【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トシン・グループは着実に下値切り上げて強基調、8月高値試す

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 電設資材商社のトシン・グループ<2761>(JQS)の株価は、やや小動きだが着実に下値を切り上げて強基調の展開が続いている。8月29日に付けた高値3145円から9月上旬の2700円台前半まで一旦反落したが、足元では3000円近辺まで戻している。自己株式取得や低PBRも支援材料として8月高値3145円を試す展開だろう。

 首都圏を中心として、電設資材や住宅設備機器などの卸売事業を展開する持株会社である。小口多数販売や、他社にはない専門部署による得意先営業活動支援サービスを特徴としている。取扱商品や営業拠点網の拡充などで事業基盤強化を推進しており、14年4月に伊勢崎営業所、14年8月に太田足利営業所を開設した。

 10月3日に発表した今期(15年5月20日期)第1四半期(5月21日~8月20日)の連結業績は売上高が前年同期比0.7%増の110億05百万円、営業利益が同26.0%減の4億81百万円、経常利益が同19.8%減の6億56百万円、純利益が同12.0%減の3億83百万円だった。

 新本社ビルへの移転に伴う賃料の増加、人件費の増加、減価償却費の増加などが影響して減益だった。ただし新築住宅着工戸数の低迷、天候不順によるエアコン商戦の不発など厳しい事業環境下でも、新規得意先の獲得、既存得意先訪問件数のアップ、他社にはないサービス「安心シリーズ」の充実など積極的な営業活動の効果で増収を確保した。

 通期の連結業績見通しは前回予想(7月4日公表)を据え置いて売上高が前期比1.1%増の470億円、営業利益が同0.7%増の26億90百万円、経常利益が同1.2%増の35億90百万円、純利益が同1.1%増の21億円、配当予想が前期と同額の年間52円(第2四半期末26円、期末26円)としている。

 14年4月実施の消費増税の反動影響に加えて、15年10月に実施が予想される消費増税第2弾(消費税率8%から10%へ引き上げ)の影響なども考慮して、前期比ほぼ横ばいの見通しとしている。

 通期見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が23.4%、営業利益が17.9%、経常利益が18.3%、純利益が18.2%とやや低水準だったが、建設関連で下期の構成比が高い収益構造を考慮すれば特にネガティブ要因とはならないだろう。北関東における営業拠点網の拡充、新規得意先の開拓、小口多数販売の強化、得意先営業活動支援サービスの体制・機能強化など、グループ総合力を活かした付加価値サービス拡充の効果が期待される。

 なお8月11日に発表した自己株式取得(取得株式総数の上限60万株、取得価額総額の上限18億円、取得期間14年8月18日~15年7月31日)については、9月30日時点での累計取得株式総数1万900株、取得価額総額3073万6500円となった。

 株価の動きを見ると、やや小動きだが着実に下値を切り上げて強基調の展開が続いている。8月29日に付けた高値3145円から9月上旬の2700円台前半まで一旦反落したが、足元では3000円近辺まで戻している。

 10月27日の終値2942円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS233円61銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間52円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS3496円88銭で算出)は0.8倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調を継続している。自己株式取得や低PBRも支援材料として8月高値3145円を試す展開だろう。

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