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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】セーラー万年筆は調整が一巡してモミ合い上放れ期待、ロボット機器関連も材料視
- 2014/12/10 07:09
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
文具老舗でロボット機器事業も展開するセーラー万年筆<7992>(東2)の株価は、概ね36円~40円近辺でモミ合う展開だが、徐々に下値を切り上げて調整一巡感を強めている。ロボット機器関連も材料視してモミ合い上放れの展開が期待される。
文具事業(万年筆、ボールペン、電子文具、景品払出機、ガラスCD、窓ガラス用断熱塗料など)、およびロボット機器事業(プラスチック射出成形品自動取出装置・自動組立装置など)を展開している。
文具事業はブランド力の高い万年筆を主力に、中期成長に向けて電子文具への事業展開も加速している。ロボット機器事業は1969年に開発に着手した歴史を持ち、09年にはプラスチック射出成形品用自動取出ロボットで世界初の無線ハンディコントローラ搭載RZ-Σシリーズを開発した。
今期(14年12月期)の連結業績見通し(7月31日に売上高を増額、利益を減額修正、10月31日に売上高、利益とも減額修正)については、売上高が前期比13.4%増の62億65百万円、営業利益が80百万円の黒字(前期は2億87百万円の赤字)、経常利益が50百万円の赤字(同3億11百万円の赤字)、そして純利益が18百万円の黒字(同3億59百万円の赤字)としている。
第3四半期累計(1月~9月)は前年同期比15.2%増収となり、営業利益、経常利益、純利益とも赤字幅が縮小したが、計画を下回ったため通期の売上高、利益を減額修正した。ロボット事業の米国子会社が好調だが、国内(単体)が消費増税の影響などで計画を大幅に下回り、日系企業向けが主力の中国子会社の業績も低調だった。ただし通期ベースでは増収効果で営業黒字化を確保する見込みだ。
来期(15年12月期)は、国内消費増税の影響一巡、国内外での設備投資需要の増加、さらに営業外費用で計上した株式交付費用の一巡などで収益改善が期待されるだろう。
中期経営計画(14年~16年)では数値目標として売上高経常利益率7%以上、有利子負債16億円以下を掲げている。基本戦略として、文具事業ではターゲットを絞った特徴ある製品の開発、新規販売チャネルの開拓、海外市場の再構築、新規事業(音声ペン、水処理機器)の推進、ロボット機器事業では射出成型機用取出ロボットの拡販を推進する方針だ。
なお前期まで数期連続して当期純損失を計上し、今期第3四半期累計でも純損失を計上しているため、継続企業の前提に疑義の注記が付されている。
株価の動きを見ると、10月上旬に48円まで急伸する場面があったが、買いが続かず概ね36円~40円近辺でモミ合う展開だ。ただし8月安値34円から10月安値35円、11月安値36円と徐々に下値を切り上げて調整一巡感を強めている。
12月9日の終値38円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS16銭で算出)は238倍近辺、実績PBR(今期第3四半期累計実績の連結BPS16円48銭で算出)は2.3倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートする形で下値を切り上げている。調整が一巡してモミ合い上放れの展開が期待される。