ヤマシタヘルスケアホールディングスは売り一巡、22年5月期減益予想だが保守的

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ヤマシタヘルスケアホールディングス<9265>(東1)は、九州を地盤とする医療機器専門商社を中心にヘルスケア領域でのグループ力向上を推進している。21年5月期は営業強化などの施策も奏功して大幅増収増益だった。22年5月期は新型コロナ影響や特需反動などで減益・減配予想としている。ただし期初時点では保守的な予想を公表する傾向が強いだけに上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏から反落したが売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。

■九州を地盤とする医療機器専門商社

 山下医科器械が17年12月1日付で純粋持株会社ヤマシタヘルスケアホールディングスを新設した。九州を地盤とする医療機器専門商社(山下医科器械)を中心に、ヘルスケア領域でのグループとしての収益力向上を推進している。

 グループの事業会社は4社で構成されている。山下医科器械は九州を地盤とする医療機器専門商社で、医療機器販売・メンテナンス、医療材料・消耗品販売、および医療モールを展開している。トムスは透析分野を中心とする医療機器販売およびメンテナンス、イーピーメディックは整形外科用インプラントの製造販売、アシスト・メディコ(19年12月設立)は医療機関の経営コンサルティングを展開している。なお山下医科器械は経済産業省から2020年度地域未来牽引企業(長崎県)の選定を受けた。

 医療機器販売業では、電子カルテなどの医療情報システム構築支援、合弁事業の医科向け会員ネットワーク「EPARK」の普及拡大、SPD(Supply Processing&Distribution)事業の推進・収益性向上を推進している。医療機器製造・販売業では、台湾の医療機器メーカーと協力して手術器械の単回使用化に取り組んでいる。

 また新規商材による市場開拓として、19年7月にはアイム(福岡県福岡市)と資本業務提携し、医療機関・介護施設向けに自然落下制御式輸液装置「FLOWSIGN 03W」のレンタル事業を開始した。20年1月にはNTT東日本と協業して医療機関向けICTサービスを開始した。さらにソルブ(福岡県春日市)の注射調剤・監査支援システムの取り扱いも開始している。

 21年5月期のセグメント別売上構成比は医療機器販売業が99%、医療機器製造・販売業が1%、医療モール事業が0%、営業利益構成比(調整前)は医療機器販売業が96%、医療機器製造・販売業が4%、医療モール事業が0%だった。医療機関の設備投資関連のため、第2四半期(9月~11月)および第4四半期(3月~5月)の構成比が高い特性がある。

 なお17年9月に光通信<9435>と資本業務提携し、光通信の九州地区における医科向け「EPARK」事業を共同展開している。

■ヘルスケア領域でのグループ力向上を推進

 新中期経営計画(22年5月期~24年5月期)では、基本方針を「持続成長可能な体制構築を目指し、継続的な収益拡大に向け、ヘルスケア領域でのグループ力の向上を図る」として、目標値に最終年度24年5月期売上高520億円(収益認識に関する企業会計基準第29号適用換算前ベースでは675億円)、営業利益6億20百万円、経常利益6億80百万円を掲げた。

 主要施策としてグループの一体化と戦略機能の強化、重点事業領域の拡充、グループ経営管理機能の強化、ダイバーシティ環境の実現、ESG経営への取り組み、戦略的人材マネジメントの確立を推進する。

 なお21年6月にはSDGsへの取り組みの一環として、独立行政法人国際協力機構(JICA)が発行するソーシャルボンド(社会貢献債)への投資を実施した。

■21年5月期大幅増益、22年5月期減益予想だが保守的

 21年5月期の連結業績は、売上高が20年5月期比8.5%増の701億31百万円、営業利益が72.8%増の9億68百万円、経常利益が59.7%増の10億26百万円、親会社株主帰属当期純利益が47.6%増の6億78百万円だった。配当は36円増配の90円(期末一括)とした。

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う取引先医療機関における手術や検査・処置症例の減少で、消耗品の販売や商談の遅延などの影響を受けたが、期後半に需要が回復基調となった。さらに営業強化や物流管理強化などの施策が奏功し、複数の病院建て替え案件で想定を上回る受注を獲得したことも寄与した。

 医療機器販売業は8.5%増収(一般機器分野が23.8%増収、一般消耗品分野が5.8%増収、低侵襲治療分野が2.5%増収、専門分野が6.9%増収、情報・サービス分野が9.5%増収)だった。医療機器製造・販売業(整形外科用インプラント)は10.3%増収、医療モール事業(賃貸収入)は6.0%減収だった。

 なお四半期別に見ると第1四半期は売上高155億28百万円で営業利益66百万円、第2四半期は売上高169億74百万円で営業利益3億61百万円、第3四半期は売上高172億81百万円で営業利益2億49百万円、第4四半期は売上高203億48百万円で営業利益2億92百万円だった。

 22年5月期の連結業績予想(収益認識に関する企業会計基準第29号を適用するため売上高の増減率は非掲載、利益への影響はなし)は、売上高が498億38百万円(第29号適用換算後で比較した場合は21年5月期比約8.0%減)、営業利益が44.0%減の5億42百万円、経常利益が43.0%減の5億84百万円、親会社株主帰属当期純利益が48.9%減の3億46百万円としている。配当予想は49円減配の41円(期末一括)としている。

 新型コロナウイルスの影響(取引先医療機関における手術や検査・処置症例の減少に伴う消耗品の販売減少)が継続し、前期に発生したコロナ対策補助金による一時的なコロナ関連商品の需要継続が見込めないため減収減益予想としている。ただし期初時点では保守的な予想を公表する傾向が強いだけに上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は5月末の株主対象

 株主優待制度は毎年5月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象に、保有株式数および継続保有期間に応じてオリジナルクオカードを贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は売り一巡

 株価は戻り高値圏から反落したが売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。7月29日の終値は1785円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS135円69銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の41円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2969円03銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約46億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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