ハウスドゥは反発の動き、22年6月期も大幅増益予想で収益拡大基調

 ハウスドゥ<3457>(東1)は住まいのワンストップサービスを展開し、FinTechを活用した不動産流通ソリューションで業界変革を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。なお22年1月1日付で持株会社体制に移行して商号をAnd Do ホールディングスに変更予定である。21年6月期は大幅増益だった。22年6月期も主要事業が伸長して大幅増益予想としている。収益拡大基調だろう。株価は調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業

 住まいのワンストップサービスを展開し、FinTechを活用した不動産流通ソリューションで業界変革を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。

 不動産流通事業で創業し、リフォーム事業、不動産売買事業、不動産売買仲介「HOUSEDO」FC加盟店に各種サービスを提供するフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業、金融機関と提携したリバースモーゲージ保証事業へと展開し、業容を拡大している。

 FCチェーンネットワークや高齢化社会に対応した不動産ソリューションなど顧客接点・地域密着ネットワークを構築し、売買仲介を起点として住まい関連サービスにつなげる事業シナジーを強みとしている。さらに不動産事業を通じて世の中を安心、便利なサービスを提供する「不動産コンビニ」構想も掲げている。

 なお22年1月1日付で持株会社体制に移行(ハウス・リースバック事業は移行後も同社が運営)して、商号をAnd Do ホールディングスに変更予定である。

■ストック収益型事業が収益柱

 ロイヤリティー収入、賃貸収入、金利収入など、ストック収益を積み上げるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業(不動産担保ローン事業、リバースモーゲージ保証事業)を成長強化事業と位置付けて、収益の柱としている。ハウス・リースバック事業では取得した収益不動産物件の売却も進めている。

 21年6月期のセグメント別営業利益構成比は、成長強化事業が66.7%(フランチャイズ事業が37.6%、ハウス・リースバック事業が27.9%、金融事業が1.3%)、不動産売買事業が18.3%、不動産流通事業が10.1%、リフォーム事業が2.9%、小山建設グループが2.2%、その他が0.2%だった。なお21年3月期は不動産売買事業が大幅に増加したため、成長強化事業の構成比は20年6月期の77.2%に対して10.5ポイント低下した。

 フランチャイズ事業の加盟契約数は21年6月30日現在で702店舗(直営29店舗、FC673店舗、うちオープン準備中86店舗)となった。20年9月には山形県の企業とフランチャイズ契約を締結し、全国47都道府県すべてに出店契約を達成している。中期的には25年に国内1000店舗、アジア5万店舗を目標としている。なお21年1月からはブランドロゴと店舗デザインを一新した。また賃貸不動産仲介事業の新ブランド「レントドゥ!」も展開している。

 ハウス・リースバック事業では、21年6月期末の保有物件数が20年6月期末比122件増加の339件、保有物件総額が12億65百万円増加の45億94百万円となった。契約件数は243件増加の903件、物件取得数は167件増加の801件だった。

 金融事業では、21年6月期のリバースモーゲージ保証件数が76件増加の221件、期末リバースモーゲージ保証残高が19億43百万円増加の53億43百万円、不動産担保融資実行件数が20年6月期比40件減少の167件、期末不動産担保融資残高が13億01百万円減少の97億44百万円となった。提携金融機関は21年8月16日現在で26金融機関となった。

■ハウス・リースバック事業や保証事業を強化

 中期経営計画では目標数値(21年2月10日に修正)を、22年6月期の売上高381億50百万円~414億円、営業利益30億54百万円~37億54百万円、経常利益28億円~35億円、当期純利益18億48百万円~23億10百万円としている。

 重点戦略として、フランチャイズ事業の店舗数拡大、ハウス・リースバック事業の仕入強化、リバースモーゲージ保証事業の拡大、海外展開、M&Aへの積極的取り組みなどを推進する。また20年8月にはDX(デジタルトランスフォーメーション)推進本部を設立した。グループの事業展開におけるDX推進に向けた環境整備および具体的な取り組みを促進する。

 M&A・アライアンスでは、19年6月エアトリステイおよびAirbnbと加盟店の空室活用で包括的業務提携、19年7月三井住友海上火災保険とFC加盟店対象の包括賠償制度「FC Triple Guard」を開発・提供開始、19年8月埼玉県草加市を中心に不動産売買・仲介を展開する小山建設グループを子会社化、20年7月子会社の草加松原住建の商号をハウスドゥ・ジャパンに変更した。またリバースモーゲージ保証事業で地域金融機関との提携を推進している。21年1月には楽天銀行と提携した。

 21年3月にはJSB(京都市)と提携した。JSBが運営するサービス付高齢者向け住宅の入居希望者に対して、自宅や遊休不動産の査定・売却・有効活用などに関する不動産ソリューションサービスを提供する。21年4月にはスマート家電・機器を標準装備したIoT住宅「スマートDOホーム」の販売開始を発表した。

 21年7月には加盟店を対象とする業務支援サービスの利用に関して、不動産サービス比較サイト「リビングマッチ」運営のリビン・テクノロジーズ<4445>との業務提携を発表した。

■21年6月期大幅増益、22年6月期も大幅増益予想で収益拡大基調

 21年6月期連結業績は売上高が20年6月期比18.7%増の390億37百万円、営業利益が36.7%増の25億89百万円、経常利益が46.4%増の25億14百万円、親会社株主帰属当期純利益が56.9%増の16億16百万円だった。配当は11円増配の30円(期末一括)とした。

 不動産売買事業が牽引して売上高は過去最高を更新した。成長強化事業(フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業)への投資で人件費や広告宣伝費が増加したが、経常利益も計画のレンジ内で着地した。

 成長強化事業のフランチャイズ事業は12.5%増収で23.5%増益、金融事業は8.6%増収で4.3倍増益と順調に拡大した。ハウス・リースバック事業は戦略的に流動化を抑制したため12.2%減収で16.5%減益だった。不動産売買事業は2.1倍増収で3.2倍増益と大幅伸長した。住宅需要が旺盛なため計画超で着地した。不動産流通事業は2.6%増収で3.8%増益、リフォーム事業は3.2%増収で48.3%増益、小山建設グループは3.4%増収で24.6%増益だった。

 22年6月期連結業績予想(レンジ予想)は、売上高が391億円~444億38百万円(21年6月期比0.2%増~13.8%増)、営業利益が29億73百万円~36億73百万円(同14.8%増~41.9%増)、経常利益が28億円~35億円(同11.4%増~39.2%増)、親会社株主帰属当期純利益が18億48百万円~23億10百万円(同14.3%増~42.9%増)としている。配当予想は未定としている。

 セグメント別営業利益(調整前)計画は、フランチャイズ事業が8.2%増益、ハウス・リースバック事業が27.0%増益~41.3%増益、金融事業が31.4%増益~110.6%増益、不動産売買事業が20.4%減益~16.9%増益、不動産流通事業が4.6%増益、リフォーム事業が37.7%増益、小山建設グループが47.9%増益としている。

 住宅需要が堅調であり、成長強化事業が牽引して増収増益予想としている。収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は22年6月末日対象をもって廃止

 株主優待制度は毎年6月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施しているが、21年2月10日に株主優待制度の廃止を発表した。株主還元の公平性を意識した取り組みを進めるべく、22年6月末日対象をもって株主優待制度を廃止し、翌期以降は配当性向基準引き上げで配当として還元(詳細は会社HP参照)する。

■株価は反発の動き

 株価は調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。8月30日の終値は1047円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS上限値118円13銭で算出)は約9倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS656円34銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約205億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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