【アナリスト水田雅展の銘柄分析】山下医科器械は収益改善基調を評価して水準切り上げ

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 山下医科器械<3022>(東1)は九州を地盤とする医療機器専門商社である。株価は急伸した5月高値から利益確定売りで反落したが、収益改善基調を評価して水準切り上げの展開だろう。

 九州を地盤とする医療機器専門商社である。医療機器の販売・メンテナンスおよび医療材料・消耗品などの販売を主力として、子会社イーピーメディックは整形インプラントを製造販売している。

 中期成長に向けて、九州最大の需要地である福岡県での市場シェア拡大を最重点戦略としている。医療機関向けSPD(病院医療材料管理業務)の契約施設数増加に対応するため、13年7月に福岡SPDセンター(福岡県福岡市)を新設し、鳥栖SPDセンター(佐賀県鳥栖市)との2拠点体制とした。

 さらに15年1月には、西諫早産業団地(長崎県諫早市)への進出に向けて諫早市との協定締結を発表した。長崎物流センター・SPDセンター(仮称)として物流体制を強化する方針だ。総投資額は約17億円で15年7月着工、16年6月稼働を予定している。

 また6月8日には、パナソニックヘルスケアとの合弁会社メディコムネットワークス九州の設立を発表した。電子カルテやレセコンなどのメディコム製品および関連機器の販売・サービスを展開する。15年8月1日設立、10月1日営業開始予定で、出資比率はパナソニックヘルスケア51%、当社49%である。業績への影響は軽微としている。

 13年12月に判明した従業員による不正行為に関して、14年2月28日に独立行政法人国立病院機構から指名停止(14年2月28日~14年11月27日)および一般競争参加資格降格(14年11月28日~15年8月27日)の処分を受けた。当該処分の対象となる施設の13年5月期売上高は全社売上高の1割強としている。

 不正行為の再発防止策に関して4月17日再発防止策実施状況その1、5月16日再発防止策実施状況その2、6月13日再発防止策実施状況その3、8月18日再発防止策実施状況その4を発表している。再発防止と信頼回復に向けて今後も実施状況を随時報告する方針だ。なお14年11月27日を以って指名停止期間満了となり、14年11月28日から一般競争参加資格の降格措置期間に入った。

 前期(15年5月期)の連結業績予想は5月20日に増額修正して、売上高が前々期比1.5%減の502億87百万円、営業利益が同38.5%減の5億15百万円、経常利益が同28.6%減の5億90百万円、そして純利益が同34.3%減の3億63百万円としている。

 配当予想も5月20日に期末20円増額修正して年間40円(期末一括)とした。前期との比較では16円減配だが、修正後の1株あたり純利益で算出すると予想配当性向は28.1%となる。安定的な配当の継続を基本方針とし、配当水準として連結配当性向30%を基準としている。

 病院建て替えなど大型設備更新案件の減少、消費増税後の需要減少、指名停止措置の影響で減収減益だが、期後半の一般機器分野などの売上回復が想定以上となった。また低侵襲治療分野における腹腔鏡システム等のサージカル備品や内視鏡処置用消耗品の売上が増加したこと、医療ガス設備工事の受注が増加したことも寄与して、前回予想に比べて減収幅、減益幅とも縮小したようだ。

 なお第3四半期累計(6月~2月)を四半期別に見ると、売上高は第1四半期(6月~8月)105億82百万円、第2四半期(9月~11月)126億55百万円、第3四半期(12月~2月)118億52百万円、営業利益は第1四半期45百万円の赤字、第2四半期2億21百万円、第3四半期50百万円である。

 今期(16年5月期)については、国立病院機構の一般競争参加資格の降格措置が第1四半期(6月~8月)で終了するため、影響が一巡して収益改善基調が期待される。

 株主優待制度については、毎年11月30日および5月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。100株~999株保有株主に対して500円相当のクオカード、1000株~1999株保有株主に対して1000円相当のクオカード、2000株以上保有株主に対して1500円相当のクオカードを贈呈する。

 株価の動きを見ると、15年5月期連結業績と配当予想の増額修正を好感して5月22日2194円まで急伸し、14年5月の2120円を突破した。その後は利益確定売りで反落したが、急伸前の1700円~1800円まで戻ることなく、1900円近辺で売り一巡感を強めている。

 6月12日の終値1924円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS142円46銭で算出)は13~14倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間40円で算出)は2.1%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS2191円36銭で算出)は0.9倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線近辺で下げ渋る動きだ。また週足チャートで見ると高値圏で長い上ヒゲを付けたが、サポートラインの13週移動平均線が接近して再動意のタイミングのようだ。収益改善基調を評価して水準切り上げの展開だろう。

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