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マルマエは目先的な売り一巡して上値試す、21年8月期大幅増益予想
- 2021/7/20 08:39
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マルマエ<6264>(東1)は半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工を展開している。21年8月期は上方修正して大幅増益予想としている。6月の受注残高は前年比89.4%増と好調だった。収益拡大基調だろう。株価は第3四半期決算発表および通期予想上方修正に対してネガティブ反応となったが、目先的な売り一巡して上値を試す展開を期待したい。なお新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果として、プライム市場の上場維持基準を充たしているとの通知を受けている。
■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工およびEBWを展開
半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工、および電子ビーム溶接(EBW)を展開している。
作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。
■22年8月期営業利益20億円目標
中期事業計画の数値目標は22年8月期売上高70億円、営業利益20億円、資産ベースROIC18%、負債ベースROIC14%、配当性向30%以上、年間最低配当額10円(最終損益が赤字となる場合は見直し)を掲げている。設備投資の計画(CFベース)は増産投資および自社使用目的の太陽光発電投資を中心に、20年8月期3.4億円、21年8月期9.1億円、22年8月期10億円としている。
売上拡大戦略として半導体分野では、市場成長も背景として既存顧客からの受注品種拡大、デバイスメーカーの稼働向上による消耗品の拡大を見込み、新規顧客獲得も推進する。既存顧客の売上に関しては20年8月期から22年8月期で約26%成長を目指す。新規顧客の売上に関しては2社からの受注を獲得(1社目は20年8月期量産開始、2社目は試作品提供開始)しており、20年8月期の1.2億円から22年8月期には12億円(1社目8億円、2社目4億円)を目標とする。
FPD分野の売上は20年8月期の10.6億円から、22年8月期に16億円を目指す。市場環境として21年8月期は市場縮小、22年8月期に高精細化投資で再拡大を想定し、EBWを活用した新規顧客獲得や、同業他社の撤退などによる市場シェア拡大を見込んでいる。
その他分野ではEBWに続く新技術習得による新分野開拓、リハビリ機器の研究開発などを推進する。
また中長期的な取り組みとしてESG経営を推進する。再生可能エネルギー活用によるCO2削減を推進するため、30年8月期に年間使用量50%以上を太陽光で自社発電する計画(30年8月期までに合計424百万円を設備投資)としている。また職場環境向上の取り組みではワークライフバランスを整え、女性が継続して働ける職場づくりを目指す方針だ。
■21年6月の受注残高は前年比89.4%増、過去最高水準
月次の受注残高(速報値)を見ると、21年6月は半導体分野が10億95百万円(前月比11.8%増、前年同月比82.8%増)、FPD分野が4億99百万円(前月比6.1%減、前年同月比98.5%増)、その他分野が26百万円で、合計が16億21百万円(前月比5.4%増、前年同月比89.4%増)となった。合計ベースの前年同月比は21ヶ月連続プラスとなった。21年4月~5月の15億円台から、さらに16億円台に増加して過去最高水準で推移している。過去最高水準の検収を行いながらも受注残高が増加基調である。
今後の動向として、半導体分野は特にロジック向けの拡大が牽引している。第4四半期に検収が増加するため、受注残高に多少の山谷が想定されるものの、概ね高水準に推移する見込みとしている。FPD分野は市場環境が回復傾向であり、新規顧客からの受注も寄与して好調が続く見込みとしている。
■21年8月期2桁営業・経常増益予想、さらに再上振れの可能性
21年8月期業績(非連結)予想(3月30日に上方修正、6月30日に2回目の上方修正)は、売上高が20年8月期比20.1%増の52億70百万円、営業利益が38.4%増の12億40百万円、経常利益が47.6%増の12億31百万円、当期純利益が30.4%増の9億円としている。配当予想(3月30日に期末2円上方修正)は、20年8月期比5円増配の22円(第2四半期末10円、期末12円)である。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比13.6%増の36億15百万円、営業利益が23.4%増の7億76百万円、経常利益が28.7%増の7億72百万円、四半期純利益が12.7%増の5億56百万円だった。大幅増収増益だった。半導体分野の好調が牽引し、利益面では材料費や外注費の少ない受注が増加したことも寄与した。
半導体分野は受注高が32.1%増で売上高が27.1%増、FPD分野は受注高が4.7%増で売上高が42.9%減、その他分野は受注高が972.4%増で売上高が800.1%増だった。その他分野では太陽電池製造装置向けが貢献した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が11億円で営業利益が2億円、第2四半期は売上高が11億99百万円で営業利益が2億24百万円、第3四半期は売上高が13億16百万円で営業利益が3億52百万円だった。
通期も大幅増収増益予想である。売上高の計画は半導体分野が30.2%増の41億69百万円、FPD分野が23.7%減の8億15百万円としている。半導体分野は市場環境改善に伴う既存顧客からの受注増加に加えて、新規顧客からの量産受注も増加している。FPD分野は10.5液晶が回復傾向であり、新規顧客からの受注も拡大している。
利益面では、中計目標達成に向けて体制構築を推進するため労務費や減価償却費が増加するが、売上高が従来予想を上回ることに加えて、稼働率向上による製造原価率低減も寄与する見込みだ。受注残高は過去最高水準であり、通期予想は再上振れの可能性が高いだろう。収益拡大基調を期待したい。
■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上保有株主対象
株主優待制度は、毎年8月末日現在6ヶ月以上継続1単元(100株)以上保有株主を対象として、クオカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は上値試す
株価は第3四半期決算発表に対して好材料出尽くし反応となったが、目先的な売り一巡して上値を試す展開を期待したい。7月19日の終値は2103円、今期予想PER(会社予想のEPS70円30銭で算出)は約30倍、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約1.0%、前期実績PBR(前期実績のBPS445円69銭で算出)は約4.7倍、時価総額は約275億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)