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インテリジェントウェイブは調整一巡、22年6月期増収・2桁増益予想
- 2021/8/23 08:14
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インテリジェントウェイブ<4847>(東1)はシステムソリューションを展開し、中期成長に向けて新製品・サービスの強化やクラウドサービスを中心としたストックビジネスへの転換を推進している。22年6月期は下期からの事業環境好転を見込み、クラウドサービスの新規大型案件も寄与して増収・2桁増益予想としている。通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は上値を切り下げる形だが、調整一巡して出直りを期待したい。
■金融システムや情報セキュリティ分野のソリューションが主力
大日本印刷<7912>(DNP)の連結子会社でシステムソリューションを展開している。
高度な専門性が要求されるクレジットカード決済のフロント業務関連システム分野に強みを持ち、クレジットカード会社、ネット銀行、証券会社など金融関連のシステム開発受託・ハードウェア販売・保守サービスを収益柱としている。さらにクレジット決済システムの開発会社にとどまらず、決済・金融・セキュリティ分野を含む企業のビジネスリライアビリティを支えるITサービス会社を目指している。
21年6月期のカテゴリ別売上高構成比は、システム開発47%、保守12%、当社製品3%、クラウドサービス8%、ハードウェア15%、他社製品5%、セキュリティ対策製品10%だった。顧客別売上高上位はDNP、カード会社、システム開発会社である。金融業界のシステム投資や案件ごとの採算性が影響し、下期の構成比が高い特性もある。
■24年6月期営業利益率15%目指す
新中期事業計画(21年8月に旧計画を見直して22年5月期~24年6月期の計画として公表)では、目標値として24年6月期売上高150億円(うちストック売上高が41億80百万円、新規事業が15億円)、営業利益22億50百万円、営業利益率15.0%を掲げている。従来計画に比べて、クラウドサービスなどストック型のビジネスが拡大しているため、利益率が上振れの形となった。
主要製品・サービスの年平均成長率はシステム開発・ハードウェア・当社製品などが6.5%、クラウドサービスが38.5%、セキュリティ対策製品が9.9%としている。
急速に変化する市場に対して、決済市場のハイブリッド(オンプレミス+クラウドサービス)IT基盤、決済・金融・セキュリティ分野以外の新分野(放送業界向けソリューションEoMなど)への領域拡大、DNPグループシナジー戦略を推進する。特にクラウドサービスを中心としたサブスクリプション(ストックビジネス)への転換を推進し、クラウドサービスの24年6月期売上高25億円を目指す。
なお21年3月には、社会の持続可能な発展に貢献しつつ、事業活動の持続可能性を高めていくことを前提として、具体的な施策を通じて全社的な取り組みを進めるためにサステナビリティ委員会を設置した。また21年5月にはサステナビリティ委員会が「健康経営宣言」を策定した。
■クラウドサービスを強化
クラウドサービスでは、アクワイアリング業務のIOASIS、不正検知のIFINDS、OnCore SwitchのIGATESが順調に拡大している。またポイントシステムのIPRETSを20年10月から本格稼働した。EC決済に対応した次世代不正検知システムもサブスクリプション型契約で20年9月に1社目が稼働した。
22年6月期の導入社数の計画はIPRETSが1社、IGATESが21年6月期比1社増加の5社、IFINDSが3社、IOASISが4社増加の9社としている。
AI関連の新規開発案件では、SMBC日興証券「AI株価見守りサービス」に、CEP(Complex Event Processing)エンジンであるFES(Fast Event Streamer)が採用され、19年7月サービス開始した。
20年10月にはSolace社と、日本における次世代決済プラットフォームの実現に向けて協業体制を強化すると発表した。20年12月には大日本印刷・蕨工場(埼玉県蕨市)のクローズドネットワークに、いかなる未知の攻撃でも防御できるエンドポイントセキュリティソリューション「Morphisec(モルフィセック)」(イスラエルMorphisec社製)を導入した。
■22年6月増収・2桁増益予想
21年6月期の業績(非連結)は、売上高が20年6月期比2.4%増の111億87百万円で、営業利益が9.1%増の11億30百万円、経常利益が9.0%増の11億71百万円、当期純利益が10.4%増の8億40百万円だった。配当は3円増配の13円(期末一括)とした。
需要が堅調に推移して増収・増益だった。新型コロナウイルスの影響は軽微で、概ね計画水準で着地した。カテゴリ別売上高は、システム開発が大型案件の終了で減収だったが、保守、自社製品、クラウドサービス、ハードウェア、他社製品、セキュリティ対策製品が増収だった。利益面は、第1四半期にクラウドサービス事業において一時的な費用の増加があったが、システム開発業務の効率化、情報セキュリティ事業の損益改善などが寄与した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が22億98百万円で営業利益が1億34百万円、第2四半期は売上高が29億49百万円で営業利益が2億71百万円、第3四半期は売上高が28億20百万円で営業利益2億73百万円、第4四半期は売上高31億20百万円で営業利益4億52百万円だった。
22年6月期の業績(非連結)予想は売上高が21年6月期比7.3%増の120億円、営業利益が16.8%増の13億20百万円、経常利益が16.1%増の13億60百万円、当期純利益が11.8%増の9億40百万円としている。配当予想は1円増配の14円(期末一括)としている。
カテゴリ別売上高の計画はシステム開発が11.0%増収、保守が6.1%増収、当社製品が19.4%増収、クラウドサービスが20.0%増収、ハードウェアが5.6%増収、他社製品が50.9%減収、セキュリティ対策製品が6.1%増収としている。クラウドサービスはIOASISの新規大型案件が下期から売上寄与して通期黒字化見込みとしている。
上期は新規案件の受注が若干弱いが、下期からの事業環境好転を見込み、クラウドサービスの新規大型案件も寄与して増収・2桁増益予想としている。通期ベースで収益拡大を期待したい。
■株価は調整一巡
なお新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果で、流通時価総額が上場維持基準を充たしていないとの通知を受けたが、7月28日開催の取締役会においてプライム市場を選択する方針とした。上場維持基準の適合に向けて、事業計画の着実な遂行、コーポレート・ガバナンスの向上、株主還元の充実に取り組むとともに、今後、定められた方法でプライム市場選択申請の手続きを行う予定としている。
株価は上値を切り下げる形だが、調整一巡して出直りを期待したい。8月20日の終値は578円、今期予想PER(会社予想のEPS35円76銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約2.4%、前期実績PBR(前期実績のBPS287円85銭で算出)は約2.0倍、時価総額は約152億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)