【編集長の視点】シリコンスタジオは急反落も新コンテンツ配信・新エンジン発売と続きゲーム関連人気が再燃妙味
- 2015/6/18 09:46
- 編集長の視点
シリコンスタジオ<3907>(東マ)は、720円安の9750円と急反落して始まっている。前日17日にスクウェア・エニックスホールディングス<9684>(東1)の最新作ゲーム「WORLD OF FANTASY」に同社のゲームエンジン「OROCHI 3」、「YEBIS 3」が採用されたことでストップ高しており、急伸後の利益確定売りが先行している。
ただ同社は、今年6月10日にソーシャルゲーム「戦国武将姫-MURASAKI-」の事前登録を開始し、今夏には新レンタリングエンジン「Mizuchi」の販売を開始し、さらに6月16日には新作ゲームアプリ「グランスフィア~宿命の王女と竜の騎士~」Android版の配信を開始しており、業績期待を高めゲーム関連人気が再燃する展開が有力である。今11月期第1四半期(1Q)の高利益進捗率業績や、今年2月26日に配信した新作ゲームアプリ「WONDER BLOCKS」が、3日間で8万ダウンロード(DL)を達成し、その後も累計DLを伸ばしていることも見直されよう。
■6月に新作ゲームの事前登録を開始し今夏に新ゲーム開発エンジンも発売
同社は、最高水準のCG(コンピューターグラフィックス)技術によってゲーム開発を効率化するミドルウェア(基盤ソフト)を開発・販売する事業をコアに、自社タイトルによるスマートフォン向けゲームを開発・販売するコンテンツ事業と、クリエイターを派遣・紹介する人材事業を展開、ワンストップでデジタルコンテンツ・ソリューションを提供している。ミドルウエア製品では、国内随一のゲーム開発エンジン「OROCHI 3」や高度な光学表現を可能とする「YEBIS 3」を展開しており、大手ゲームメーカーでは、自社製エンジンを使用しているケースも多いが、3月のバンダイナムコゲームス向けに続いて今回、スクエニHDの最新作ゲームに採用された。今夏には実写に近い映像表現を可能とする「Mizuchi」の発売を予定し、リアルタイムグラフィックスをさらに進化させる。
コンテンツ事業では、2012年11月にリリースした「逆襲のファンタジカ」が世界で累計764万DLに達するなどロングセラーを多数抱えるとともに、新作の「WONDER BLOCKS」も、好調な出足となっており、さらに「戦国武将姫-MURASAKI-」の事前登録を開始し、「グランスフィア~宿命の王女と竜の騎士~」を配信したことで収益化期待を高めている。
今11月期業績は、今年2月のIPO時に売り上げ92億7700万円(前期比15.2%増)、営業利益9億300万円(同7.5%増)、経常利益8億8700万円(同6.6%増)、純利益5億3200万円(同4.9%増)と続伸が予想された。ただ、IPO後初決算となった今期1Q業績は、売り上げ18億4700万円、営業利益8100万円、経常利益7700万円、純利益5000万円で着地、四半期決算が初作成となるため前年同期比較はないが、利益は、すでにIPO時予想の今期第2四半期累計業績を上回っており、期末にかけて業績上ぶれ期待も高まってきそうだ。
■初値水準での値幅・日柄調整一巡で前日はストップ高し底上げ加速展開も
株価は、今年2月に公開価格4900円で新規株式公開(IPO)され9900円で初値をつけ、「WONDER BLOCKS」の配信開始・好出足も加わって上場来高値1万9660円まで買い進まれ公開価格比4.0倍の大化けを演じた。最高値後は、初値を下回る上場来安値8810円まで調整し、初値水準の9000円台で約3カ月間の調整した。値幅・日柄調整とも一巡し、前日にはストップ高しており、ゲーム関連の直近IPO株人気を高めて底上げ加速展開が見込まれる。(本紙編集長・浅妻昭治)