地球温暖化の影響で海氷域面積は史上3番目に小さくなる予想、ウェザーニューズは「北極海の海氷傾向2021」を発表

■北極海航路の開通は8月中旬、温度上昇で開通期間は長期化する傾向

 ウェザーニューズ<4825>(東1)のグローバルアイスセンターは、2021年の北極海の海氷傾向を発表した。今夏の北極海航路は、シベリア側航路(北東航路)では8月中旬、カナダ側航路(北西航路)では9月上旬から開通する見込み。また、北極海の海氷域面積は観測史上3番目に小さい面積を記録する予想。

 地球温暖化の影響は北極域で最も顕著に現れ、世界全体の平均の約3倍の速度で温度上昇が起こっている。その結果、北極海の海氷の融解による北極航路の開通期間は長期化する傾向にある。昨年は6月20日にシベリア北部ベルホヤンスクで観測史上最高の38度が記録されるなど、北極圏に記録的な高温がもたらされた結果、88日間という過去最長の開通期間を記録した。今年は昨年ほどではないものの、約2カ月間にわたって開通する見込み。

 このような地球温暖化の影響による海氷融解の長期化や、北極海航路を選択することで航海距離の短縮につながりコストを節約できるという背景から、北極海航路は近年定常的な利用が進むとともに、北極海で生産された液化天然ガスを運搬するLNG船の主要航路となっている。同社は、北極海航行のニーズに応えるため、北極海を航行する船舶の安全運航を支援する『Polar Routeing』サービスを2011年から継続的に提供している。独自の超小型衛星「WNISAT-1R」の観測結果を既存衛星画像と組み合わせ、観測データが少ない北極海の海氷分布をより正確に把握することで、今夏も船舶の安全運航を支援していく。

■北極海の海氷傾向2021

 北極海の海氷域面積は例年、冬季の2~3月に年間最大、夏季の9月に年間最小となる。今年は3月10日頃に年間最大を記録し、海氷域面積は1,420万平方kmとなった。現在、海氷は融解による減少期に入り、7月4日時点における面積は850万平方kmとなっている。夏にかけて融解は急速に進み、9月中旬に海氷域面積は今年最小の374万km2程度まで減少すると予想される。これは、1979年以降の観測史上3番目に小さい面積で、2番目に小さい値を記録した昨年に次ぐ減少。

 北極海航路域における海氷域の縮小は、シベリア・アラスカ沿岸から海氷が無いエリア(開水域)が広がっていくことで進んでいく。今年は5月後半から各沿岸で開水域が発生し、徐々に広がっているが、海氷域の縮小の程度は昨年同時期に比べるとやや遅くなっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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