【どう見るこの相場】市場再編関連株は後半相場で存在感アピールか?

どう見るこの相場

■「サクラサク」か基準適合計画書か?

 昔懐かしい昭和の大学入試の合格電報ではないが、「サクラサク」と「サクラチル」は、誰に届き誰に届かないのだろうか?昨4日に投開票された東京都の都議会議員選挙は、即日開票だから「サクラサク」となった当選議員と「サクラチル」の落選議員は、すでに結果が判明して悲喜こもごもで、自民・公明の与党、都民ファーストを含む野党ともども選挙結果の分析を急ぐことになりそうだ。だが、東証上場の全3738銘柄の「サクラサク」、「サクラチル」の合格電報は、これから届くこととなる。

 来2022年4月4日が一斉移行日となっている東証の市場再編である。市場再編では、現在の東証1部、2部、ジャスダック(JQ)市場、マザーズ市場の4つ市場区分が廃止され、「プライム市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」の3市場に組み替えられる。最上位のプライム市場は、厳しいコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の導入も含めて優良企業のみが上場を認められ、社会的認知度も企業信用力も人材募集効果も抜群となる。それだけに同市場への上場は、どの上場会社にとっても共通の希望となるが、それだけに上場には、このほか流通株式比率や流通株式の時価総額などの基準が設けられ、現在の東証第1部銘柄でも、すんなり右から左へと横滑りが認められるわけではない。仮にプライム市場から外れでもしようものなら、TOPIX(東証株価指数)からも除外され、日銀のETF(上場投資信託)買いの圏外となり、株価の下押し圧力も懸念しなくてはならない。

 この移行基準日は、前週の6月30日で、このあと今年7月中に東証から上場企業に基準に照らした判定結果が通知され、上場企業は、9月から12月までに新市場区分の選択申請の手続きを行い、2022年1月中に東証が、所属する市場区分をウエブ上で公表し、4月4日に一斉に新市場に移行する。いわば上場会社には7月中に「サクラサク」か「サクラチル」の合格・不合格電報が届けられることになるわけで、今年7月以降の後半相場の重要イベントとなる。

■市場再編関連株は後半相場で存在感アピール

 現在、東証1部に上場されている2192社のうち、30%弱がプライム市場の基準を未達で、スタンダード市場に格下げされるピンチともいわれているが、これについては適合計画書を提出して計画を継続推進することで暫定的にプライム市場への残留が認められる。流動株式比率35%以上、流動株式の時価総額100億円以上などの基準に抵触する限界企業は、これから長く重い資本政策問題を抱え込むことになる。

 東証が、市場再編の検討を公表した2020年12月以降、上場会社のなかには政策保有株の解消、親子上場問題への対応、自己株式の売り出し・消却などのさまざまな資本政策が続けられてきたが、いよいよ待ったなしとなる。また東証2部銘柄、JQ銘柄、マザーズ銘柄になかには、この7月中にプライム市場の上場基準をクリアして「サクラサク」の合格電報を受け取る企業も観測されている。

 前週末2日の米国市場では、3株価指数が揃って最高値を更新した。しかし、週明けの東京市場は、新型コロナウイルス感染症の第5波懸念、静岡県熱海市で発生した土石流などの自然災害不安、東京五輪・パラリンピックの無観客問題のゴタコタ、さらに東京都議選を受けた政局流動化リスクなどの不透明材料が重石になって追随高できるかはなはだ心許ない。そうした環境下、7月以降の今年後半相場では東証の市場再編のスケジュールからみても関連株が存在感を一段とアピールすることが想定され、独自性を発揮する可能性も強そうでマークは怠れない。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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