- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】エイジアは下値固め完了して強基調に転換、16年3月期増収増益予想を評価
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】エイジアは下値固め完了して強基調に転換、16年3月期増収増益予想を評価
- 2015/6/17 08:28
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エイジア<2352>(東マ)はメール配信システムの大手で、eコマースのマーケティングソリューションを提供している。株価は15日に1106円まで上伸する場面があった。年初来安値圏950円近辺で下値固めが完了して強基調に転換した形だ。16年3月期増収増益予想を評価して水準切り上げの展開だろう。
自社開発によるメールマーケティングプラットフォーム「WEBCAS」シリーズを提供するアプリケーション事業を主力として、システム受託開発やマーケティングコンサルティングなどのサービスソリューション事業も展開している。
01年発売した自社開発のメール配信システム「WEBCAS e-mail」は、顧客の嗜好、属性、購買履歴などに基づいたOne to Oneメールを、世界トップレベルの最高300万通/時で送信可能な超高速性が強みである。総合通販企業、メーカー、生命保険、情報サービス会社など多様な業界の企業や官公庁に導入され、国内メール配信パッケージ市場でのシェアは1位である。
メールマーケティングシステム「WEBCAS」シリーズは、メール配信システム「WEBCAS e-mail」を中心に、アンケートシステム「WEBCAS formulator」やメール共有システム「WEBCAS mailcenter」などをラインナップに抱えるe-CRMアプリケーションシリーズである。
中期成長戦略として「メールアプリケーションソフトのエイジア」から、販売促進・マーケティング支援分野に事業領域を拡大して「eコマースの売上UPソリューションを世界に提供するエイジア」への発展を目指し、クラウドサービス(ASP、SaaS)の強化、新製品・サービス開発の推進、サービスソリューション事業の拡大に取り組んでいる。
M&A・アライアンス戦略では、12年4月ECサイト構築・運営事業拡大に向けてシステムインテグレータ<3826>と資本・業務提携、12年12月メールマーケティングコンサルティング事業拡大に向けてメールマガジン制作・運用支援のグリーゼと資本・業務提携、13年10月メールマガジン戦略立案・企画・制作・分析サービスのFUCAを連結子会社化、14年1月Webサイトソーシャル化支援サービスのフィードフォース社と業務提携した。
14年6月には、データベース作成システム「WEBCAS DB creator」を発売し、ジェイモードエンタープライズと共同開発した電子レシートメール送信サービス「レシートメール」も発売した。15年5月にはSMS配信システム「WEBCAS SMS」の販売を開始し、マイナンバー関連などの需要を見込んでいる。さらにカンタンCRM「WEBCAS CRM」の販売も開始した。
5月29日にはメールマーケティングシステム「WEBCAS」シリーズの導入企業が2500社を突破したと発表した。そして今後は、複雑化したデジタルマーケティングを簡単に実現し、効果を高めるためのBtoC企業向けマーケティングオートメーション「WEBCASマーケティングオートメーション(仮称)」の開発に注力する方針としている。
15年1月にはトヨタ自動車<7203>のメール配信システム導入事例、15年3月には三井物産<8031>の社会貢献活動「サス学」アカデミーメルマガ配信システム導入事例、15年5月には陸上自衛隊のアンケートシステム・メール配信システムの導入事例を公開している。
また15年5月にはソフトフロントやホオバルなど異業種各社と協業して、女性の起業をサポートする「コロコニ・プロジェクト」を発足した。女性の起業家に対して技術サポートおよびサービスの提供を共同で行っていく。
なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)2億22百万円、第2四半期(7月~9月)2億65百万円、第3四半期(10月~12月)2億67百万円、第4四半期(1月~3月)2億77百万円で、営業利益は第1四半期14百万円、第2四半期51百万円、第3四半期54百万円、第4四半期59百万円だった。
15年3月期の配当性向は26.6%、ROEは14年3月期比4.7ポイント低下して12.4%、自己資本比率は同0.6ポイント上昇して79.0%だった。
今期(16年3月期)の連結業績予想(5月11日公表)は、売上高が前期比9.6%増の11億30百万円、営業利益が同23.2%増の2億20百万円、経常利益が同21.5%増の2億20百万円、純利益が同28.6%増の1億40百万円としている。配当予想は同2円増配の年間17円(期末一括)で予想配当性向は23.7%となる。
セグメント別売上高の計画は、アプリケーション事業が同15.7%増の9億90百万円、サービスソリューション事業が同20.0%減の1億40百万円としている。アプリケーション事業はクラウド関連やライセンス販売が好調に推移する。サービスソリューション事業は開発要員をアプリケーション事業の「WEBCASマーケティングオートメーション(仮称)」の開発に投入するため保守的な計画としている。
重点戦略として、アプリケーション事業では、マーケティング担当者が抱える課題を解決する新製品「WEBCASマーケティングオートメーション(仮称)」の開発に注力するとともに、利益率の高いクラウドサービスのマーケティング戦略を見直す方針だ。またサービスソリューション事業では、子会社FUCAおよびグリーゼとの連携を強化する。増収効果に加えて、開発の効率化や生産性の向上も寄与して増収増益基調だろう。
なお15年2月に株主優待制度の新設を発表している。毎年3月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。15年3月期末から実施した。
株価の動きを見ると、調整局面が続いたが、年初来安値圏950円近辺で下値固めが完了して切り返しの動きを強めている。6月15日には1106円まで上伸する場面があった。
6月16日の終値1063円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS71円58銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間17円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS472円09銭で算出)は2.3倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線を突破して上伸した。また週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線も突破した。下値固めが完了して強基調への転換を確認した形だ。16年3月期増収増益予想を評価して水準切り上げの展開だろう。