エスプールは戻り試す、21年11月期2Q累計2桁増収増益と順調、収益拡大基調

 エスプール<2471>(東1)は、障がい者雇用支援サービスやコールセンター向け派遣などの人材サービス事業を展開している。21年11月期第2四半期累計は主力事業が好調に推移して2桁増収増益と順調だった。そして通期の2桁営業・経常増益予想を据え置いた。収益拡大基調だろう。なお7月9日付で、東京証券取引所新市場区分に関する一次判定結果において、プライム市場の上場維持基準への適合を確認した。株価は反発力の鈍い展開だが、好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■人材サービス事業を展開

 ビジネスソリューション事業(障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシング、セールスサポート、採用支援、新規事業)、および人材ソリューション事業(コールセンター向け派遣、販売・営業スタッフ派遣、人材紹介)を展開している。エスプール本体で新規事業開発を行い、事業規模や収益化に応じて、子会社として分社化する戦略としている。

 20年11月期のセグメント別(調整前)売上構成比はビジネスソリューション事業が28%、人材ソリューション事業が72%、営業利益構成比はビジネスソリューション事業が48%、人材ソリューション事業が52%だった。

 21年3月には一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)に入会した。また経済産業省および日本健康会議が認定する健康経営優良法人2021(ホワイト500)に2年連続で選定された。

■ビジネスソリューションは障がい者雇用支援が主力

 ビジネスソリューション事業は、障がい者雇用支援サービスを主力として、ロジスティクスアウトソーシングサービス(EC通販発送代行サービス、物流センター運営代行)、対面型会員獲得・販売促進のセールスサポートサービス、アルバイト・パート求人応募受付代行の採用支援サービス「OMUSUBI」なども展開している。

 障がい者雇用支援サービスのわーくはぴねす農園は、障がい者雇用を希望する企業に対して農園を貸し出し、企業が主に知的障がい者を直接雇用する。20年11月期末時点の顧客数は321社、管理区画数は3829区画、就業者数は1915名である。

 20年8月には東京都板橋区に初の屋内型農園を開設した。従来型の農園はビニールハウス型で概ね3000坪を超える敷地を必要としていたが、台風など自然災害の影響を踏まえ、屋外作業に適さない方にも就労機会を提供することを目的として屋内型を開設した。屋内型は倉庫や建物の活用を前提としているため立地面において柔軟性が高い。

 21年10月期は7施設を新規開設予定(期初時点では6施設の計画だったが需要が旺盛なため上方修正)で、関西エリア(大阪府枚方市と摂津市)にも進出する。7月9日には千葉県市川市に全国27番目の施設を開設(運営開始8月2日)した。なお期初計画比で追加した東京都板橋区の施設は11月オープンが決定した。

 ロジスティクスアウトソーシングでは、巣ごもり消費を背景としてEC通販発送代行サービスが拡大している。なお21年夏を目途に、つくばセンターの拡大移転を予定している。

 採用支援サービスのOMUSUBIは飲食・小売業を中心に求人応募受付業務を行っている。20年3月には採用支援サービスのZENKIGENに出資、健康経営支援サービスのメンタルヘルステクノロジーズに出資、20年5月にはZENKIGEN、ワークスタイルテック、およびイレブンと4社合同で、企業間が期間限定で従業員をシェアし合うプラットフォーム「超企業 従業員プラットフォーム」を開設した。

 20年9月には適性診断サービス「Talentgram」を開始、20年11月にはWEB面接代行サービス「Faceview」を開始、21年2月にはサービス業を中心に人材の過不足解消を目的とした人材紹介サービスを開始、21年5月にはアルバイト・パートの入退職手続代行サービスを開始した。

 地方自治体向けシェアード型BPOサービスを開始した。21年6月に秋田県大仙市と立地協定を締結し、隣接する複数の自治体業務を受託するシェアード型BPOセンターのHANABI(21年8月中の業務開始予定)を開設した。

 なお20年6月にはエコノス<3136>の子会社でカーボンオフセット事業を展開するブルードットグリーンの株式を取得して子会社化している。環境経営支援サービスとしてCO2排出量算定支援やクレジット仲介支援などを展開する。また21年2月にはピアズと業務提携した。共同でオンライン接客サービスの開発・提供に取り組む。

■人材ソリューション事業はコールセンター派遣が主力

 人材ソリューション事業はコールセンター業務の派遣を主力として、販売支援業務や介護系業務の派遣・紹介なども展開している。

■25年11月期営業利益50億円目標

 中期経営計画では、目標値に25年11月期の売上高410億円、営業利益50億円、連結配当性向30%以上、高水準のROE維持を掲げている。基本戦略として、既存事業の深掘りによるオーガニック成長、新たな事業領域における成長機会の獲得、ESGを軸とした経営基盤の強化を推進する。

 オーガニック成長としては、人材派遣サービスではコールセンター派遣におけるトップシェアの獲得、新たな派遣領域の発掘、障がい者雇用支援サービスでは農園サービスにおける圧倒的NO.1の確立、障がい者の個性に合わせた多様な働き方メニューの開発、ロジスティクスアウトソーシングではEC通販を軸とした事業拡大、日本発のゼロ・エミッションを実現した自社センターの開設、採用支援サービスのOMUSUBIではアルバイト・パート採用支援業務でのトップシェア獲得、採用から定着化までの総合的サービスの提供を推進する。

 新たな事業領域における成長機会の獲得としては、ベンチャー投資も活用して、CO2削減を中心とする環境ビジネス領域、企業の「持たざる経営」へのシフトを支援するBPOビジネス領域への展開を加速する方針だ。

■21年11月期2Q累計2桁増収増益、通期2桁営業・経常増益予想

 21年11月期連結業績予想は、売上高が20年11月期比18.0%増の248億円、営業利益が12.2%増の25億円、経常利益が11.6%増の24億88百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.5%増の16億35百万円としている。配当予想は80銭増配の4円10銭(期末一括)である。連続増配となる。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比19.3%増の116億41百万円、営業利益が19.5%増の11億84百万円、経常利益が21.1%増の11億97百万円、親会社株主帰属四半期純利益が13.4%増の7億80百万円だった。主力事業が好調に推移して2桁増収増益、過去最高だった。売上高は概ね計画水準、利益は計画超で着地した。

 ビジネスソリューション事業は30.8%増収で18.9%増益だった。障がい者雇用支援が32.7%増収と大幅伸長した。緊急事態宣言に起因する行政手続遅延で愛知県長久手市の開設がズレ込んだが、企業ニーズが高水準だった。ロジスティクス分野(EC通販発送代行、物流センター運営)は6.6%増収、採用支援サービスのOMUSUBIは22,9%増収だった。人材ソリューション事業は14.9%増収で18.4%増益だった。販売支援は緊急事態宣言の影響で回復が遅れたが、コールセンター業務が新規取引先拡大も寄与して14.9%増収と伸長した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高54億10百万円で営業利益3億87百万円、第2四半期は売上高62億31百万円で営業利益7億97百万円だった。第1四半期は障がい者雇用支援の新規4施設開園費用が先行していたが、第2四半期は新規施設の販売が本格寄与した。

 通期のセグメント別(調整前)の計画は、ビジネスソリューション事業の売上高が27.2%増の74億08百万円(障がい者雇用支援が27.1%増収、ロジスティクスアウトソーシングが19.0%増収、採用支援のOMUSUBIが22.0%増収)で営業利益が15.7%増の18億73百万円、人材ソリューション事業の売上高が14.8%増の175億円(コールセンター業務が13%増収、販売支援が16%増収)で営業利益が9.8%増の19億30百万円としている。

 通期も主力事業が好調に推移して2桁増収、2桁営業・経常増益予想としている。新規分野の環境経営支援サービス(ブルードットグリーン)は売上高2億35百万円の計画としている。クレジット販売は単価の大幅上昇で仕入が苦戦しているため、コンサル業務でカバーし、新サービスの開発を急ぐ方針としている。地方自治体向けシェアード型BPOサービスの拡大も推進する方針だ。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が46.9%、営業利益が47.4%とやや低水準の形だが、季節要因で第1四半期の構成比が低い特性がある。また障がい者雇用支援において、愛知県長久手市の開設・販売がズレ込んだことも影響したが、下期に挽回する見込みだ。さらに追加施設も寄与して設備販売の上振れを目指すとしている。主力事業が牽引して通期ベースでも収益拡大基調だろう。

■株価は戻り試す

 なお21年6月に、ESGのグローバル基準を満たす日本企業を対象とした株価指数FTSE Blossom Japan Index構成銘柄(228社)に初選定された。

 株価は5月の直近安値圏から下値を切り上げている。好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。7月15日の終値は941円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS20円70銭で算出)は約45倍、今期予想配当利回り(会社予想4円10銭で算出)は約0.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS56円43銭で算出)は約17倍、時価総額は約743億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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