【アナリスト水田雅展の銘柄分析】日本ライフラインは今期増額修正を好感して年初来高値更新、中期成長力も評価して上値追い

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 医療機器輸入商社の日本ライフライン<7575>(JQS)の株価は、足元では800円~850円近辺でモミ合う展開だったが、10月24日発表の今期(15年3月期)業績見通しの増額修正を好感して10月27日はストップ高水準の970円まで急伸し、2月高値965円を突破して年初来高値を更新した。指標面には割安感があり、中期成長力も評価して上値追いの展開だろう。なお11月5日に第2四半期累計(4月~9月)の業績発表を予定している。

 心臓循環器領域を中心とする医療機器輸入商社で、心臓ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)などのリズムディバイス部門、EPカテーテル、アブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、高周波心房中隔穿刺針などのEP/アブレーション部門、人工心臓弁、人工血管、ステントグラフトなどの外科関連部門、バルーンカテーテル、ガイドワイヤーなどのインターベンション部門、および血液浄化関連などのその他部門を展開している。

 国内を網羅する販売代理店ネットワークを構築した商社機能に加えて、メーカー機能の強化に向けて、09年に人工血管などを製造するJUNKEN MEDICAL社、10年にガイドワイヤーなどを製造するSYNEXMED社(香港)を子会社化した。採算性の高い自社製品の売上構成比上昇に向けて生産体制を一段と強化する方針で、14年10月には新工場となる小山ファクトリー(栃木県小山市)が稼動する。

 新商品に関しては、14年4月にバルーンカテーテルで初の自社製品となる「canPass」、7月に外科関連で国内オンリーワン製品(国内唯一の開胸手術用)となる自社製品「J-Graftオープンステントグラフト」、8月に心臓ペースメーカ新商品「REPLY200」の販売を開始した。

 さらに今期(15年3月期)第4四半期(1月~3月)にMRI(磁気共鳴画像)検査対応の心臓ペースメーカ「KORA」およびICD関連の「INTENSIA」の上市、来期(16年3月期)はアブレーションのイリゲーション機能付き新製品の上市を目指し、15年春には子会社ハートブレーンがAED(自動体外式除細動器)の販売開始を予定している。一方では事業環境変化に対応して人工心肺関連製品の取り扱いを15年3月末に終了する。人工血管や弁膜症関連製品については引き続き注力するとしている。

 10月15日に第2四半期累計(4月~9月)の売上高速報を発表した。リズムディバイスは前年同期比40.5%減の21億56百万円、EP/アブレーションは同30.9%増の54億97百万円、外科関連は同26.6%増の27億90百万円、インターベンションは同4.5%減の12億75百万円、その他は同2.0%減の5億44百万円、合計は同2.9%増の122億64百万円だった。

 10月24日に今期(15年3月期)第2四半期累計および通期連結業績見通し増額修正を発表した。通期ベースで見ると前回予想(5月2日公表)に対して、売上高は2億09百万円増額して前期比5.7%増の257億49百万円、営業利益は6億74百万円増額して同43.7%増の17億51百万円、経常利益は7億18百万円増額して同34.7%増の18億円、純利益は4億12百万円増額して9億03百万円(前期は2億02百万円の赤字)とした。営業利益および経常利益は従来の減益見通しから一転して大幅増益見通しとなった。

 売上面では、自社グループ製品である心腔内除細動システムの市場浸透が進み、7月に発売開始したオンリーワン製品「J-Graftオープンステントグラフト」の販売数量伸長が寄与する。利益面では自社製品比率上昇に伴うプロダクトミックス改善効果に加えて、一部製品の導入計画変更に伴い予定していた薬事関連費用の一部支出が見込まれなくなったことも寄与する。純利益は前期計上の特別損失一巡や小山ファクトリー稼動に伴う助成金も寄与する。なお配当予想は前回予想(5月2日公表)を据え置いて前期と同額の年間25円(期末一括)としている。

 中期目標数値として19年3月期売上高351億円、営業利益率10%以上を掲げ、メーカー機能と商社機能を併せ持つ強みを活かして各分野の商品ラインナップ充実で成長を目指すとしている。コアビジネスは輸入商品中心のリズムディバイスから、自社製品中心のEP/アブレーションおよび外科関連へシフトするようだ。自社製品比率の上昇も寄与して高収益化が期待される。

 株価の動きを見ると、足元では800円~850円近辺でモミ合う展開だったが、10月24日発表の今期業績見通し増額修正を好感して10月27日はストップ高水準の970円まで急伸し、2月高値965円を一気に突破して年初来高値を更新した。

 10月27日の終値970円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS83円68銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は2.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1354円09銭で算出)は0.7倍近辺である。週足チャートで見ると窓を開けて急伸した。13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形であり、指標面には依然として割安感が強い。中期成長力も評価して上値追いの展開だろう。

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