■株主還元策や株価対策が積極化されると期待される
フコク<5185>(東1)は、連日の年初来高値更新となっている。同社株は、今年7月14日に来年4月からスタートする東証の市場再編の一次判定で最上位市場の「プライム(P)市場」の上場基準に一部未達と発表して株価が下ぶれたが、直後の7月28日に開示した今2022年3月期業績の上方修正と増配で早速、カバーし割安修正買いが増勢となった。P上場基準の充足に向けさらに株主還元策や株価対策が積極化されると期待されていることも、側面支援材料となっている。
■旧会計基準対比で営業利益は5倍超増益となり連続増配幅を拡大
同社の今2022年3月期通期業績は、期初予想より売り上げを30億円、営業利益を3億5000万円、経常利益を4億円、純利益を2億500万円それぞれ引き上げ、売り上げ730億円、営業利益37億200万円、経常利益39億円、純利益24億5000万円と見込んだ。今期から新たに「収益認識に関する会計基準」を導入するため前期実績との比較はないが、旧会計基準の前期実績に対する単純比較では前期比15.4%増収、5.36倍営業増益、2.71倍経常増益、95.3%純益増益とV字回復する計算になる。米国、中国での自動車生産の回復で想定を上回る速度で受注が増加しており、生産効率化、業務改善などの合理化効果も上乗せとなる。配当は、年間45円(前期実績22円)と連続増配幅を拡大させる。
なおプライム市場の上場基準に関しては、流通株式数・比率、売買代金は基準を達成したが、流通株式時価総額が、基準の100億円に対して92億円超とわずかに未達となった。同社では、適合計画書を提出して経過措置でプライム市場上場を申請するが、今後は現在推進中の中期経営計画により株主還元策や積極的なIR(投資家広報)などにより早期の基準充足を目指す。中期計画では、最終年度の2024年3月期に売り上げ800億円、経常利益率7%、配当を55円とすることを目標にしている。
■PER7倍、PBR0.6倍、配当利回り3.9%となお超割安
株価は、前期上半期の業績低迷で600円台での安値推移が続いたが、今年2月、5月と続いた前期業績の上方修正で900円台までリバウンド、今期業績のV字回復・連続増配予想でストップ高を交え1052円高値まで買い進まれた。同高値後は、900円台での調整が続き、「プライム市場」への基準未達で927円安値まで下ぶれたが、今期業績の上方修正と増配を手掛かりに年初来高値追いとなった。PERは7倍台、PBRは0.62倍、配当利回りは3.97%と超割安であり、2018年1月高値1136円を上抜いたここからは、2015年5月高値1300円を視野に上値チャレンジが強まろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)