トーセは21年8月期3Q累計減益、通期利益予想を下方修正
- 2021/7/9 08:32
- 決算発表記事情報
(決算速報)
トーセ<4728>(東1)は7月8日の取引時間終了後に21年8月期第3四半期累計の連結業績を発表した。大型案件開発完了で大幅増収だが、開発費用増加などで減益だった。通期予想は売上高を上方修正したが、利益を下方修正した。22年8月期の収益拡大を期待したい。株価は小幅レンジでモミ合う展開だ。目先的には利益予想の下方修正を嫌気する可能性もあるが、22年8月期減益予想を織り込み済みであり、下値限定的だろう。
■21年8月期3Q累計は大幅増収だが減益、通期利益予想を下方修正
21年8月期第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比37.4%増の41億99百万円、営業利益が11.1%減の1億08百万円、経常利益が18.5%減の1億17百万円、四半期純利益が投資有価証券評価損計上も影響して61.2%減の26百万円だった。
デジタルエンタテインメント事業は51.4%増収だが2.4%減益だった。家庭用ゲームソフト大型案件開発完了で大幅増収だが、スマートフォン向けゲーム開発案件での開発費用増加などで減益だった。その他事業は28.7%減収で23.2%減益だった。家庭用カラオケ楽曲配信事業のロイヤリティ売上が伸長したが、SI事業の前年の大型案件の反動が影響した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高7億74百万円で営業利益1億11百万円の赤字、第2四半期は売上高10億64百万円で営業利益26百万円の黒字、第3四半期は売上高23億61百万円で営業利益1億93百万円の黒字だった。
通期連結業績予想は売上高を上方修正、利益を下方修正して、売上高が20年8月期比8.8%増の61億33百万円、営業利益が35.6%減の2億35百万円、経常利益が35.8%減の2億48百万円、親会社株主帰属当期純利益が57.2%減の97百万円とした。配当予想は据え置いて20年8月期と同額の25円(第2四半期末12円50銭、期末12円50銭)としている。
従来予想との比較では、売上面は複数の家庭用ゲームソフト大型案件における顧客からの仕様追加要請が寄与するが、利益面はスマートフォン向けゲーム開発案件における改修コスト発生に加えて、新型コロナウイルスに伴う出勤者への特別手当や在宅勤務手当が想定以上となることも影響する。なお21年8月期に開発完了予定だったスマートフォン向けゲーム6本全てが次期にズレ込む見込みとしている。
通期利益予想を下方修正したが、21年8月期は期初時点で次期以降に向けた仕込みの期と位置付けて、人材投資や次期以降に開発完了する案件への取り組み増加などで減益予想としている。22年8月期の収益拡大を期待したい。
■株価は下値眼底的
株価は小幅レンジでモミ合う展開だ。目先的には利益予想の下方修正を嫌気する可能性もあるが、22年8月期減益予想を織り込み済みであり、下値限定的だろう。7月8日の終値は800円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS12円82銭で算出)は約62倍、時価総額は約62億円である。