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ピックルスコーポレーションは戻り試す、22年2月期の会社予想は保守的で上振れ余地
- 2021/7/14 08:11
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ピックルスコーポレーション<2925>(東1)は漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」ブランド力が向上し、キムチ製品や惣菜製品の拡大、EC・外食・小売領域への展開を推進している。22年2月期増収増益予想としている。会社予想は保守的な印象が強く、上振れ余地がありそうだ。収益拡大基調だろう。株価は調整一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。
■漬物製品の最大手で「ご飯がススム キムチ」ブランド力向上
漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」シリーズのブランド力が向上し、キムチ製品や惣菜製品の開発強化と新製品の積極投入、西日本エリアへの販売拡大、量販店惣菜売場・ドラッグストア・配食事業など販売先の拡大、新たな販売チャネルとしてのEC・外食・小売領域への展開を推進している。
21年2月期の品目別売上構成比は製品65.2%(浅漬・キムチ43.3%、惣菜20.1%、ふる漬1.7%)および商品(漬物、調味料、その他)34.8%だった。販路別売上構成比は量販店・問屋等74.8%、コンビニ17.3%、外食・その他7.9%だった。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニが主要取引先である。
収益面の特性としては、天候不順などによる野菜(特に胡瓜と白菜)価格の影響を受ける傾向がある。
■ECやBtoC領域など新たな販売チャネルにも展開
中期成長戦略として、惣菜・その他分野の商品開発強化、西日本地区への販売エリア拡大、量販店惣菜売場や配食事業などへの販売先拡大、ECやBtoC領域など新規事業推進を掲げている。
新たな販売チャネルへの展開としては18年4月、ピーネ12乳酸菌活用した商品のECサイト「ピーネオンラインショップ」と、国産・化学調味料不使用にこだわった漬物のECサイト「八幡屋オンラインショップ」を開設した。19年4月にはピーネ関連製品を製造する新工場が完成した。
またグループ商品を活用してBtoC領域の外食・小売事業に参入し、20年10月には運営子会社OHが埼玉県飯能市に複合型観光施設として、発酵のテーマパーク「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」を開業した。日本の伝統的な食文化「発酵」を発信していく。
中期経営目標値には24年2月期売上高480億円(浅漬・キムチ214億20百万円、惣菜97億円、ふる漬5億80百万円、商品163億円)、営業利益31億円、経常利益31億90百万円、当期純利益19億80百万円を掲げている。
成長戦略として、製品開発の強化(キムチ製品、惣菜、ドライ商品、調味料など)、販売エリアの拡大(特に西日本エリアの拡大)、販売先の拡大(ドラッグストア、量販店、配食事業など)、新規事業(ECサイト、ピーネコーポレーション、BtoC事業など)を推進する。設備投資は中京工場増床、設備更新・工場新築などで22年2月期からの3年間で合計58億円を計画している。
なお20年9月には地球環境に配慮し、浅漬用に植物由来原料の容器を導入して軽量化と省資源化を図ると発表した。20年11月にはグループ従業員に対して、新型コロナウイルス感染症に関するお見舞金を支給(パート・アルバイト含む2845名を対象に総額1億円)した。
21年1月には浅漬製品を「野菜の元気をお届け」としてブランドリニューアルすると発表した。パッケージデザインを刷新するとともに、包装パッケージに使用するインキを植物性バイオマスインキに順次切り替えて環境負荷低減も推進する。
■22年2月期増収増益予想、会社予想は保守的で上振れ余地
22年2月期連結業績予想は、売上高が21年2月期比1.0%増の465億円、営業利益が5.1%増の28億50百万円、経常利益が3.9%増の29億40百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.7%増の19億円としている。配当予想は21年2月期と同額の35円(期末一括)である。
売上高は販売先等の動向を勘案して微増収予想だが、巣ごもり消費や「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」への取り組みなどで過去最高更新見込みとしている。
品目別売上高の計画は製品が1.3%増の304億円(浅漬・キムチが2.4%増の204億38百万円、惣菜が1.4%増の94億円、ふる漬が30.1%減の5億61百万円)、商品が0.6%増の161億円としている。販路別には量販店・問屋等が1.2%増の348億35百万円、コンビニが0.5%増の80億14百万円、外食・その他が1.1%増の36億50百万円の計画としている。
各利益は物流費や人件費などの増加を増収効果や売上原価率改善で吸収して、過去最高更新見込みとしている。売上原価率は0.3ポイント低下の73.0%、販管費比率は0.1ポイント上昇の20.9%の計画である。
全体として小幅増収増益予想にとどめているが、会社予想は保守的な印象が強く、上振れ余地がありそうだ。収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は毎年2月末の株主が対象
株主優待制度は毎年2月末時点の100株以上保有株主を対象として、商品詰め合わせセットなど(数種類から1点選択、詳細は会社HP参照)を贈呈する。
■株価は戻り試す
株価は上値を切り下げてモミ合う形だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。7月13日の終値は3435円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS295円63銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の35円で算出)は約1.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2275円38銭で算出)は約1.5倍、そして時価総額は約221億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)