ラクーンの株価は5日連続で下げるが、SD exportの立ち上がり次第では、今期業績の上振れ余地もあることから、一段高も

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■外需を取り込むSDexportに対する出展企業の期待は高く、セミナーは満杯状態

 ラクーン<3031>(東マ)の株価は、5日連続で下げるが、今期業績予想は、2ケタ増収増益を見込み、SD exportの立ち上がり次第では、上振れ余地も予想されることから、一段高も期待される。

 11日に開催された決算説明会で、代表取締役社長小方功氏は、各事業の方針と、8月25日より、世界134カ国に向けて、出展企業1000社の約45万アイテムの卸販売がスタートするSD exportについて語った。

 「今期の業績予想について、保守的ではないかとう意見もありますが、今期よりスタートするSDexportについては、全く予想が出来ていないので、今期の業績にはそれほど見込んでいません。しかし、取引先の期待は大きいので、SDexportの広告を積極的に出していきたいと思っています。

 EC事業については、スーパーデリバリーの成長率の向上を図ります。そのために、我々は今後いろんなところにチャレンジしていきます。それが、今期はたまたま海外マーケットになったということです。

 CORECについては、長期的な視点での事業運営により、将来的な収益事業への成長を目指します。ただ、BtoBの事業ですので、知名度の向上が難しいといえます。CORECは基本的なサービスは無料で使えるようになっています。広く大勢の方々に使っていただくことによりラクーンとの接点を作っていただきます。クラウド型ですので、使う量により、有料となります。ヘビーユーザーの方には会費をいただくようになっています。

 Paidは、今期黒字化を目指します。前期に売掛債権流動化による資金調達を行いました。また、ソリューション営業を推進したことで、大口の顧客を獲得することに成功しています。大分認知度が上がってきたといえます。100%eコマースを使って企業間の決済を行う例は他にはないと思いますので、かなり期待している事業です。

 売掛債権保証事業については、前期に引き続き取引先の多様化を推進しています。一例として挙げると、前期より事業用家賃保証事業を展開しています。非常に順調に伸びています。最近、個人の家賃保証が最近流行っています。保証人を付けて借りるというより、保証会社を使って、アパート、マンション等を借りるようになっています。しかし、この事業版がありませんでした。そこで、これをいち早く商品化し、サービス化して、現在拡大中でございます。昨年6月にスタートして、今年の4月には保証残高3億50百万円を超えています。昨年10月以降は、毎月50百万円を超える勢いで伸びています。不動産関係の組合と提携して、顧客獲得に注力しています。

 スーパーデリバリーの海外取引について、現在、8月25日のスタートに向けて準備中です。海外は現在良いタイミングでありまして、円安が長引いていて、外国人観光客の方が非常に多くなっています。一度日本を訪れると、日本に関心を持ちます。また、東京オリンピックということで、世界中で日本に関心を持つ人が増えています。その様な中で、我我々のスーパーデリバリーには、日本の中小企業1000社が参加しています。商品アイテム数は45万点あります。これを海外に売らない手はないなということで海外への卸販売をスタートすることを決断しました。そこで、株式会社DMSさんと協力しまして、輸出の仕組みを作りました。国内の場合、小売店から注文が来ると、出展企業は、小売店に出荷しています。ところが、海外の小売店から注文が来た場合は、DMSさんの倉庫に出荷いたします。ここで、検品、梱包、輸出書類などを作成して、輸出するという流れになっています。ちなみに対応する地域は、世界134か国です。最短で、3日間で届けることが出来ます。最初は飛行機でスタートします。
 実は、スーパーデリバリーに関して、海外からの問い合わせはかなり以前からありました。しかし、これまで海外の問い合わせに積極的には対応してきませんでした。13年前にスーパーデリバリーをスタートした当時、ネットで卸が出来るわけがないと思われている時代でした。そのため、ひたすら信用をつける努力をしてきました。一方で、海外からの顧客に対しては、日本語のみの対応、国内に受け取り拠点があることと2つの制約を設けました。その結果、海外からの注文の9割は断っています。それでも現在、この2つの制約を課しても、海外向けには、月額3000万円以上の売上が出ています。今回この2つの制約を取っ払うわけですから、これまで断ってきたところとも取引が出来ます。また、我々の場合は、消費税をいただく必要はありません。45万点の商品の輸出を強化する上で、消費税分は非課税で出します。
 今回このサービスをSD exportと名付けています。SD exportとは、中小企業が世界にモノを売るための営業行為を仕組化したものです。もし、中小企業が世界にモノを売るとしたら、海外の展示会を探して、ブースを借りて、通訳を雇って、カタログを印刷して、外国で配って、その結果、相手が欲しいといってきたら、英文で契約書を交わす等、非常な努力と労力が必要です。ところが、SD exportでは、相手が事前に登録さえしておいてくれれば、数クリックで契約が完了します。最短で3日間で商品が届きます。全部1個単位でサンプルが買えるようになっています。次に何枚以上買うことで、卸値になります。SD exportが出来たことで、出展企業は、簡単に海外の顧客との取引が可能となりました。また、我々の強みとしては、メーカーと取引をしていますので、数万個の注文が来ても作ることが出来る点です。これにより、商品はかなり増えると思います。」

 今期16年4月期連結業績予想は、売上高22億70百万円(前期比10.4%増)、営業利益4億15百万円(同23.5%増)、経常利益4億10百万円(同25.4%増)、純利益2億60百万円(同29.4%増)を見込む。

 SD exportの今期業績に対する貢献度は、堅めに見積もっているが、事業の立ち上がりが順調に進めば、上振れ余地も十分にあると思われる。現在、出展企業の担当者を集めて、セミナーを開催しているが、外需を取り込むSD exportに対する期待値は高く、常に満席状態で、一人も遅れることがなく、熱心にセミナーに参加しているという。内需だけでなく、外需を取り込めることから、出展企業にとっては、SD exportは、売上拡大の切り札ともいえる。しかも、世界各国の小売店を顧客に持つことから、商品が人気化すると、一気に売上が拡大する可能性が高い。SD exportでは、雑貨、アパレルが主力であるが、この取り組みが順調にスタートすると、その次の段階として、他の商材も取り扱い、一挙に、メイドインジャパンを世界に向けて販売する体制が整うことになる。一企業の取組が、日本の経済に大いに貢献する可能性が高いといえる。

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