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巴工業は上値試す、21年10月期は再上振れの可能性
- 2021/8/2 08:54
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
巴工業<6309>(東1)は遠心分離機械などの機械製造販売事業、および合成樹脂などの化学工業製品販売事業を展開している。21年10月期は上方修正して増収増益予想としている。需要が回復基調であり、さらに再上振れの可能性が高いだろう。株価は7月の年初来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■機械製造販売事業と化学工業製品販売事業を展開
遠心分離機械などを中心とする機械製造販売事業、および合成樹脂や化学工業薬品などを中心とする化学工業製品販売事業を展開している。
20年10月期のセグメント別売上構成比は機械製造販売事業が29%、化学工業製品販売事業が71%、営業利益構成比は機械製造販売事業が41%、化学工業製品販売事業が59%だった。機械製造販売事業は設備投資関連のため、第2四半期(2月~4月)および第4四半期(8月~10月)の構成比が高い特性がある。
■22年10月期営業利益26億円目標
中期経営計画では目標値として、22年10月期の売上高490億円(機械140億円、化学品350億円)、営業利益26億円(機械9億円、化学品17億円)、経常利益26億円、EBITDA30億円、純利益17億円、そしてROE(純資産利益率)5.7%を掲げている。
重点施策として、海外事業拡大の継続、さらなる収益性向上、環境負荷軽減、資本効率改善、成長に向けた積極投資、働き甲斐のある職場環境の構築と人材育成を推進する方針だ。
21年7月には、AIが自律的に遠心分離機の運転制御を行う新しいデカンタ自動運転制御システム「セントニオ(CentNIO)」の販売を開始した。
■21年10月期増収増益予想、さらに再上振れの可能性
21年10月期連結業績予想(6月4日に上方修正)は、売上高が20年10月期比11,4%増の437億円、営業利益が4.4%増の23億60百万円、経常利益が3.7%増の23億80百万円、親会社株主帰属当期純利益が15.5%増の17億70百万円としている。配当予想は20年10月期比2円増配の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。連続増配である。
機械製造販売事業の重点取り組み施策として、海外では遠心分離機や炭化装置、国内では遠心分離機や回転加圧脱水機などの拡販を強化する。また20年4月に新設した新事業開発部において、遠心分離機以外の分野の開拓を強化する。化学工業製品販売事業の重点取り組み施策として、化成品関連の高機能商材、半導体製造装置向けや5G基地局用電子分向けの機能材料、および電子材料の拡販を強化する。また合成樹脂関連では、SDGsへの対応として環境対応商材の拡販に注力する。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比15.6%増の230億48百万円、営業利益が38.6%増の19億34百万円、経常利益が40.9%増の19億58百万円、親会社株主帰属四半期純利益が60.4%増の14億58百万円だった。
需要が回復基調となって大幅増収増益だった。機械製造販売事業は36.8%増収で51.5%増益だった。国内官需工事の大型案件や中国を中心とする海外向け機械などが牽引した。収益性の高い部品・修理の増収も寄与した。化学工業製品販売事業は7.7%増収で28.8%増益だった。工業材料・鉱産分野の自動車向け材料、化成品分野の塗料・インキ用途向け材料や添加剤、電子材料分野の半導体製造装置向け材料を中心に増加した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高106億06百万円で営業利益6億49百万円、第2四半期は売上高124億42百万円で営業利益12億85百万円だった。
通期ベースでも自動車分野を中心に需要が回復基調の見込みとしている。修正後のセグメント別計画は、機械製造販売事業が8.4%増収で25.5%減益、化学工業製品販売事業が12.7%増収で25.2%増益としている。機械製造販売事業は減益見込みとしているが保守的な印象が強い。
第2四半期累計の進捗率は売上高が52.7%、営業利益が81.9%、経常利益が82.3%、純利益が82.4%と高水準である。通期予想は再上振れの可能性が高いだろう。
■株主優待制度は10月末の株主対象
株主優待制度は、毎年10月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、ワイン(当社関連会社取扱商品)1本を贈呈する。
■株価は上値試す
なお21年7月9日付で、東京証券取引所から新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果を受領し、プライム市場の上場維持基準に適合していることを確認した。この結果に基づいて新市場区分の選択申請に係る所定の手続きを進める。
株価は7月の年初来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドの形だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月30日の終値は2226円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS177円39銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2973円31銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約234億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)