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ソフトクリエイトホールディングスは20年高値目指す、22年3月期1Q大幅増益で通期上振れの可能性
- 2021/8/30 09:00
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東1)はECソリューション事業およびITソリューション事業を展開している。22年3月期は実質増収で2桁増益予想としている。第1四半期はクラウドサービスの伸長などで計画超の大幅増益だった。通期予想を据え置いたが上振れの可能性が高いだろう。DXの流れも背景として収益拡大基調を期待したい。株価は年初来高値圏を更新した。自律調整を交えながら20年10月の上場来高値を目指す展開を期待したい。
■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開
ITソリューションサービスを展開する持株会社である。セグメント区分(22年3月期から変更)は、ECソリューション事業およびITソリューション事業としている。
ECソリューション事業はECサイト構築、デジタルマーケティング、ECクラウドサービスを展開し、子会社ecbeingのECサイト構築ソフトecbeingの販売・保守・ホスティングサービスを主力としている。ECサイト構築からマーケティング支援、データ分析までワンストップで対応していることが強みだ。なおecbeingは中~大規模顧客向けが主力で、累計導入数が1300サイトを突破して市場シェア1位である。
ITソリューション事業はITクラウドサービス、パッケージ、セキュリティ・インフラ構築サービス、IT機器販売を展開している。自社開発のSCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、子会社エイトレッド<3969>が展開するワークフローシステム(パッケージ型のAgileWorks、クラウド型のX-point Cloud)、および子会社ソフトクリエイトのシステムインテグレーション・IT機器販売を主力としている。
21年3月期のセグメント別売上高(収益認識に関する会計基準第29号適用前)は、ECソリューション事業が116.9億円(ECサイト構築が67.3億円、デジタルマーケティングが43.4億円、ECクラウドサービスが6.1億円)、ITソリューション事業が125.5億円(ITクラウドサービスが13.2億円、パッケージが17.4億円、セキュリティ・インフラ構築サービスが38.1億円、IT機器販売が56.5億円)だった。
■クラウドサービスの拡大を推進
成長戦略としてクラウドサービスの拡大を推進している。クラウドサービスの売上高は18年3月期8.2億円、19年3月期11.9億円、20年3月期15.3億円、21年3月期19.3億円(ECクラウドサービスが6.1億円、ITクラウドサービスが13.2億円)と拡大基調である。22年3月期は23.0億円(ECクラウドサービスが8.0億円、ITクラウドサービスが15.0億円)の計画としている。
さらに新サービス(メルカート、ビジュモ、レビコ、サイトミライズ、ゼクスタントなど)の拡販にも注力している。なお22年3月期第1四半期時点の合計導入社数は、ECクラウドサービス分野のメルカートが84社、ビジュモが335社、レビコが48社、サイトミライズが106社、ゼクスタントが30社、ITクラウドサービス分野のSCクラウドが454社、X-point Cloudが847社、L2Blockerが181社となっている。
21年6月には、インスタグラムの写真を自社サイトに活用するビジュモのソリューションが、トヨタ自動車公式サイトに採用された。
■22年3月期1Qは計画超の大幅増益、通期上振れの可能性
22年3月期の連結業績予想(収益認識に関する会計基準第29号適用のため売上高の前期比増減率は非記載)は、売上高が192億円で、営業利益が21年3月期比10.0%増の35億50百万円、経常利益が10.1%増の35億75百万円、親会社株主帰属当期純利益が10.0%増の20億円としている。配当予想は21年3月期と同額の30円(第2四半期末15円、期末15円)である。
売上高の計画は会計基準変更前ベースでは270億円としている。21年3月期実績の242億38百万円との比較で11.4%増収となる。特にクラウドサービスが大幅伸長し、人件費・採用費・広告宣伝費の増加を吸収して、実質的に2桁増収増益の計画としている。
セグメント別売上高(収益認識に関する会計基準第29号適用後)の計画は、ECソリューション事業が108億円(ECサイト構築が70.0億円、デジタルマーケティングが30.0億円、ECクラウドサービスが8.0億円)、ITソリューション事業が86.0億円(ITクラウドサービスが16.0億円、パッケージが18.0億円、セキュリティ・インフラ構築サービスが43.0億円、IT機器販売が9.0億円)としている。なお会計基準変更の影響は特にIT機器販売において見掛け上の減収要因となる。
第1四半期は売上高が49億26百万円、営業利益が前年同期比33.4%増の9億01百万円、経常利益が28.0%増の9億51百万円、親会社株主帰属四半期純利益が28.7%増の5億64百万円だった。
会計基準変更のため見掛け上は減収(会計基準変更前の前年同期実績は57億74百万円)の形だが、旺盛なIT投資需要も背景として実質増収となり、クラウドサービスの大幅伸長などで期初計画(売上高45.1億円、経常利益8.4億円)を上回る増収増益で着地した。
セグメント別売上高は、ECソリューション事業(計画25.8億円)が27.5億円(ECサイト構築が18.1億円、デジタルマーケティングが7.3億円、ECクラウドサービスが2.1億円)で、ITソリューション事業(計画19.2億円)が21.7億円(ITクラウドサービスが3.9億円、パッケージが4.1億円、セキュリティ・インフラ構築サービスが10.5億円、IT機器販売が3.2億円)だった。いずれも計画を上回った。
通期予想を据え置いたが、第1四半期の進捗率は売上高が25.7%、営業利益が25.4%、経常利益が26.6%、当期純利益が28.2%と順調である。ストック収益の拡大なども寄与して通期予想は上振れの可能性が高いだろう。DXの流れも背景として収益拡大基調を期待したい。
■株主優待制度は3月末と9月末の年2回
株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は保有株数および保有期間に応じてオリジナルQUOカードを贈呈する。
■株価は上値試す
なお7月21日発表の自己株式取得(上限15万株・5億円、取得期間21年7月26日~21年9月30日)については、21年7月31日時点で累計買付株式数が5万7900株となっている。
株価は戻り歩調となって年初来高値を更新した。自律調整を交えながら20年10月の上場来高値を目指す展開を期待したい。8月27日の終値は3040円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS150円51銭で算出)は約20倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約1.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS958円00銭で算出)は約3.2倍、時価総額は約419億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)