インテージホールディングスは22年6月期減益予想だが保守的

 インテージホールディングス<4326>(東1)は市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも積極展開している。22年6月期は成長投資などで減益予想としているが保守的だろう。上振れを期待したい。なお自己株式取得も発表している。株価は減益予想を嫌気する形で年初来高値圏から反落したが、目先的な売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■国内首位の市場調査が主力

 子会社インテージのSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)など、国内首位・世界10位(GRBN 2018 Global Top25 Report)の市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。

 セグメント区分は消費財・サービス分野のマーケティング支援、ヘルスケア分野のマーケティング支援、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンスとしている。

 21年6月期のセグメント別構成比は、売上高が消費財・サービス分野のマーケティング支援62%、ヘルスケア分野のマーケティング支援26%、ビジネスインテリジェンス13%、営業利益が消費財・サービス分野のマーケティング支援43%、ヘルスケア分野のマーケティング支援51%、ビジネスインテリジェンス6%だった。

 消費財・サービス分野のマーケティング支援では、データサービスやカスタムリサーチなどを展開している。独自収集した各種パネル調査やカスタムリサーチから得られたデータを基に、高度なリサーチ技術やデータ解析力を駆使して、消費財メーカーを中心に企業のマーケティング活動をトータルサポートしている。主な事業会社はインテージ、インテージリサーチ、海外子会社などである。

 21年5月にはリサーチ・アンド・イノベーション(RNI)を子会社化、21年7月にはインテージがIXTを吸収合併した。また21年8月にはインテージ・ベトナムがベトナム国家大学ハノイ校日越大学(ハノイ)と産学連携の基本協定を締結した。

 ヘルスケア分野のマーケティング支援では、一般用医薬品・医療用医薬品の市場調査、製薬企業からの委託によるデータマネジメント・解析業務、医薬品開発をサポートするCRO業務などを展開している。事業会社はインテージヘルスケアの直下に協和企画、インテージリアルワールド(医療情報総合研究所が21年7月1日付で社名変更)、プラメド、Plamed Koreaの4社を置く体制としている。

 ビジネスインテリジェンスでは、ソフトウェア開発やシステム構築・運用などを展開している。事業会社はインテージテクノスフィア、ビルドシステム、エヌ・エス・ケイなどである。

■次世代SRIサービス「SRI+」を核に総合力向上

 第13次中期経営計画では目標値に23年6月期売上高625億円、営業利益50億円、営業利益率8.0%を掲げている。目指すべき姿を「データを核として、顧客ビジネス課題解決や意思決定に深く関与・伴走し、ビジネス創造と変革に寄与できる存在」として、次世代成長ドライバー確立などグループ間連携による対応領域の創造と拡張を推進している。またデジタル環境の変化に対応するため、積極的な事業投資やM&Aも継続して実施する方針だ。

 消費財・サービス分野のマーケティング支援では、次世代SRI(全国小売店パネル調査)サービスの「SRI+」(ECデータ含む)を21年1月にリリースした。今後は「SRI+」を核としてソリューションおよびパートナー連携による総合力向上を図り、収益拡大につなげる方針だ。また定量的な行動観察を可能にした動画解析プラットフォーム「Label Note(仮)」のリリースに向けて準備中である。

 SBIインベストメントと共同設立のINTAGE Open Innovation Fundは、パーソナルAI「al+」開発のオルツ、WEBリサーチのリサーチ・アンド・イノベーション、IoTデータ流通プラットフォームの米EverySense、訪日外国人向けショッピングサポートアプリ「Payke」のPaykeなどに投資している。21年7月現在の投資実績は23社、合計約24.8億円である。

■22年6月期減益予想だが保守的

 21年6月期の連結業績(20年7月~21年6月、20年6月期が決算期変更で15ヶ月決算のため前期との比較なし、2月9日に上方修正、5月11日に2回目の上方修正)は、売上高が575億58百万円、営業利益が44億21百万円、経常利益が50億81百万円、親会社株主帰属当期純利益が33億72百万円だった。配当は5円増配の35円(期末一括)とした。

 参考値として前年同一期間(19年7月~20年6月)との比較で見ると、売上高は3.6%増収、営業利益は20.8%増益、経常利益は38.4%増益、親会社株主帰属当期純利益は2.0倍増益だった。

 2回目の上方修正値に対して若干未達だったが、需要が回復基調となり、変動費の低いパネル調査やCR―webの増収効果、定性系リサーチやアウトバウンドリサーチのオンライン化効果、ヘルスケアのプロモーション・教育事業のオンライン転換効果、リモートワーク主体の働き方による効率化、旅費交通費の大幅減少などで増収増益だった。

 マーケティング支援(消費財・サービス)は3.0%増収で27.7%増益、マーケティング支援(ヘルスケア)は8.9%増収で39.8%増益、ビジネスインテリジェンスは3.4%減収で54.7%減益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高127億14百万円で営業利益2億66百万円、第2四半期は売上高146億16百万円で営業利益16億19百万円、第3四半期は売上高177億92百万円で営業利益25億59百万円、第4四半期は売上高124億36百万円で営業利益23百万円の赤字だった。

 22年6月期連結業績予想は、売上高が21年6月期比5.1%増の605億円、営業利益が23.1%減の34億円、経常利益が21.3%減の40億円、親会社株主帰属当期純利益が17.0%減の28億円としている。配当予想は21年6月期と同額の35円(期末一括)としている。予想配当性向は50.0%となる。

 セグメント別の計画は、マーケティング支援(消費財・サービス)の売上高が21年6月期比6.8%増の380億円で営業利益が37.2%減の12億円、マーケティング支援(ヘルスケア)の売上高が1,9%増の150億円で営業利益が16.1%減の19億円、ビジネスインテリジェンスの売上高が3.1%増の75億円で営業利益が22.4%増の3億円としている。

 需要が回復基調で増収だが、成長投資の影響で減益予想としている。ただし保守的だろう。上振れを期待したい。

■株主優待は毎年12月末の株主対象

 株主優待制度については、決算期変更に伴って基準日を変更している。従来の毎年9月30日対象から、毎年12月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)する。21年6月期対象から変更した。

■株価は目先的な売り一巡

 新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果について、プライム市場の上場維持基準に適合していることを確認した。今後はプライム市場申請に係る所定の手続き等を進めるとともに、更なるコーポレートガバナンス向上を目指すとしている。

 なお8月4日に自己株式取得を発表した。上限100万株・12億円で、取得期間は21年8月5日~22年6月30日)としている。

 株価は減益予想を嫌気する形で年初来高値圏から反落したが、目先的な売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。8月18日の終値は1394円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS70円06銭で算出)は約20倍、今期予想配当利回り(会社予想の35円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS750円50銭で算出)は約1.9倍、時価総額は約564億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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