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【アナリスト水田雅展の銘柄診断】ジャパンフーズは10月安値で底打ちして強基調に転換、出直り本格化
- 2014/12/9 13:26
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
飲料受託生産大手ジャパンフーズ<2599>(東1)の株価は10月安値で底打ちして強基調へ転換したようだ。今下期(14年10月~15年3月)以降の収益改善トレンドに加えて、1倍割れ水準の低PBRも評価して出直りの動きが本格化しそうだ。
伊藤忠商事<8001>系で飲料受託生産の国内最大手である。品目別には炭酸飲料と茶系飲料を主力として、コーヒー飲料、果汁飲料、機能性飲料、酒類飲料、ファーストフード店のディスペンサーでサービスされる業務用濃縮飲料(ウーロン茶、アイスコーヒーなど)を製造している。
主要得意先はアサヒ飲料、キリンビバレッジ、伊藤園<2593>、サントリー食品インターナショナル<2587>などの大手飲料メーカーである。容器別にはペットボトルを主力として、缶は戦略的に減少させている。
14年4月に中期経営計画「JUMP2015」のレビューと見直しを発表し、成長に向けた基本戦略をコアビジネス(国内飲料受託製造事業)の収益拡大、新規ビジネス(海外事業、水宅配事業、自社ブランド商品、その他)の着実な推進、そして成長戦略を支える経営基盤の強化としている。定量計画(イメージ)には15年度連結ベース売上高390億円、営業利益15億50百万円、経常利益15億円、純利益10億円、ROE11.4%を掲げている。
新規ビジネス分野では、国内で水宅配事業を展開するウォーターネット、中国で飲料受託製造事業を展開する東洋飲料(常熱)有限公司への出資比率を引き上げている。ウォーターネットの販売数量、東洋飲料(常熱)の受託数量とも順調に増加しているようだ。
自社ブランド商品に関しては、本社工場がある千葉県産の農林水産物を使用した商品の開発に取り組み「おいしい房総サイダー」シリーズなどを千葉県中心に販売している。また14年9月にはレモンウォーター「房総れもん」を数量限定および千葉県限定で発売した。千葉県鴨川市産レモンを使用して千葉県と共同開発した。
中期経営計画に基づく積極投資を推進して、12年7月に本社工場で世界最新鋭の炭酸・非炭酸兼用無菌充填ライン(Eライン)が稼動し、14年3月には既存大型ペットボトルライン(Tライン)も炭酸・非炭酸兼用無菌充填ライン化した。さまざまな容器を世界最大級の1工場で生産するため、受注状況に応じてラインを組み換えるなど効率的な生産が可能になった。さらに容器のコストダウンなどにも積極的に取り組んでいる。
今期(15年3月期)の業績(非連結)見通し(9月11日に減額修正)は売上高が前期比11.4%減の284億円、営業利益が同30.3%減の6億50百万円、経常利益が同28.0%減の6億80百万円、そして純利益が同21.4%減の3億80百万円としている。配当予想は前回予想(4月24日公表)を据え置いて前期と同額の年間27円(第2四半期末10円、期末17円)としている。
今期第2四半期累計(14年4月~9月)は消費増税に伴う駆け込み需要の反動影響、全国的な天候不順や消費減退の長期化の影響を受けて飲料業界全体の販売数量が減少したため、当社の受託数量も減少して大幅減収減益だった。しかし今下期(14年10月~15年3月)には飲料業界の在庫調整が一巡し、新規受託案件も寄与して、前下期(13年10月~14年3月)との比較で受託数量が増加する見通しだ。
今下期の計画は売上高が127億40百万円、営業利益が1億41百万円の赤字としている。飲料業界は冬場が閑散期のため下期が赤字となる収益構造だが、今下期は前下期との比較で売上高は10.3%増収となり、営業利益は赤字幅が4億90百万円縮小する見通しだ。
収益トレンドで見れば、消費増税や天候不順の影響を受けた今上期がボトムとなり、今下期以降は新規受託案件も寄与して収益改善トレンドとなる。さらに来期(16年3月期)は消費増税や天候不順の影響一巡、新規受託案件の増加、新ラインの効率稼働によるコスト削減、減価償却費の減少などで大幅な収益改善が期待されるだろう。
株価の動きを見ると、10月30日の年初来安値1060円から切り返しの動きを強めている。12月2日と3日には1135円まで戻した。今期の減収減益見通しを織り込み、来期の収益改善を期待する動きだろう。
12月8日の終値1125円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS78円79銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間27円で算出)は2.4%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS1485円56銭で算出)は0.8倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線を突破して上伸した。また週足チャートで見ると戻りを押さえていた13週移動平均線を突破した。10月安値で底打ちして強基調への転換を確認した形だろう。今下期以降の収益改善に加えて、1倍割れ水準の低PBRも評価して出直りの動きが本格化しそうだ。