【アナリスト水田雅展の銘柄分析】パイプドビッツは16年2月期大幅増収増益予想を評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 パイプドビッツ<3831>(東1)は情報資産プラットフォーム事業やソリューション事業を展開している。株価は上げ一服の形だが、16年2月期大幅増収増益予想を評価して2月の年初来高値2090円を目指す展開だろう。マイナンバー制度関連も評価材料だ。なお6月30日に第1四半期(3月~5月)の業績発表を予定している。

 国内最大規模の情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業(データ管理などクラウドサービス提供)、広告事業(アフィリエイトASP一括管理サービス「スパイラルアフィリエイト」など)、およびソリューション事業(ネット広告制作、アパレル・ファッションに特化したECサイト構築・運営受託、子会社ペーパレススタジオジャパン(PLSJ)のBIMコンサルティング事業など)を展開している。

 情報資産プラットフォーム事業では「スパイラル」、アパレル特化型ECプラットフォーム「スパイラルEC」、会計クラウド「ネットde会計」「ネットde青色申告」、クラウド型グループウェア×CMS×SNS連携プラットフォーム「スパイラルプレース」などを主力としている。

 また薬剤・医療材料共同購入プラットフォーム「JoyPla」、美容関連のヘアカルテ共有サービス「美歴」、地域密着型SNS「I LOVE 下北沢」、政治・選挙プラットフォーム「政治山」、BIM建築情報プラットフォーム「ArchiSymphony」などを展開し、14年3月にはアズベイスを子会社化してコールセンタープラットフォームサービス「BizBase」にも事業領域を広げている。

 15年3月にはパイプドビッツ総合研究所を設立した。政府の政策に対して情報通信技術の活用や課題、先行事例などさまざまな調査研究や実証実験を行い、公表や提言などを通じて地域や社会の課題解決に貢献するとしている。そして5月29日には1万人ニーズ調査第4弾「マイナンバー政策の分析レポート」、6月11日には1万人ニーズ調査第5弾「省エネ・低炭素社会推進政策の分析レポート」を公開した。

 M&A・アライアンス戦略では、15年2月に世界有数のソフトウェアベンダーである米スプリンクラー社の日本法人スプリンクラー・ジャパン社に出資(A種優先株式)し、15年3月には米スプリンクラー社に純投資目的で総額約400万米ドル出資した。また15年3月にはカレン(東京都)に出資して事業連携を強化した。

 15年4月には子会社PLSJとエヌ・シーエヌ(岐阜県)が住宅業界向けBIM事業を展開する合弁会社MAKE HOUSEを設立、ソフトブレーン<4779>と業務提携した。15年5月には自治体広報紙へのオープンデータ利活用モデル事業化を目的として新会社パブリカを設立した。

 なお15年2月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)7億14百万円、第2四半期(6月~8月)7億98百万円、第3四半期(9月~11月)8億00百万円、第4四半期(12月~2月)8億61百万円で、営業利益は第1四半期1億40百万円、第2四半期1億65百万円、第3四半期1億71百万円、第4四半期1億49百万円だった。

 契約数増加に伴って収益は拡大基調である。15年2月期末の有効アカウント数(全事業合計)は14年2月期末比661件増加の1万757件だった。また15年2月期の配当性向は34.1%、ROEは14年2月期比2.2ポイント低下の15.9%、自己資本比率は同0.2ポイント低下の77.6%だった。

 今期(16年2月期)の連結業績予想(3月31日公表)は売上高が前期比26.0%増の40億円、営業利益が同31.2%増の8億20百万円、経常利益が同29.2%増の8億20百万円、純利益が同31.6%増の4億90百万円としている。16期連続で営業最高益更新の見込みだ。配当予想は同2円増配の年間18円(第2四半期末8円、期末10円)としている。予想配当性向は30.0%となる。

 主力の情報資産プラットフォーム事業の好調が牽引する。契約数増加に伴って契約売上高(月額課金)が順調に増加する見通しだ。名古屋営業所開設による中部圏の販売網拡大も寄与する。

 積極的な事業・育成・開発投資や人材採用を継続する。スプリンクラー・ジャパン社への出資を通じて、新規事業領域であるソーシャル分野(Sprinklr事業)へも進出する方針だ。

 なお出資先で持分法適用会社の可能性があるスプリンクラー・ジャパン社とカレンの業績、および純投資目的の出資先である米スプリンクラー社の投資評価損益などについては、現段階では業績への影響は軽微のため業績予想に織り込んでいないとしている。

 14年3月発表の「中期経営計画2017」では、15年2月期から17年2月期を「次世代ITベンダーへと革新する3ヵ年」と位置付けて、目標数値に17年2月期売上高92億円、営業利益28億円を掲げている。ストック型の収益構造であり、情報資産プラットフォーム事業が牽引して中期的にも収益拡大基調だろう。

 なお3月31日に純粋持株会社への移行を発表した。15年9月1日付(予定)で、株式移転によって純粋持株会社パイプドビッツHDを設立し、東証1部に上場する。経営効率の向上、組織再編の柔軟性・機動性確保、グループ全体の最適化とガバナンス機能の強化を目的として、中長期の持続的成長および企業価値向上を推進するとしている。

 株価の動きを見ると、5月1日に付けた直近安値1701円から切り返して5月29日の1932円まで上伸した。その後は上げ一服の形だが5月安値水準まで下押すことなく、1800円近辺から切り返す動きだ。

 6月12日の終値1819円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円76銭で算出)は30倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は1.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS326円10銭で算出)は5.6倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を挟む展開だが、52週移動平均線近辺から切り返して下値を確認した形だ。16年2月期の大幅増収増益予想を評価して2月の年初来高値2090円を目指す展開だろう。マイナンバー制度関連も評価材料だ。

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