ケンコーマヨネーズは売られ過ぎ感、22年3月期減益予想だが保守的

 ケンコーマヨネーズ<2915>(東1)はマヨネーズ・ドレッシング分野から、タマゴ加工品やサラダ・総菜分野への事業領域拡大戦略を推進している。22年3月期は主要原料の価格高騰で減益予想としているが保守的だろう。上振れの可能性がありそうだ。なおサラダカフェ監修「国産ケールと7種野菜のグリーンサラダ」が、本日6月22日からファミリーマート約1万6000店舗で発売される。株価は年初来安値を更新して軟調展開だが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して反発を期待したい。

■マヨネーズ・ドレッシング類、ロングライフサラダの大手

 サラダ・総菜類、タマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類の調味料・加工食品事業、フレッシュ総菜(日配サラダ、総菜)の総菜関連事業等、その他(ショップ事業など)を展開している。ロングライフサラダは国内1位、マヨネーズ・ドレッシング類は国内2位の市場シェアである。ショップ事業のSalad Cafe(サラダカフェ)は百貨店などに出店し、主に女性をターゲットにした顧客拡大戦略を推進している。

 21年3月期の商材別売上高構成比はサラダ類44%、タマゴ類26%、マヨネーズ・ドレッシング類25%、その他6%、分野別売上高構成比は量販店28%、CVS27%、外食24%、パン13%、給食4%、その他4%だった。21年3月期は新型コロナ影響で量販店向けの構成比が上昇し、外食向けが低下した。

 収益面では、鶏卵や野菜などの原材料価格が変動要因となりやすく、プロダクトミックス、工場操業度、原燃料コストなどの影響を受ける。利益還元については連結ベースでの配当性向20%を意識し、配当の継続性に配慮しつつ、今後の成長と発展にあわせて安定配当水準を高めていくことを基本方針としている。

■事業領域拡大と生産能力増強を推進

 新中期経営計画KENKO Transformation Plan(21年度~23年度)では、目標値に24年3月期売上高800億円、経常利益40億円を掲げている。withコロナ・afterコロナという事業環境変化に対応し、基本方針として4つのテーマ(BtoBtoC、イノベーション、構造改革、グローバル)に取り組む。

 BtoBtoCでは消費者へのブランド認知度向上、使い切り・個食形態の商品開発、イノベーションではSDGsの観点を取り入れたメニュー・商品開発(賞味期限延長など)、サラダショップ展開の加速、生産面でのカーボンニュートラルの実現(静岡富士山工場を環境モデル工場と位置付け)、構造改革では基盤事業の成長に向けた取り組み(分野別事業戦略、新販路への取り組み)、グローバルでは海外拠点(北米販売拠点設立検討、インドネシアIKI社への支援拡大)や輸出販売の拡大などを推進する。

 なお6月18日には、サラダカフェ監修の「国産ケールと7種野菜のグリーンサラダ」を全国(北海道、沖縄県を除く)のファミリーマート約1万6000店舗で、6月22日から発売すると発表した。

■22年3月期は原料価格高騰で減益予想だが保守的

 22年3月期連結業績予想は、売上高が21年3月期比6.9%増の732億円、営業利益が27.6%減の14億30百万円、経常利益が26.9%減の15億円、親会社株主帰属当期純利益が28.0%減の10億50百万円としている。配当予想は5円減配の15円(第2四半期末7円、期末8円)である。

 セグメント別売上高の計画は、調味料・加工食品事業が7.1%増収(サラダ・総菜類が6.0%増収、タマゴ加工品が5.2%増収、マヨネーズ・ドレッシング類が10.3%増収)、総菜関連事業等が5.8%増収、その他(Salad Cafeなど)が10.9%増収としている。

 テイクアウト需要に対応した商品ラインナップの拡充、ドラッグストアなどの新販路拡大、マヨネーズ類の価格改定(21年7月から)、さらにサラダカフェのブランド強化などで増収を見込むが、食用油や鶏卵など主要原料の価格高騰の影響で減益予想としている。ただし保守的だろう。原料価格が落ち着けば上振れの可能性がありそうだ。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年3月末日現在の株主を対象として、保有株式数に応じて当社商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は売られ過ぎ感

 21年2月19日発表の自己株式取得(上限20万株・4億円、取得期間21年2月22日~22年2月21日)については、21年5月31日時点で累計取得株式数15万株となっている。

 株価は年初来安値を更新して軟調展開だが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して反発を期待したい。6月21日の終値は1571円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS63円73銭で算出)は約25倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約1.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2159円46銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約259億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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