円で営業利益1億28百万円だった。第3四半期は回復傾向となった。
通期は増収増益予想としている。キッティング支援サービスの好調(第3・第4四半期に大型案件受注予定)が牽引する。また21年春にリバースオークション「Profair」が大手公共企業に導入予定としている。さらに、収益性の高い通信キャリア向けコンテンツサービスの拡充、DX対応した受託開発や業務支援サービスの拡大、新事業展開も推進する方針だ。第3四半期累計の進捗率は営業利益60.0%、経常利益63.8%とやや低水準の形だが、DXの流れも背景として通期ベースで好業績を期待したい。
■株価は調整一巡感
株価は安値圏に回帰してやや軟調だったが調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。6月1日の終値は215円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS4円98銭で算出)は約43倍、今期予想配当利回り(会社予想の2円50銭で算出)は約1.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS125円00銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約86億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)