世界初!日本板硝子は水素エネルギーによる建築用ガラスの製造実験に成功

■実験は多くの課題を同社の有する技術の粋を集めて解決

 日本板硝子(NSG)<5202>(東1)は3日、英国の事業所において水素エネルギーを使った世界で初めてのガラス製造の実証実験を行い、建築用ガラスを製造することに成功したと発表。

 この実証実験の取り組みは、同社が2020年2月27日に発表した通り、「Hynet産業燃料転換」プロジェクトの一部。実験は8月後半の3週間にわたり、グループ企業であるPilkington United Kingdom Limited社のグリーンゲート事業所(英国セントへレンズ)で行われた。

 実験では、多くの課題を同社の有する技術の粋を集めて解決し、現在の主燃料である天然ガスと水素という2つの異なる燃料間の切り替えをシームレスに行うことに成功した。これにより、水素でも天然ガスと同様の優れた溶融性能を達成できること、およびガラス溶融窯から排出されるCO2を大幅に削減できる可能性があることが証明された。この実験の成功はNSGグループにとって脱炭素化を目指すうえで重要なステップ。燃料を天然ガスから水素に切り替えることができれば、グループのCO2排出量の過半を占めるフロート窯を圧倒的に少ない排出量で操業することができるようになる。

 世界中の板ガラスの製造に革命をもたらしたフロートガラス製法は、まさにこのセントヘレンズで1952年に開発されたもの。それから70年後の今、同じ地で行われたこの実証実験は、世界のガラス産業にとってもう1つの重要なマイルストーン。

 今後、中長期的には、主要な産業拠点をつなぐ水素パイプラインの整備など、安定的な水素供給体制の確立によって、天然ガスから水素への完全な切り替えが可能になる。

 NSGグループは、中期ビジョン「高付加価値の『ガラス製品とサービス』で社会に貢献するグローバル・ガラスメーカーとなる」を掲げ、3年間の中期経営計画「リバイバル計画24」において、年率2%のCO2排出量削減に取り組んでいる。これにより、2030年のCO2排出量(スコープ1および2)を2018年対比で21%の削減を達成し、また将来のカーボンニュートラルの達成に向けた、より具体的な道筋を早期に示していきたいとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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