IHIグループはJAXAと国際宇宙ステーション向けに開発した極低温冷凍冷蔵庫をバイオ医薬品の保管・輸送向けに応用展開
- 2021/7/21 15:08
- プレスリリース
■国際宇宙ステーション向けの技術を応用
IHI<7013>(東1)とグループ会社であるIHI物流産業システム(ILM)は、グループ会社であるIHIエアロスペース(IA)が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国際宇宙ステーション(ISS)向けに開発した極低温冷凍冷蔵庫「FROST2」を、バイオ医薬品の保管・輸送用に応用展開していく。FROST2は、電源に接続することで極低温冷凍冷蔵庫として使用できるほか、無電源の状態でも、ドライアイスを代替する高性能保冷剤により、庫内温度マイナス70℃以下を6時間以上維持することが可能。
昨今の新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに,日本でも国産バイオ医薬品の開発が急速に進められている。バイオ医薬品はタンパク質や生物由来の物質から生成される医薬品で、特に原薬の保管・輸送には、タンパク質の酵素分解が停止するマイナス60℃以下での管理が求められる。従来、バイオ医薬品の保管・輸送にドライアイスが用いられてきたが、航空法により、ドライアイスの積載量に制限があるのに加え、近年、脱炭素化の影響で、ドライアイスの原料が十分に調達できず、供給量が減少しているため、新たな保管技術や輸送ニーズが高まっている。
■無電源でもマイナス70℃以下を6時間以上維持
FROST2はISSの「きぼう」日本実験棟での、たんぱく質や細胞の保管や各実験に使用されている冷凍冷蔵庫であり、高性能保冷材と、独自の断熱材積層構造のコンテナ、また、スターリングクーラーと呼ばれる次世代型冷却器で構成されている。電源接続時、庫内温度を調整可能なことに加え、無電源の状態でも、高性能保冷剤により、マイナス70℃以下を6時間以上維持できる点が特徴。今後、ILMが得意とする自動倉庫とFROST2を応用した保冷技術を組み合わせることで、これまで実現が難しかったバイオ医薬品の原薬や中間体、細胞医薬品を大量に保管・輸送することも可能になる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)