加賀電子の業績に上振れ観測が強まる、収益性の高いEMS事業など拡大に弾み

■いちよし経研はフェアバリューを5000円(従来比500円高)に見直す

 加賀電子<8154>(東1)の業績動向に再び上振れ拡大観測が出てきた。株価は第1四半期決算の発表後に急伸して4年ぶりの高値(3225円、8月6日)まで上げ、その後一服商状だが、このほど、いちよし経済研究所は同社の通期業績予想を増額し、フェアバリュー(適正株価)は5000円(従来比500円高)に見直した。利益構成の高いEMS(受託製造)事業の拡大に弾みがついてきた印象がある。

■第1四半期は電子部品事業が牽引し過去最高の営業利益に

 加賀電子が8月5日に発表した2022年3月期・第1四半期連結決算は、製造業全般にわたる生産活動の回復を受けて電子部品事業がグループ収益を牽引し、売上高は前年同期比25.9%増収の105,949百万円、営業利益は168.8%増益の4,452百万円となり、第1四半期としては過去最高となった。

 一方、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期に実施した企業買収に伴い、特別利益として計上した「負ののれん益」7,963百万円のはく落により、同66.6%減益2,872百万円となったが、通期予想に対する進捗率は、営業利益が34.2%、四半期純利益が37.3%で高水準。会社側から四半期予想は開示されていないが、社内計画を上回る好調な1Qの滑り出しとなった。今後の業績進展によっては期中の上方修正も期待される。

■買収した加賀FEI(旧・富士通エレクトロニクス)など早くも黒字転換

 今回の決算では、同社の中核事業である電子部品事業が、営業利益212.0%増益、となり、また営業利益率も1.7%から4.1%へと、しっかり復調したことが確認できた。なかでも、同社が買収した加賀FEI(旧・富士通エレクトロニクス)とエクセルが、前年同期は両社とも営業赤字であったが、当期は黒字転換し、2社合わせて約10億円の増益要因となったことにも注目したいところだ。

■いちよし経研は通期予想営業利益を175億円(会社側予想は130億円)に

 3月通期の連結業績予想は据え置き、営業利益は130億円。これも過去最高益になるが、いちよし経研では、これを140億円の見込みから、今回、175億円の見込みに大きく見直した。

 また、同社は、8月6日に東証『ToSTNeT-3』(自己株式立会外買付取引)による自社株買いを行った。取得上限株数の発行済み株式総数に対する割合は4.73%で、前回実施した際の同2.89%を大きく上回る。同社の前向きな資本政策、株主政策もポジティブに評価したい。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る